読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「あー……そっか、もしかして俺しばらく音信不通だった?」『一週間。さすがに死んだかと思うだろ』そんなにたってたっけ。どうりで六月も終わるはずだ。
——三嶋は友人の電話に起こされ、寝ぼけたままバスルームへと向かった。ふと、戸口に人の気配がし振り返ろうとした時、首筋にあてられた刃物の感触に全身が凍りついた。
「動かないで。動いたら切れるよ」
三嶋の前に突然現れた少女マドカ。三嶋の夏はこうして始まった———。
第9回電撃ゲーム小説大賞<大賞>受賞作『キーリ』シリーズの著者、書き下ろし長編。(裏表紙より)
夏になったら読みたくなると聞いていたので、手に取ってみた。
現代らしさを残しつつも遺伝子操作、特に新生児の遺伝子をカスタムすることが流行している社会で、それらの幸不幸を抱えている主人公三嶋と、少女マドカ、その周辺の人々の物語。これは、とてもいい拾い物(誰かが家に転がりこむ話の意)!!! 世界観がとてもよくて、一緒に住む話っていうのはこういう風にちょっと寂しくて陰気な雰囲気の方が好きだー。
無気力な三嶋が、マドカに振り回され、痛い思いなどもして、過ごしていく生活がとてもいい。しかもあの場所で一度話が終わらずに、まだ続いたのがよかった! こういうの、読みたかったよー。分厚かったし、電撃文庫らしい軽さがあんまりなくて、読み応えがあって面白かった。よいものでした。
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画面に現れたのは共和宇宙でも五指に入る大手保険会社キャピタル・ジェネシスの役員、ビル・ロギンスである。
「マクスウェル船長。——実はガリアナ星系へ跳んでもらいたいのです」
ダンの表情が少し変化した。
ガリアナ星系は年間数十万隻が通行する航路だが、海賊が跳梁跋扈することで有名な宙域でもある。
「海賊被害を減らす切り札となるかもしれないものを、なるべく速く届けていただきたいのです」
断ろうにも既に断れない雰囲気だ。
「おばさん、えらい人はどこ?」
ジャスミンはそれが自分に対する問いかけとは思わなかった。幼い少女の声だったからだ。
——ダンへの緊急依頼とジャスミンに声をかけた少女。この二点が重なる時、とても恐ろしい事件が……(裏表紙より)
この時代にはすでに旧式となっている《門》を用いた航海が行われているガリアナ星系。《門》を使う海賊が横行し、人質を取って身代金を要求するのだが、人質三人が帰ってこない。ジャスミンは偶然出会った少女とその家族に事情を聞き、ケリーとともに自ら救出に乗り出すが……という怪獣夫妻の話。
相変わらずジャスミン最強。なのになんだかんだ言いながら、ジャスミンもケリーも夫婦として相手のことを愛しているっていうのがにやにやです! しれっとのろけるから、ちょ、ちょっと詳しく! ってなりながらもそれが怪獣夫妻のいいところですね。
面白かった。
美由紀は幼稚園以来9年間、理世にずっと片思い。別の小中学校に通う理世とは384,403km――月と地球の距離のように遠いと思っていた。念願かなって女子高で再会するも、傷つくのを恐れる美由紀は理世への想いを告白できず悶々とする毎日。理世が先輩とHしているのを目撃! 殺意を覚えるほどの嫉妬が燃え上がり、理世を奪おうと決意する。玄鉄絢巻頭コミック&イラスト収録!(裏表紙より)
ついにこの感想記録にも百合が進出してきまして。同性ものも割といける口なのね、と自己確認しました。ティアラ文庫では珍しい、現代もので百合ものです。
見た目とは裏腹にネガティブ思考の美由紀。一方、気ままで人から好かれる性質の理世。ずっと理世を思い続けて、やっと会えると思ったら、自分の臆病さや理世の気ままさに傷つく美由紀。女の子が自分はおかしい、自分は変なんだ、こんな風に想像するのはおかしいんだ、と思いながらも好きでいることを止められないじれじれ感が可愛くて! 好きっていうのは自分も傷つくよねーましてや相手が女の子だもんねーと。晴れて恋人同士になった二人の、夢を見ているような浮遊感がまたいい。現実を遠くにして恋をしている女の子たち。
魔法と科学が交わり、人々が地上から離れて暮らす異世界。名前と生き別れた弟以外の記憶を失くしてしまった少女・イスカは、おたずね者の空賊団、アルトレオのお頭・ヤフェトに拾われ、行動をともにすることに。ヤフェトと空賊団のメンバーたち、そして偶然助けることになった空軍の青年・ルヴェンとともに、少女は失われた記憶と隠された世界の秘密に迫っていく—―。交錯する3人の運命が切なく胸に響く、空の恋愛ファンタジー。(裏表紙より)
空と魔法と科学の世界。記憶をなくした少女が、大切なものを胸に抱えていこうとする物語、の序章っぽい感じでもっと読みたいけど続きないんか!! ピュアな女の子が、世界の汚いところとか、綺麗なところをたくさん吸い込んで、誰かに伝えていくというのが本当に好きなので、是非イスカとルヴェンの関係をもっと見ていたかった!
ヴォーパルについては、多分後ろ暗い事情で出来てるんだろうなーとは思っていたんですが、あんまり予想していなかった方向で説明が来てびっくりしました。いやでもその設定とっても美味しいです。イスカの正体も意外で、そう思うとやっぱり続きが読みたいなあ……。
そういえば、何故か分からないんですが登場する人の名前が覚えられず、ちょっと苦労しました。
本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。
本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。
本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。
そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。
そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。
さえずり町のサエズリ図書館。
それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。
紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚(ラブソング)――。
あなたにとっての大切な一冊は、きっとここでみつかる。(裏表紙より)
無料公開していた一話を読んで、ぼろっぼろに泣いてから、なんだか恐くてしばらく遠ざけてしまっていた一冊。サエズリ図書館という私立図書館の特別探索司書ワルツさんと、利用者の人々の物語。
一話で、やられたー! と思ったんですが、二話からその世界が、一度終わりを迎えた時代だとはっきり分かるようになっています。どうやら首都は機能しておらず、地方ごとに運営がされているらしい。けれど、汚染された世界では確実に終わりが近付いている。
けれどそれをはっきり、本という形で「死なない」と言ってくれるのがワルツさん。終わりをひたひたと感じながら、「みんな、本を愛している」からと言ってくれる。それがなんだかなあ、胸をぐっと掴まれたように感じました。
もっとこの図書館と本の物語を読みたいなと思いました。
『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』でおなじみ海堂尊が贈る、大人気〈田口・白鳥シリーズ〉みたび登場! 伝説の歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元には匿名の告発文書が届いていた。“将軍(ジェネラル)”の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は調査に乗り出す。(上巻・裏表紙より)
『ナイチンゲールの沈黙』で起こっていたもう一つの事件。ナイチンゲールが妙に薄かったのでなんでかなーと思っていたら、事件が重なっていたのか! こちらは、病院内の派閥、人間関係、および各人の思惑が絡みあう複雑な物語。面白かった! ナイチンゲールでちょっとだけ消化不良だったけれど、これは会議のやり取りが白熱して面白かった。ナイチンゲールが桜宮市の物語だとしたら、ルージュは東城大付属病院の物語でしたね。
上巻はやっぱり白鳥はおらず、加納警視正もいない。けれど病院内の派閥が、みんな狸ばっかり……笑 田口はやっぱり巻き込まれて傍観者。と思っているのは本人と私くらいなのかな。
沼田助教授のいやらしいやり方にはうー! と唸ったし、速水の颯爽としたやり方にはほれぼれしたし、最後においしいところを押さえてくれた田口に拍手喝采! と爽快でした。姫宮ってどんな人だったかなーと思っていたら、えらく肝の座った、すっとぼけた女性で楽しかったですし、とても登場人物がいろいろでどこから切り取っても面白いなあ。
―—なぜ、アドリアンは駈け落ちなどしたのか、
異国から虜囚としてやってきた姫にだまされたのか……?
黒龍隊長ゼルス・ダガンは逃げた二人を追いながら思う。
古い貴族の家に生まれ、将来を約束された近衛騎士の青年は、美しい婚約者を置いて逃げる必要などないはずだった、と。しかし、月の輝く砂漠の中でダガンが二人を追いつめた時、アドリアンが吐露した心情、希求の叫びとは——!?
それぞれの立場、願いが交錯する表題作のほか、長篇書き下ろし「街の灯は黄水晶色にあたたかく」を収録。
期待のニューフェイス・甲斐透のデビュー作。(裏表紙より)
駆け落ちした姫と騎士。だが、姫は城を逃亡し故国へ戻って、恋しい男の元へ帰ろうとしていた。恵まれた立場に生まれた青年騎士と、異国の血を引くがゆえに出世できず部隊長に甘んじている男。二人の思いが、月の砂漠で交差するところは胸に迫ります。
出てくる人は基本的に男性ばかりですが、男所帯ながらも寄せ集めの面白さ、個性がとても楽しいです! 男どもがぎゃあぎゃあ言っているのってとてもいい。信頼されながらもいっつも貧乏くじを引かされる、不器用で優しい隊長殿って、ときめかないわけにはいかないでしょう!
少年はグレン警部の前にやって来ると、大柄な警部をきれいな菫の瞳で、珍しそうに見つめてきた。
「こんにちは。アルフォンス・レイヴンウッドです」
似ていると思ったのは最初の一瞬だけだ。短めの髪は茶色の癖毛で、シェラのつややかな銀色の髪とは似ても似つかない。肌の色も違う。声も違う。シェラの声は落ちついていたが、アルフォンスは少年特有の高くはしゃいだ声だ。
要するに、明らかな別人である。
「きみによく似ている子を知ってるんでね。シェラ・ファロットっていうんだが……」
少年は眼を丸くして、ちょっと唇を尖らせた。「ひどいや、警部さん。ぼく、男ですよ」
シェラ、まさかの失踪! その生存が刻々と絶望視される中、ルウのカードが隠された真実を語り出す……(裏表紙より)
めずらしく別行動したシェラは、その旅先で行方不明に。その後、シェラによく似た、けれど別人らしき少年が存在することを知って、リィとルウは調査に乗り出す。
どうしてこの世界のお金持ちというのは、金に物を言わせた悪者ばかりなのか! という、人と人とも思わぬ所行で、今回も動く要塞が派手に砲をぶっ放したり自爆したりと忙しなかったです。大人の男たちは金銀黒天使に翻弄されて、お疲れさまです。
“薔薇の騎士”と讃えられる青年・ケネス。彼は困窮するエストランジュを、領主として少しでも豊かにしようと努力していた。周囲からの結婚の勧めをはぐらかし、持参金目当ての結婚もする気のない彼だったが、旅先で賢いアベーハと呼ばれる少女と出会う。彼女の輝く黒髪に目を奪われたケネスは、けれどロザモンドという名の少女が調合した媚薬によって“結婚の罠”にかけられてしまい…!?(裏表紙より)
罠にかけられ、お互いの名誉を守るために結婚することになってしまった、美貌の騎士ケネスと、薬師と商才を持つロザモンド。貧困に喘ぐケネスの領地エストランジュを守るために奮闘する夫婦の物語。
面白かったー! 商才のある女の子いいなあ! 賢いアベーハと呼ばれる、真っ直ぐな気性のロザモンド。人とうまくやっていけるコミュニケーション能力もあるし、よく気のつくいい子! 対してケネスの考え方、騎士としてとか自分のプライドが邪魔して、ちょっと器が小さく見えるのはヒーローとしては減点です。もうちょっと素直になって! というわけで、とにかくロザモンドが凛としてかっこいい物語でした。シリーズのようですが三巻で打ち切り……?
第4回『このミス大賞』受賞作、300万部を突破した大ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』の続編が登場。大人気、田口・白鳥コンビの活躍再び! 今度の舞台は小児科病棟。病棟一の歌唱力を持つ看護師・浜田小夜の担当患者は、眼の癌――網膜芽腫の子供たち。眼球摘出をせざるをえない彼らに心を痛めた小夜は、患児のメンタルケアを不定愁訴外来担当の田口公平に依頼し、小児愚痴外来が始まった。(上巻・裏表紙より)
『チーム・バチスタの栄光』ががっつり医療ミステリーだったので、これもそうなのかなと思ったら、ちょっといい話系なのかと思わせる上巻。最終的に、ちょっとだけファンタジー。大長編の一話目という感じらしく、チーム・バチスタが序章だとしたら、この話は超長編の一作目っぽい。
疑心暗鬼というよりは心の奥の闇を少しずつ描いている感じ。前からこんなに病院の内情って書いてたっけという設定の盛り具合。上巻の最後で事件が起こりましたが、白鳥さんは出てこない。なんか変な警視正がいる。濃いなあ!笑
歌うことによってイメージを伝えることのできる能力の持ち主によって事件は結末を迎えます。ロジカルモンスター白鳥は真実を暴き立てた。この容赦のなさが、白鳥のいいところであり嫌なところだなあと思います。不正は許さないけれど、ある意味人に優しく、厳しく容赦なかったり。なんだか白鳥が魅力的に思えてきたぞ。
シリーズが気になるのでまた読みます! オススメありがとうございました。