読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

地獄に落としたい相手を、午前零時になるとアクセスできる地獄通信に書き込む、すると地獄へ落とすことができる、という都市伝説があった。女子高生の美保は、話が合わないクラスメートたちと過ごすのに疲れつつ、自分の好きなアーティスト・魔鬼のライブへ行く。そこで痴漢にあったところ助けてくれた遥の奔放さと魅力に惹かれていく美保。やがて美保は遥のために地獄通信に書き込むが……。
アニメは視聴済み。地獄少女の扱い方がちょっとアニメと違う気がしますが、これはこれで面白かった気もします。
ちゃんと少女漫画雑誌のホラー作品の映像化っていう印象なのは、地に足ついた設定と突飛な設定が上手く組み合わさっているからかなあ。クラスや友達に馴染めないというリアリティと、ライブに行った先で知り合った子と友達になって、彼女がアーティストと接近して、そのアーティストが実は悪人かつ狂信者でというもりもり設定。地獄通信によって人が死ぬものの、本当に怖いのは人を呪う人間であるという描き方も面白いと思いました。閻魔あいちゃんは求められるままに地獄に落としているだけなのでね!
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突如として謎めいた出口のない部屋に閉じ込められた人々。警官のクエンティンは、同じ状況にある人々をまとめ、時に反目し合いつつ出口を探す。しかしこの建物は移動する部屋を間違えると命を落とす罠が仕掛けられていた。正解の部屋を導き出すための法則とは? 果たして外に出られるのか。
すべてが謎のまま、閉じ目られた人間が疑心暗鬼になり、罠ではなく悪意によって脱落していく作品。ラストのうわー! とああ……というアップダウンが最後まで余韻を残すスリラーでした。
何故ここに閉じ込められたのか。この建造物の目的は何か。誰の仕業か。などということはまったく明かされないままなんですが、それはそれで良いと感じました。とにかく人間関係のギスギスっぷりと、謎を解く面白さ、希望を抱いたところで絶望する緩急がよかった。はらはらしつつも、これは絶対メインを張っている人たちは誰も助からないんだろうなあと思っていたら案の定ですよ。出られたのがあの人だったことも暗示的でした。

ルーザーズ・クラブがペニーワイズを追い払ってから27年後。あれが現れたら連絡すると約束し、大人になってそれぞれの場所で暮らしていた彼らだったが、あのときのことは何故かすっかり忘れていた。しかし一人だけ地元ベリーに住み続けていたマイクだけがそれを覚えており、仲間たちに連絡を入れる。
「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」の続編。この話、きっと子どもが主人公だったからめちゃくちゃ怖くて、なのにわくわくしたんだよなあ。大人になって戦うことにも大きな意味はあるんだけれど、続編としては別のものになっている感があって違う形で面白いと思いました。
子どもの頃を忘れ、豊かに暮らしながらもどこかで敗北感や空虚を抱えて大人になった彼らが再び集い、少年時代のトラウマや傷と向き合い、乗り越える物語……なんて書くとすごく道徳的な話のように思えますが、実際は何かと襲われるし、誰か死んだり傷ついたりするし、危なかったりもするしとちゃんとホラーしてました。
排水口に呼ばれているの、絶対行っちゃだめだってわかるのに手を伸ばして、やっぱり襲われるからそれ見たことか! ってなってちょっと面白かった笑

無差別連続爆破事件に居合わせた精神科医の鷺谷は、刑事の茶屋が拘束した「鈴木一郎」を名乗る男の精神鑑定を担当する。人間らしい感情を持たず、常に抑制している鈴木の秘密が明らかになる頃、連続爆破事件の真犯人もまた彼女たちに近付きつつあった。
女性精神科医が刑事と協力しつつ、謎めいた男に振り回されて事件を解決する話、だけにはとどまらなかった。ダークヒーローの誕生と旅立ちを見届ける作品だったなあと思いました。
すごく堅実な話運びなのに、事件や仕掛け、個々の能力が驚く規模だったり高水準だったりするありえなさというバランスが絶妙という印象です。並外れた知能を持つ子どもを犯罪者専門の殺人ロボットにできる? あんな簡単にたくさんの人が吹っ飛ぶ爆弾を用意できる? 天才的な頭脳の持ち主で、両親を殺害したのに証拠不十分で未逮捕、末期がん、解除したら爆発する爆発物を作るなんて設定もりもりにする? 破綻していないのが本当にすごいんですが、これはやっぱり「脳男」たる鈴木一郎こと入陶大威の存在感が大きいんだろうな。

各地に謎の宇宙船が飛来し、混乱する世界。言語学者のルイーズは、アメリカ軍大佐ウェバー、物理学者のイアンらとともに来訪者たちの目的を探る任務に就く。各国がやり取りを進める中、戦いを示唆する反応があったことで緊張感が一気に高まる。だがルイーズらの見解は異なり……。
想像以上に感動系で、上手いなあ、と唸りました。構成がすごい。小説でもできないことはないけれど映像だからこそのトリックですね。
すわ戦争かという緊張感が高まっている中で、ルイーズらが一生懸命に未知の生命体との交流を試みる展開は、周りに焦らされながらもルイーズが言語やコミュニケーションのことを慎重に、大事に考えているのが伝わる部分で、なんだかじんわりした。ヘプタポッドらがちゃんと反応してくれると嬉しいですね。
結末のことを思うと、ルイーズとイアンの選択はとても重くて切ない。未来がわかっていてもそれを選ぶか。何故それを選ぶのか? その答えの一つが多分これなんだろうなあ。よき作品でした。

元刑事で現在は犯罪心理学の分野に身を置いている高倉は、妻と愛犬とともに一軒家に引っ越した。だが周囲は近所付き合いができそうにもない家ばかり。そのうちの一つ、西野家の西野氏はどうにも言動がおかしい。高倉が仕事に奔走している間に、妻に魔の手がかかり……。
軽い気持ちで見始めたら思っていた以上にサスペンスでどきどきしました。俳優さんたちの演技がすごい。サイコパスの演技がもう怖い怖い。
事件が入り組んだ挙句、自分が知らないうちに家族に被害が及んでいるのはサスペンスというよりはホラーの領域かもしれない。薬物のせいとはいえ、操られる形で犯罪を幇助するのはなんかもう、どうしようもなくてうわー!! と思いました。
妻の康子が怒りながらミキサーを回すところ、ぐちゃぐちゃにする、混ぜ合わせる、騒音で耳をふさぐという描写だったのかな。あのシーンが一番怖かったかもしれない。

戦国時代、代々ヒラ忍者の家系に生まれた乱太郎は、一流の忍者を目指して忍術学園に入学する。一年は組に所属することになった乱太郎は、きり丸、しんベヱといったクラスメートたちとともに賑やかな学校生活を送るが、あることをきっかけにプロの忍者たちと対決しなければならなくなり……。
「忍たま乱太郎」の実写映画。子どもたちの可愛いこと! 楽しそうだなあ、とにこにこしてしまった。
子どもたちの無茶苦茶ぶりに大人たちが振り回されているのですが、アニメなどではそう目立っているように思えなかった教師陣も、実車となると迫力が増し、個性的すぎて二度見してしまう笑 特に見た目。こんな見た目で忍者なの……? みたいな。
しかし戸部先生はかっこいいな……。アニメでも結構好きだったんですが実車は役者さんの見た目もあってすごく好みでした。

書き物業を生業としている私は、読者から不思議な話を集め、物語として仕立てたものを発表している。これは、そのようにして集まった10の話。「残穢」のスプンオフ作品。
『鬼談百景』に収録されている怪談を10作品映像化。すべて監督が違うのだそうで、アンソロジー映画なんですね。
「残穢」の私がナレーションをしてくれるので、続き物感が出ていてとてもよかったし、語り口が淡々としているのに聴きやすくてすごくいいなあと思いました。でもこれを見てから「残穢」に行くと怖さましましだっただろうから、逆の順番で見てよかった……。
ありえないものに襲われたり、見たり、声を聞いたりと、不可解かつぞっとする展開ばかりなのでずっと見ていると救いがないとわかって恐怖に慣れてしまうんですが笑 しかしこういうものに遭遇して怪我をして血の色を見ることになると、恐怖感とはまた違い、悪意にさらされている気がしてぞっとします。

仕事ばかりして家庭を顧みないトムは、娘の誕生日に猫をねだられる。猫嫌いながらも周りの意見を受け入れ、しぶしぶ猫を連れて帰ろうとするが、その帰り、高層ビルで事故に遭ってしまう。そして目覚めたトムは、なんと自分が猫の中にいることに気付き!?
仕事ばっかりのおじさん、猫になる。ハートフルな導入で、話も家族とのすれ違いや仕事における部下の乗っ取り計画など、王道。なのにどうしても突き抜けられない感。でもそんなに嫌いじゃない。無理矢理感も味、という印象です。
猫になるようなおじさんなので、だいぶとアレな性格のトムですが、猫であることを通して見えてくるものに気付けるというのはやっぱり変身ものとしての醍醐味ですね。猫は基本的に可愛いんですが、いまの技術ならもうちょっと本物っぽく可愛らしくCGで作れたのかな。