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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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昔々、隣り合う二つの国がありました。この二国はたいそう仲が悪く、長く戦争が続いておりました。やがて古い取り決めに従い、金の国アルハミトは最も美しい王女を嫁がせ、水の国バイカリは最も賢い男性を婿にやる……はずが、それぞれの国が約束を違えたことで、アルハミト王国第93王女サーラと、バイカリ王国の建築士ナランバヤルは、偶然にも偽りの夫婦を演じることになる。それは二つの国の未来を変える出来事だった。

原作が大好きで、すごく泣いて、映画化をとても楽しみにしていた作品。もうすごくよかった! 泣いた! 誰かを思う、国を思う真っ直ぐな気持ちがみんなを繋いだ、最高の作品だった。
王女ながら自分に自信がないサーラ。けれど彼女の卑屈さは言葉にされることはない、というのがすごく胸に迫る。ただどうしようもないときがあって、それが涙になってしまったり、ナランバヤルが受け止めてくれたり、というのがもう、もう……! サーラはなんて素敵な人なんだろうと思うし、その魅力をしっかりちゃんと気付いているナランバヤルが素晴らしい。
「言葉にしない思い」が緩やかに人々をつないで、誰かの言葉が気付けなかった思いに気付くきっかけになって。いやもう本当に、本当に素敵な作品をそのまま映像にしてくださって感謝しかない。いい作品を見たと心から言える、そんな映画作品だと思います。しみじみと、本当に、美しいものを見た……。
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B0BR86XLTH
山間に暮らす羊飼いのイングヴァルとマリアは、ある日羊が出産した「羊ではない何か」をアダと名付け、家族として暮らし始める。奇妙なものとの不思議で穏やかな生活は、イングヴァルの弟ペートゥルが転がり込んできたことでゆっくり崩れ始める。

羊から生まれた「何か」と共同生活を送る夫婦。アダと名付けられたそれは幼い子どもと変わらず、とても可愛らしくて愛おしい。殺すべきだと言っていた義弟も彼女の存在を受け入れた……それだけで終わったらいい話なんですけれど、イングヴァルとマリアの精神状態がおかしいのは冒頭から明らかで、陰鬱な風景とともにひたひたと嫌な予感が満ちていく。
出産した我が子を求める母羊に対する仕打ち、ペートゥルの性的な執着、ここが隔絶された場所だから起こるんだろうという秘密の空気が、多分「ソレ」を呼び寄せたんだろうというラスト。なるべくしてなったんだろうという結末で、なんとも言えない……。でもいまもこの世界のどこかでこういうことが起こっているのかもしれないなあ、なんて思ったのでした。
B07NVRR6ST
コスメ会社リリー・ルクレアのウェブ担当であるレネーは、冴えない見た目と卑屈な性格の持ち主。だが変わりたいという気持ちはあり、運動をしようと運動系ジムのソウルサイクルを訪れる。強い言葉で励ますインストラクターの声を聞きながら興奮状態のまま、不運にも自転車から落下したレネーは頭を強打。だが目が覚めたとき、その目に写ったのは美しく変貌した自分だった……他の人間には、冴えない見た目は何一つ変わっていないけれど。

太った身体に卑屈な言動、それでも限られた友人たちと励まし合いながら楽しそうに過ごしているレネー。だがもちろん「美しくなりたい」という望みはある。そんな彼女は劇的に変わることはないけれど、頭を打ったことで視覚情報にエラーが発生。自分が痩せて美しく変わったように見えるようになってしまった。見た目が変わったと思い込んだレネーの言動は変わって、多くの人をドン引きさせつつ、魅力的にも感じられるようになって……というコメディ作品。
楽しかったんですが共感性羞恥が強い人は見ていて辛い気持ちになりそう……。レネーの言動は、ポジティブとはいえだいぶ自意識過剰でちょっと大人しくしてほしいと思わずにはいられなくて。
でも自尊心が低い、というのが現在の社会の問題なのかな。エイヴリーも、イーサンも、マロリーも、成功者だったり高収入だったり美人だったりするのに、それぞれの悩みがあるという。
学校に行けなくなった中学二年生のこころ。ある日自室の鏡が不思議な色に輝き、触れた途端に向こう側へと引っ張り込まれる。そこは海の浮かぶ孤城で、待っていたのは狼の面をした「オオカミ様」なる少女と、同じ中学生の六人だった。この城に隠された鍵を見つけることで願いがなんでも叶うなど、いくつかのルールのもと、こころたちは3月末までこの城に立ち入る資格を得るが……。

公開中なので続きから。
「2人のローマ教皇」
コンクラーベにより選ばれたローマ教皇ベネディクト16世は、2012年当時いわゆるバチリークスにより、性的暴行を行った聖職者たちの存在によって教会の権威失墜に悩まされていた。退位を望む教皇は南米にいるベルゴリオ枢機卿と対話を行うことにする。やってきたベルゴリオは聖職者を守り被害者を捨て置いた教皇を強く非難し……。

実際の出来事をもとにした、教皇と枢機卿、後の二人のローマ教皇のある日々を描いた作品。
ただ喋っているだけでもものすごいドラマなのは、そこが宗教の中心地であり、それに関わる人々が世界中にいて、信仰や思想を少しばかりでも知っている人が多いという世界だからなんだろう。
教会を重んじる保守派のベネディクトと、不正を許せない改革派のグレゴリオ。まったく違う二人であっても、人々の声に耳を傾ける聖職者の二人だから、お互いの胸の中にある悲しみや後悔を理解しあえる相手だったという展開はぐっときます。権威を持っているからこそ、誰も救えないということにきっと苦しんだんだろうな……。
堅苦しい世界に身を置きながらお茶目なところもあり、静かだけれどとても豊かな作品だったと思います。
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考古学者の稗田礼次郎は妖怪の実在を唱えたことで学会を追われた変わり者。ある日亡くなった妻の兄から悪霊を鎮めるために作られたと思われる古墳を発見したという手紙を受け取る。だが教師の義兄は教え子の月島とともに行方不明になっていた。稗田は月島の行方を気にする男子生徒のまさおと出会い、その謎めいた古墳に足を踏み入れることになるが……。

少し前に「学校であった怖い話」「晦」というゲームの実況動画を見ていたんですが、そのゲームにも込められているような当時のホラーや恐怖体験のエッセンスを詰め込んだような映画がこれ。
登場する「ヒルコ」は日本神話に登場するヒルコのつもりのようですが、確かに顔や両手両足がないものではあるけれども、描かれているものは生き物としてのヒルっぽい。古墳に出てくるクリーチャーが蜘蛛だの動く頭部だの、他にも人面瘡だの、時代を感じる色々が出てくる印象が色濃い。こういうのって創作物に登場するとき流行り廃りがありますよね。興味出てきた。
オチ的には、結局すべての元凶はそのまま、封印されたものはそこにあって守り人の役目も変わらずってところが土着の話っぽい。しかしもうちょっと凶暴性を削いだっていう描写が見たかった。
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高校受験に失敗し、逃げるように北海道の大蝦夷農業高校に入学した八軒。夢も目標もないが、農業や畜産などを身近にして育ち、将来を考えるクラスメートたちに囲まれ、少しずつ自分のやりたいことを見出し始める。

原作は途中まで、アニメ試聴済み。農業と青春を絡めた作品。
やっぱり面白いんだよなあ。食べること、育てることをすぐ近くで見てきた荒川先生ならではのストーリーや信念を感じるエピソード。豚の「豚丼」やその後の八軒の選択、何度も見てもぐっとくる。生きるって、食べるってこういうことだと思う。
主要人物たちもいいんですが、先生たち大人の豪華キャストがとてもいいな。さりげなくて。
最後まで描き切るともったいないので、いいところで終わったのもよし。八軒や御影や駒場の今後は原作で!
「名探偵ピカチュウ」

21歳のティムは、疎遠だった父が亡くなったという知らせを受けてライムシティを訪れた。ポケモンと人間が共存する街で、探偵業を営んでいた父の部屋を訪ねると、そこには何故か成人男性の声で話すピカチュウがいた。記憶をなくしたピカチュウは記憶喪失であること、自分がいるからには父親は生きていることを告げ、直前まで調査していたと思われる謎の薬品を巡る事件について調べろと言う。

くしゃくしゃの顔をしたピカチュウが話題になった作品。トンチキなところはなく、ポケモンという世界や、アニメが描いてきたポケモンたちの立ち位置も把握してある作品だったように思います。
何ってミュウツーね! やっぱりミュウツーはこうでなくちゃね!
街の雰囲気も、ポケモンが描く未来都市という感じなのが愛おしかった。
毛が生えたポケモンはちょっと違和感があったものの、見ているとそういうものかと思えるし可愛かったなあ。ポケモンと一緒に歩きたい! って思ったことがあるので、実写で描いてくれてにこにこしちゃった。
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田原秀樹は婚約者の加奈と無事結婚し、一人娘に恵まれた普通の男。娘の成長をブログに書き綴る毎日だったが、名前を忘れてしまった幼なじみから「それ」が連れ去りに来ると言われたことを忘れることができないでいた。しかしついに「それ」がやってきて家族に危害を加えようとし始め、秀樹は友人の津田とオカルトライターの野崎の手を借りて対抗手段を講じることになる。だが「それ」は力を増し、ついには……。

原作は未読。これを見て思ったのは、ホラーは有名どころの役者さんたちを配置しすぎると大変に画面がうるさい……ということでした。
みなさんすごく演技はお上手なんです。お顔もとても整っている。安定感はある、でも、でも、ホラー作品には華やかすぎるんだ!!!
しかしそういう有名どころの方々がだいぶひどい死に方をするので、それが見たいという方にはお勧めします。思いっきり血とかぐちゃぐちゃ出てますけど。本当に、めっちゃ血って感じですけど。
「それ」とは結局は人々の利己的な部分に傷付けられた恨み辛みである、という描き方なんですが、ここまで凶悪化する理由は、やはり冒頭にある一族の葬儀での光景に描かれているんじゃないかなあと思いました。あの古い考えがまかり通る家、絶対恨みと憎しみが蓄積しているでしょう。子どもも幸せになれなかった子がいるでしょう、なんて思ったのでした。
「サバハ」
新興宗教を捜査し不正を指摘することで利益を得ているパク牧師は、ある日謎めいた少女の遺体が発見された事件を期に、宗教組織「鹿野苑」に調査を始める。いくつかの要素から間違いなく不認可の新興宗教だと判断するが、やがて鹿野苑と教祖と不思議な名称で呼ばれる男たち、悪鬼とされる少女と繋がっていき……。

めちゃくちゃよくできたホラーだなあ! と思って面白く見ました。
ざっくり言うと、救世を行うであろうとされる人物と、それと対抗する悪鬼の存在、この日このときこの者の手によって必ず死ぬという予言を巡るホラーとサスペンス。視聴者は主な主人公となるパク牧師の視点でこれを調査する感じなんですが、第三者としてだんだんと「これはこういうこと?」「これが、こうなるの!?」「逆転するの!?」みたいなどきどきも味わうことができてすごく面白かった。宗教のエッセンスがかなり巧みに配置されていて、なるほどなあと唸りました。
救世主と悪鬼側の見えない対決の緊迫感もよかったんですが、私はパク牧師が好きで……このエセ牧師! ペテン師! みたいな男がすごく重要な事件を捜査して真実に近付き、最後の敵に対して正当な相手がとどめをさせるよう助力するの、めちゃくちゃよかったんですよねえ。
素晴らしくまとまっているだけにもうちょっと見たい! と思わせるものがあり、可能なら1シーズンのドラマとかでやってみてほしいなあと思いました。一つずつ捜査していったら最後に一番根っこの大きな事件につながる、みたいなアレ。絶対合うと思うんだよなあ。
個人的にめちゃくちゃよかったです。面白かった。
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Author:月子
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