読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
■美少女は再び足を止め、キアランを見上げてきた。
その長い髪はまるで純金のように眩く、その瞳はまるで最高級の翠緑玉のように深く鮮やかだった。
「あたしを誘ってるの?」《優しい狼》
■「あら、友達のお願いは聞いてくれるものよ」
「誰が? 誰の?」
「あなたが。わたしの」
いつこの女性の友達になったのだろうかと、ヴァンツァーは真剣に思い返してみた。《初戀の詩》
■「あのな、海賊」
ジャスミンはにっこり笑って言った。
「わたしはドレスアップした妻を一人で劇場に送り出すような甲斐性なしと結婚した覚えはないんだ」《怪獣の宴》
赤いマーガレットに絡む、にぎやかで彼で麗しい中篇三話の登場!(裏表紙より)
金銀黒天使に暗殺者組、怪獣夫婦とオールスターな中編。表紙は麗しい女性三人組(間違っていないよ!)
物語は、リィの姉ドミューシアが、憧れのフットボール選手キアランに侮辱されたことから始まる。
怒り狂うリィは復讐のため、問題の少年に接触を開始する、とい「優しい狼」。
先日知り合った女性ジンジャー(『サイモンの災難』より)について知ったヴァンツァーは彼女の頼みでパートナーのふりをすることに。そこで誘拐事件に巻き込まれる「初戀の詩」。
ジンジャーの舞台を見に行くことにしたジャスミンとケリーは、そこで何故か女性になっているリィと、ヴァンツァーとすれ違い、更にジャスミンは誘拐事件の解決に乗り出してしまう「怪獣の宴」。
リィが起点になっているかと思えば、実は最後で別の物語に繋がっていたという中編三話。とんでもない人々のくせに、最後の「怪獣の宴」でのクーア夫妻がなんかほっこり可愛いのが、もう!!
PR
サイモンはどきりとした。
校門から出てきた少年の一人がサイモンを一瞥し、すぐに視線を外した。他の少年たちとまったく同じ仕草に見えたが、決定的に違っていたからだ。
その鋭い視線はサイモンを貫き、サイモンの心の奥底までを一瞬で見透かした。
「きみ!」
一見したところ物憂げにさえ見える、それでいて深い知性を感じさせる、冷たく整った抜群の美貌。
「きみ、映画に出てみないか?」
「警察に通報されたくなければ、ここがどこなのかよく考えてから話したほうがいい」
この警告にサイモンは歓声を上げて喜んだ。
サイモンが無謀にも声をかけたことで事件は起こ——いや、未然に防がれたのかも知れない。その奇妙な事件は…(裏表紙より)
新人映画監督が作品を作ろうとしたことによって、事件が発生。ヴァンツァーが関わってしまったことによって、天使たちに怪獣夫婦まで加わってしまい、大騒ぎになってしまう。映画(演技)といえばこの人でしょう! というわけで、ジンジャー・ブレッドの回でもあります。
こう思うと、スカウィ組もやっぱりチートだよなあ……。ジンジャーと怪獣夫婦の絡みが好きだ。
作中の「彼女の作為」は「薮の中」みたいな話だなーと思った。もっと恐かったのは、サイモンの母親の話でした。うん、こういう人、いるよな。
挿絵も映画を撮っているということで凝っていて、最後の挿絵恐い! ジンジャー恐い! でも飴と鞭がたまらない! 好き!
父親の決めた婚約が嫌でプチ家出を結構することにした清花。京都に向かう新幹線で隣に来たのは大好きな漫画のヒーローそっくりなイケメン! ステキなハプニングが恋を運んでくる!?(帯より)
純粋培養な箱入り娘が、父親の決めた結婚が嫌で家出する。その新幹線で隣に座ったイケメンに助けられるところから始まるラブロマンス。
清花は純粋すぎ、疑わなさすぎだろう! と思って、それが理由で全部がうまく行き過ぎているような気がしましたが、幸せなら何よりでした。でも清花の純粋培養さが、本当に世間知らずなんだなーという感じなのが個人的に残念……。こういうタイプのヒロインをあんまり読んだことがなかったのですが、清純お嬢様ってこんな感じなのかな。研究してみたい。
エタニティなんですがレイティングのことを全然頭に入れておらず、そういうシーンがあってびっくりしました。そうか、これ赤だったか。ヒロインがピュアだったので、初心いところが可愛かったです(こう書くと変態くさいな……)
歳国の田舎に暮らす鈴花は、ある日突然、王子妃候補に選ばれた! しかも相手は、何人もの妃候補を追いだしたという“半仙”王子・黎鳴。貧しい家族のため、鈴花は震える声で彼に「お嫁さんにしてください!」と直球勝負!! あっさり拒否するかと思われた黎鳴だったが、なぜか「御心のままに」と鈴花の前にひざまずき……一体どういうこと!? 俺様王子と弱腰嫁、言いなり中華ラブコメ開始!(裏表紙より)
押し掛け嫁は何故か王子を言いなりにできる力があるらしい……ということで秘密の関係に。呼べば王子召喚、命じれば逆らわれることはない。なのに、鈴花自身は自信がなくて常に申し訳なさそう。しかしキレると大変面白い子でした。もっとばしっと言ってやっていいのよー!
登場人物が結構多くて、誰がどういう人(正体)なのかというのが、次の巻もあったらいいなあと思うくらいのちょい出し感。国王陛下のただ者ではないっぷりが気になります。
アディントン家の長女アリスは、父の遺した借金問題に途方に暮れていた。傾きかけた家を救うには、大金持ちの殿方との結婚しかない! 固い決意とともに、アリスは伯爵家の舞踏会に出席するのだが!? おっとりした長女のアリス、夢見がちな次女シンディ、人気者の三女キティ。十九世紀貴族社会に生きる三姉妹それぞれの愛の形とは? 女の子はみんな、幸せになるために生まれてきたの!(カバー折り返しより)
上記あらすじの、キティは三女は正確には四女の末娘。四姉妹のうち、三人の娘たちの恋愛物語。
長女アリスが、家のために結婚相手を探す物語「クリスマスプディングと花嫁」。アリスの一生懸命さと可愛らしさの勝利でした。長女のわりにはふわふわしたところが可愛らしかった。
次女シンディの「ローズティアラと花嫁」が一番好み! 貴族の奥方ってこんなものと思いながら自由奔放に生活しようとしたシンディが、「でもやっぱり私はあの人が好きなんだ……」と涙するところがほろりとしました。気の強い女の子が虚勢を張っているというのがいい!
「スウィートブルーベルと花嫁」は、アリス結婚時、まだ幼かった末の妹キティのお話。姉の結婚のおかげで磨き抜かれた愛らしさと才能で、社交界の花となった彼女が本当の恋を知るんですが、恋に溺れる感じが、英国ロマンス! という雰囲気。もっと濃密な描写だったら完全にヴィクトリアンな話ですよね(これでも充分ヴィクトリアンですが!)
個人的に、修道院に行った三女ファニーと、跡継ぎの弟ヘンリーの話も読んでみたかった! ファニーは絶対色々あったと思うんですよねー。あったら面白いと思うんですけれども!
超内気な少女ロザベラは、天涯孤独の身。思いがけず、名家「デ・コスタ家」に引き取られた彼女は、従兄を名乗る3兄弟、腹黒インテリ系長男エミリオ、無愛想な毒舌家次男ノア、やんちゃな問題児三男ダリオと出会う。なんと彼らの正体は、裏社会を牛耳る一大ファミリー! とまどうロザベラは、一族を存続させるため、3人のうち誰かと結婚して子を産むよう告げられて…!? 美しくも危険な獣たちとのラブゲーム、スタート!(裏表紙より)
めっちゃ面白いなんだこれー! ときめいたーぞくぞくしたー! 書き出しがすごく好き!
天涯孤独で内気な女の子が子どもを産む道具として引き取られ、逃げ出そうとする話なんですが、結局ロージーもデ・コスタ家の女なのだなあという。血にまつわる呪いと因縁と。この血族とその街は果たして変わることができるのかという今後の展開が楽しみすぎる。
主人公ロザベラが、内気なのに嫌味じゃなくて、底知れぬ才能を秘めているらしく、観察力もあるし考えることもできるし動ける度胸もあるしで、可愛くてかっこよすぎる。挿絵と相まってめちゃくちゃ好みすぎるんですがもうどうしよう。かわいい。美人。
「悪い子に、なっちゃう」うおおおおおお!!!
懸賞で当選した南の島旅行に旅立った和志。しかし、到着したのは無人島——しかもそこには和志にしつこく求愛してくる風変わりな画家・明仁が待ち構えていた!!「二人きりで話がしたかった」という明仁を警戒する和志だったが、豪華な屋敷や和志の好みを調べ尽くした明仁のおもてなしは完璧。しかも同性は無理と避けてきた明仁が、名家育ちゆえのちょっと愛情表現がずれてるだけの好人物だとわかり、和志は酔いに任せて唇を許してしまうが…!? ドキドキ無人島ラブバカンス!(裏表紙より)
気が強い受けと、名家出身のちょっとずれた攻めの、無人島バカンス。BLといっても濃くなくて、二人が理解し合うまでの可愛らしい話でした。無人島でいうと、多分攻めがあの手この手で受けを物にしようとするんでしょうが、この話の明仁は、あくまで和志の気持ちを尊重して、忠犬にも程があるよ! というほど耐える。丁寧で穏やかな態度を崩さない。ここが可愛い! 和志は素直になれなくて、でもだんだんと相手を認めていくところがいいな。
攻めがかわいいなーと思う話でした。
創造主=時無しの人形師に最も愛された最高傑作、人形の女王・セレネ。心を持っているのに体を動かせず、喋ることもできないように作られたセレネは、長い長い時間、真っ暗な霊廟の中で迎えが来るのを待っていた。そこに現れたのは、墓荒らしを追ってきた人形師のアーセル。セレネが魂持ちだと見抜いて攻防に連れ帰ったアーセルの手により、止まったままのセレネの「人生」は動き始めて——? 人形師と人形の禁断の恋、そして魔抱石の秘密……人形と人間の壮麗なるラブストーリー、感動の終幕!(裏表紙より)
レプリカ・ガーデンシリーズの三巻目で最終巻。一巻で登場した人形師アーセルと、人形の女王セレネの物語。人形というものは、とても純粋なものなのだなあと思ったりする。愛がちょっと重いところもあるけれど、まっすぐに誰かを強く思ってくれる存在なのかもしれない。
というのは、セレネが本当にいいこ! だからです。絶世の美少女で私は女王だと思っているのに、誰かを思いやってその相手を認めて、言葉をかけてやれる。女王だと思っているけれどちょっと考え方のずれているところがかわいい。カリンとの掛け合いがいいなーと思いました。カリンもいいこだ。
バラッドのキャラクターがずっこけるぐらいに本気なのかちょっと間が抜けているのか分からないところが、可愛くて好きです。開き直りバラッドよかった。
最終巻ということでキャラクター勢揃いで、イファとフォルトナートが出てきたのも嬉しかったなあ! 仲良さそうで何より……っていうかフォルトナートは二人きりになるとイファになんて囁いているんですかそこんところ詳しくお願いします(真顔)
クリステルとヴィリも一緒にいるみたいだし、どんどん世界が広がっていくんだろうなあという予感が嬉しかった最終巻でした。
「バビロニアの都、シュメールのたまもの」
——そう謳われるウルの都に不可避の運命がやって来る。
勇士アダイアトゥムは、それを予知していた。
天使の子にして、バビロンの不死身の勇士・アダ。
〈堕ちた天使〉を殺しに向かう少年の姿のアダを、
親友の息子トバルカインが執拗につけ狙う。
そして、怪物化した〈半天使〉が。
ともに力を合わせて戦う中、
アダとバルの間に芽生えたものは……!?
伝説の洪水が近づく古代バビロニアを舞台におくる、
胸をうつ愛と生命の物語!!(裏表紙より)
古代オリエント世界が舞台の、神話的世界。書き出しからふおおおと鼻息が荒くなりました。
この世へ生まれ出るために、彼は母親の内蔵を食らった。
そこから続く誕生の描写がもう生々しくってえぐくって好き! と思ってしまいましたすみません。
両性具有の天使の子、アダ。いつか人から隠れるほどの巨人となってしまう運命を持つバル。バルの家族を殺した過去を持つアダを、バルは憎しみを持って付けねらうが、アダが口にするのはこの世の終末の大洪水のこと。天使殺しを繰り返すアダは、怪物化した半天使ネピリムをバルとともに追うことに。
双方の不器用具合がたまらない。アダはもうずいぶん長く生きているし、バルは青臭すぎるし、すぐに素直にはなれないけれど、お互いを受け止める存在として実感したときの繋がり合いがもうね! 愛を確かめ合うシーンの壮大さが好きすぎる。世界の終わりを予期しながら、相手の存在を確かめ合うというこの、ね!
アダとバルの旅のその後「残照、あるいはアダイアトゥムの遺言」ではまた新しい始まりの予感があって、雄々しくたくましくなったバルがとてもよかったです。
美人女子大生・麻美は、15世紀のフランスにタイムスリップ。そこで出会った美少女は、伝説の乙女、ジャンヌ・ダルクだった! 負傷したジャンヌの身がわりとなって、戦場に立つ麻美。——「ジャンヌが、生き返ったぞ!」ここに、新しい伝説が生まれる!?(裏表紙より)
青い鳥文庫の「タイムスリップ探偵団」の姉妹編で、タイムスリップ・ミステリーの第三巻、ということを全く知らずに何気なく読んでいまい、シリーズ物で続き物か! としょぼーん。あらすじに惹かれたのですが、児童書で書くならこのくらいになってしまうのか。もうちょっとしっかりめのくらーくておもーいのが読んでみたかったかもしれない。
タイムスリップ体質(なのか、道具のせいなのかその辺りがここから読んだだけだとはっきり言えない)の女子大生が15世紀フランスにタイムスリップして、ジャンヌ・ダルクとともに行動する。タイムトリップについてはどうやらハト派とタカ派がいるらしく、彼らにちょっと狙われているらしい。
ジャンヌ・ダルクという人物について読者に余計な解釈を与えないようにしているのか、よく知られているような逸話以上の話は追加されていなくて、果たしてジャンヌは神の声を聞いたのかもはっきりしなかったです。火あぶりになってしまう絶望的なところにまで行き着かなくて、ちょっと物足りなさを感じつつも、「美人女子大生」とか「外交官の父」がいて外国語がめちゃくちゃできるとか「剣道」「柔道」「空手」「合気道」をかじったとか、その辺りの設定が実にあれだなあと楽しく読みました。
この本、講談社のYAなんですが、挿絵の数が多くて、右側のページにもあったり、本文の中にあったりして面白い作りにしてあるなあと思いました。