読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

周囲の誤解で意に染まぬ結婚をしたエストランジュの領主ケネスとその妻ロザモンド。けれど、ケネスは聡明でまっすぐなロザモンドに惹かれはじめ、ロザモンドもまた、ケネスに心を寄せていく。だが、五年後には婚姻破棄を申請されると信じていたロザモンドは、ケネスの妻として振る舞うことに躊躇いを感じていた。互いの気持ちに気づかぬまま、領地にある離宮に王太子妃を迎える日が迫り…。(裏表紙より)
貴族ではないけれど賢く働き者のロザモンドと、薔薇の騎士と呼ばれる容姿を持ちながら恋愛事に鈍く不器用なケネスの、期限付き結婚の行方の第二巻。二人ともはっきりしろー! というじれじれな展開です。好ましく思っているのに第一印象が悪すぎてこじれてしまった典型的なパターンですね。
王太子妃を離宮に招くことになったものの、敵国から嫁いできた十四歳のアンヌ王女は、古びた服装にすっぽりベールを被り、話もせず、お目付役の修道女が目を光らせていてなんだか近付きがたい。しかしそこはヒロイン、ロザモンドは知恵と実力で王太子妃に慕われるように。この辺りの展開が、賢い女性という感じで大好きです。薬や医術の知識があるヒロインの強さ!
そして次回はどうやら宮廷編。楽しみだ。
PR

レティシアは至って気楽に声を掛けた。
「よう、ニコラ。久しぶりじゃん」
はじかれたようにニコラが飛び上がった。悲鳴を上げなかったのが不思議なくらいの過剰反応だった。
ニコラがこれほど恐怖を覚え、緊張しているのには理由がある。レティシアは小柄で陽気で気さくな性格で、まさにどこにでもいる典型的な少年の一人だが、その正体は殺人鬼である。
「その……誰か紹介してもらえないかな。こういうことに慣れていて、秘密厳守でうまく処理してくれる人」
「ひょっとして俺を犯罪組織の構成員かなんかと勘違いしてねえ?」
ニコラの眼が丸くなる。「…違うの?」
連続猟奇殺人事件の犯人(!)だったニコラが、被害者(!?)だったレティにまことに大胆な頼み事を??」
クラッシュ・ブレイズ、これにて終幕。(裏表紙より)
二巻目の『スペシャリストの誇り』の関係者だったニコラ少年が、父親を助けてほしいとレティシアを尋ねてくる「レティシアの場合」。特に殺す理由がないから、暇つぶしに、と手を貸してくれるレティシアは本当に気まぐれだけど、いいやつだ。好青年を演技しているところがすごく好きなので、楽しく読みました。
もう一本は「ヴァンツァーの場合」。ヴァンツァーは、第二の人生を歩むようになってからどんどんやりたいこともやっているし、友達も出来て我がことのように嬉しいです。年上で尊敬できる女性が好きなヴァンツァーは、その娘であるビアンカと継母であるブリジットと親しくなる。二人とも、ヴァンツァーの美しさに大きな反応をせず、あるがままに受け入れてくれる。ビアンカはある特殊な事情からだけれど、最後のシーンを見るかぎり、いい友達になってくれるようだ。
さて、ゆっくり読んできたクラッシュ・ブレイズシリーズもこれでおしまい! 続刊は課外活動やトゥルークの海賊などがあるようですが、私は一旦ここまで。楽しかった!

ケリーはのんびりと言い出した。「ダイアンも休暇を取るそうだ。ものすごい勢いですっ飛んでったぜ」
宇宙船においてきぼりにされる操縦者も珍しいが、こうしたことは初めてではないので、ジャスミンも落ち着き払ったものだった。
「では、ダイアナが戻ってくるまで島流しだな」
「気合いを入れて遊ぶとしようぜ」
惑星バラムンディのパールビーチ——白い砂浜と青い海、珊瑚礁が魅力の保養地での出来事である。
どこにでもいるただの人だ(と、本人たちは固く信じている)が目立つことこの上ない二人に、にぎやかで一方的な危ないお誘いが続々とかかる。
どうやら、この惑星のカジノ王の一人娘オディールが関係しているらしいのだが……(裏表紙より)
『逆転のクレヴァス』にて、ダイアナが置き去りにしていった「バカンス中の二人」パート。夫婦! 夫婦! 前半夫婦ばっかりですっごい楽しかった! 最強の人たらし夫婦が当然という顔をして過ごしているのが本当に好きだ。この二人、若返ってから更に生き生きとしている。後半から、クレヴァス後のリィとシェラも参加。宇宙最強の船乗りかっこいいいいいい。親子で飛べてよかったね!! というところもあり、楽しかったです。

たったひとつの願いを、少女は胸に抱いている——。
騎士ダニエル・フォーネッカーと旅を続けて一年半、訪れたウェイミス王国でミオーニはダニエルの盟友ラドリと出会った。そして、その青年によってミオーニが示唆されたのは、二人でいることがダニエルの騎士としての名誉を汚す可能性だった。ひとり思い悩むミオーニ。そしてダニエルと心がすれ違ったまま、王国の政治闘争にお互いが思わぬ形で巻き込まれた時……。
「瑠璃色の夜、金の朝」のほか、書き下ろし「薄荷色の貴婦人」を収録。ガールズ・ファンタジック・ロマン完結篇!!(裏表紙より)
よく噛んで食べるんだぞ、と浮浪児だったミオーニに優しい言葉をかけてくれた、美しくて強い金色の騎士ダニエルとの旅。ミオーニは少年に間違えられるほどの幼い容姿、ダニエルも彼女を子ども扱いして、時々女の子であることを忘れている風だ……という拾われ少女と騎士の物語、完結巻。
ミオーニはダニエルと一緒にいたいという気持ちが強くて、恋人同士という雰囲気ではなさそうな気がしていたんですが、一年半の間に「女の子扱いされたい」という気持ちが強まったようです。あんまりじたばたする様子はないのですが、一緒にいたい、離れたくないという気持ちは強くなっている。そして、ダニエルはついに、手放したくない、と思う。きゃー! と叫んでしまいました。でもやっぱりどうも保護者な感じが。いつか他の人を選んだら仕方がない、と思っている様子でしたが、もうちょっとその辺りの葛藤を詳しく! お願いします! と思ったけれどこれでおしまいなのだった。うー続き読みたい。ロマンスで!

食事だと言われて居間へ移ったリィは、その瞬間、顔をしかめた。
部屋中に強烈な甘い匂いが漂っている。ドーナツ、デニッシュ、パイ、マフィン。数種類のケーキ。トーストの類もあるが、用意されているのはピーナツバターやジャムなど、見事に甘いものばかりだ。さらにスナック菓子や炭酸飲料が並んでいる。
男は髭もじゃの顔で笑っている。
「おいしそうだろう。きみの好きそうなものばかり用意させたんだ」
「ヴィッキー?」と声をかけられて振り向くと、銃口が突きつけられた。だが怪しい風体の男からは、敵意も害意も感じられなかった。「頼むから一緒に来てくれ」と言う口調には、困惑した様子がうかがえた——
これが、この奇妙この上ない誘拐劇の発端である。(裏表紙より)
怪獣夫婦から離れて、天使組の話。「追憶のカレン」に関わったある少女との約束を果たすため、シェラとリィは、ルウを保護者にしてその場所を訪れていた。リィが離れたところで、声をかけられるも、銃口を突きつけた男からは敵意を感じない。興味を引かれてついていったリィ。この誘拐劇はいったいなんだ? という、今回は常識人がなかなか出て来ず、むしろリィとシェラが振り回されたりもするので、大変。しかも専門的な話は二人ともからきし、なせいで余計に話がこんがらがってくる。
しかし、登場するヴィッキー少年はなんだかいい感じに友達になれそうで、ちょっとほんわか。リィもシェラもこういう子には好感を持ってくれるので、ちょっとわくわくしました。普通の子がもっと二人に絡めばいいのになー。学校のみんなは、二人のことちょっと特別視してるから。

ついにクレアはジェイミーに真実を打ち明けた。自分が20世紀から来た人間だということを。ジェイミーは愛する彼女の言葉を信じてくれた。
やがて二人はジェイミーの故郷を訪れるが、そこで聞かされたのは彼の姉にまつわる意外な事実。それを知ったジェイミーは姉の手を握り締めた……。
しかし、平穏な暮らしは突如引き裂かれた。ジェイミーが敵に囚われたのだ。
なんとか救出しようとするクレアに、ドゥーガルが言う——ジェイミーが助かる可能性はない!
『時の旅人クレア』興奮と感動の完結編!(裏表紙より)
久しぶりに続きを読みましたが、おーもしろー! ごろごろ転がってしまった。以前ほどクレアの状況が手探りでなくなってきたからかな。
クレアとジェイミーは逃亡し、ジェイミーの故郷ブロッホ・トゥアラッフを訪れる。ジェイミーの姉ジェニーとその夫イアンと過ごす家族の日常は穏やか。誤解や思い込みも解消されるものの、赤軍服やランダル大尉は執拗にジェイミーを追っている。ここまで危機に瀕するヒーローもないと思うし、ここまで全力で行動するヒロインもいないよなあ! 海外ハーレクイン系の長編は、とってもハードでリアリティがあって、すごい。面白い。クレアの強さが好ましい。
傷つき、疲弊し、完治しない傷を置いながらも、癒し、繋がり、祈り、愛し合う二人は確かに生きているなあと思います。アンセルム神父の言葉がどきっとした。
「あなたはここでなにか行動を起こして、未来に影響を及ぼすのが怖いとおっしゃる。非論理的です、マダム。あらゆる人の行動が未来に影響を及ぼすのですから。あなたがご自分の時代にいたとして、やはりあなたの行動は未来に影響を及ぼすのですよ、いまと変わらず。(略)」

その出会いが、一人の少女を変えた——。
浮浪児のミオーニが騎士ダニエルからもらったのは、パンとチーズと「よく噛んで食べるんだぞ」という言葉。それは誰からも顧みられることのなかった掏摸の少女に、初めて与えられたやさしさといたわり、許しと信頼だった。だからミオーニは走る、ダニエルのために。そしてクァストーレの街を戦禍から救うために……。表題作のほか、長篇書き下ろし「鈍色の記憶」を収録。甲斐透がおくるガールズ・ファンタジック・ロマン!!(裏表紙より)
気がつけば老爺に育てられ、その老爺も死に、親なしの子どもたちを集めて掏摸などをさせる親方に殴られる毎日だった浮浪児のミオーニ。金色の美しい騎士ダニエルに優しくしてもらったことが、本当に嬉しくて。こういう純粋な気持ちを抱いたままのミオーニが、一生懸命になるところを応援したくなる。そして、どんなに周囲に認められても、一緒にいたいのはダニエルだけ。でもそのダニエルは時々ミオーニのことを女の子だと忘れてしまう……大丈夫か!笑
ここで、ミオーニが成長してダニエルがぐらつくところを想像して悶えてしまうのは、私の妄想といえども仕方のないことです……。そういう展開を欲する、心から。

「あー……そっか、もしかして俺しばらく音信不通だった?」『一週間。さすがに死んだかと思うだろ』そんなにたってたっけ。どうりで六月も終わるはずだ。
——三嶋は友人の電話に起こされ、寝ぼけたままバスルームへと向かった。ふと、戸口に人の気配がし振り返ろうとした時、首筋にあてられた刃物の感触に全身が凍りついた。
「動かないで。動いたら切れるよ」
三嶋の前に突然現れた少女マドカ。三嶋の夏はこうして始まった———。
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作『キーリ』シリーズの著者、書き下ろし長編。(裏表紙より)
夏になったら読みたくなると聞いていたので、手に取ってみた。
現代らしさを残しつつも遺伝子操作、特に新生児の遺伝子をカスタムすることが流行している社会で、それらの幸不幸を抱えている主人公三嶋と、少女マドカ、その周辺の人々の物語。これは、とてもいい拾い物(誰かが家に転がりこむ話の意)!!! 世界観がとてもよくて、一緒に住む話っていうのはこういう風にちょっと寂しくて陰気な雰囲気の方が好きだー。
無気力な三嶋が、マドカに振り回され、痛い思いなどもして、過ごしていく生活がとてもいい。しかもあの場所で一度話が終わらずに、まだ続いたのがよかった! こういうの、読みたかったよー。分厚かったし、電撃文庫らしい軽さがあんまりなくて、読み応えがあって面白かった。よいものでした。

画面に現れたのは共和宇宙でも五指に入る大手保険会社キャピタル・ジェネシスの役員、ビル・ロギンスである。
「マクスウェル船長。——実はガリアナ星系へ跳んでもらいたいのです」
ダンの表情が少し変化した。
ガリアナ星系は年間数十万隻が通行する航路だが、海賊が跳梁跋扈することで有名な宙域でもある。
「海賊被害を減らす切り札となるかもしれないものを、なるべく速く届けていただきたいのです」
断ろうにも既に断れない雰囲気だ。
「おばさん、えらい人はどこ?」
ジャスミンはそれが自分に対する問いかけとは思わなかった。幼い少女の声だったからだ。
——ダンへの緊急依頼とジャスミンに声をかけた少女。この二点が重なる時、とても恐ろしい事件が……(裏表紙より)
この時代にはすでに旧式となっている《門》を用いた航海が行われているガリアナ星系。《門》を使う海賊が横行し、人質を取って身代金を要求するのだが、人質三人が帰ってこない。ジャスミンは偶然出会った少女とその家族に事情を聞き、ケリーとともに自ら救出に乗り出すが……という怪獣夫妻の話。
相変わらずジャスミン最強。なのになんだかんだ言いながら、ジャスミンもケリーも夫婦として相手のことを愛しているっていうのがにやにやです! しれっとのろけるから、ちょ、ちょっと詳しく! ってなりながらもそれが怪獣夫妻のいいところですね。
面白かった。

美由紀は幼稚園以来9年間、理世にずっと片思い。別の小中学校に通う理世とは384,403km――月と地球の距離のように遠いと思っていた。念願かなって女子高で再会するも、傷つくのを恐れる美由紀は理世への想いを告白できず悶々とする毎日。理世が先輩とHしているのを目撃! 殺意を覚えるほどの嫉妬が燃え上がり、理世を奪おうと決意する。玄鉄絢巻頭コミック&イラスト収録!(裏表紙より)
ついにこの感想記録にも百合が進出してきまして。同性ものも割といける口なのね、と自己確認しました。ティアラ文庫では珍しい、現代もので百合ものです。
見た目とは裏腹にネガティブ思考の美由紀。一方、気ままで人から好かれる性質の理世。ずっと理世を思い続けて、やっと会えると思ったら、自分の臆病さや理世の気ままさに傷つく美由紀。女の子が自分はおかしい、自分は変なんだ、こんな風に想像するのはおかしいんだ、と思いながらも好きでいることを止められないじれじれ感が可愛くて! 好きっていうのは自分も傷つくよねーましてや相手が女の子だもんねーと。晴れて恋人同士になった二人の、夢を見ているような浮遊感がまたいい。現実を遠くにして恋をしている女の子たち。