読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「蟲師 特別編「鈴の雫」」
およそ遠しとされしもの、下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しきものたち。それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み、いつしか総じて「蟲」と呼んだ……蟲にまつわる事柄の専門家、蟲師のギンコは、ある日山のヌシと思しき少女と遭遇する。やがて人里を訪れたギンコに、ある青年が行方知れずになった妹を山で見なかったかと尋ねる……。
2015年製作の特別編。空気感はそのまま、相変わらずしんと静まりかえった深夜に一人で見たいアニメだなあ。物悲しくて、恐ろしい。
人の世界と蟲の世界、山と人里。境界が曖昧になっているような場所で、命のあり方も不思議と混ざっている感じ。こうやってパソコンのキーボードを叩いているとなんだか遠い世界だなあと思う。でもきっと百年ほど前はすごく近い風景が日本にあったんだよな。
およそ遠しとされしもの、下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しきものたち。それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み、いつしか総じて「蟲」と呼んだ……蟲にまつわる事柄の専門家、蟲師のギンコは、ある日山のヌシと思しき少女と遭遇する。やがて人里を訪れたギンコに、ある青年が行方知れずになった妹を山で見なかったかと尋ねる……。
2015年製作の特別編。空気感はそのまま、相変わらずしんと静まりかえった深夜に一人で見たいアニメだなあ。物悲しくて、恐ろしい。
人の世界と蟲の世界、山と人里。境界が曖昧になっているような場所で、命のあり方も不思議と混ざっている感じ。こうやってパソコンのキーボードを叩いているとなんだか遠い世界だなあと思う。でもきっと百年ほど前はすごく近い風景が日本にあったんだよな。
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不思議な力を持つがゆえに辺境の砦に兄と暮らす少女ヨナ。その力を狙う者たちが次々とやってきては目的を遂げられず追い払われていたが、ある日ガルダという名の少年がヨナの運命を開く。
フルCG作品。FF等でムービー制作を担当していたクリエイターが一人で作った、という記述に驚き。ひ、一人で……? まじか……。
ストーリーは壮大な物語の始まりという感じだし、可哀想な人がいるのが気になりますが、映像は優しくも懐かしくて美しい。
2006年の作品なので2021年のいまではCGのクォリティはずっと上がっていると思うけれど、この頃のCGを作っている人の丁寧さや、自分がそれらのどんなところが好きなのかを感じて、見ていてなんだかほっとしました。そう、この柔らかい光の感じが好きだったんだ。
ミツミという名の小さなあやかしと出会った夏目は、強力なあやかしである岩鉄を起こす役目を手伝うことに。(「石起こし」)
わずかながらにあやかしを見ることのできる田沼はよくその気配に当てられて寝込んでいる。ある日父の客を迎えたが、それから毎日同じ時間にやってきては少し話して帰っていく。田沼の様子が気になった夏目は友人を助けようとして。
(「怪しき来訪者」)
原作は読了済み、のはず。全巻買っているんだけれども、夏目はどこかで聞いたような、自分が経験したような、不思議な印象の話も多くて時々あれっとなるんですよね。
原作に描かれる夏目のはかなげで幸薄そうな雰囲気が好きなので、アニメだとだいぶと生きる力が強そうに見えて若干解釈違いなんですけれども笑 あやかしたちの不気味さが和らいだ絵はこの世界のいろんな恐ろしいものと向き合わなければならない人たちを、ちょっとだけ生きやすくするのかなあ、なんて思いながらほんわか見ていました。
「恋するパイロット」
香港の航空会社に勤めるパイロットやキャビンアテンダント。世界各地を飛び回る彼らの恋模様は……。
香港のテレビドラマが元になった映画作品。
ドラマの話が元になっているせいか、人物の背景などがほとんどわからず、レトロだけれどおしゃれな映像作品みたいな印象でした。しかし調べてみるとなかなか込み入った話だなあ。お仕事ものになるとこうなるよな、というのと、職場で揉めるな……という気持ちが湧き起こる。
香港の航空会社に勤めるパイロットやキャビンアテンダント。世界各地を飛び回る彼らの恋模様は……。
香港のテレビドラマが元になった映画作品。
ドラマの話が元になっているせいか、人物の背景などがほとんどわからず、レトロだけれどおしゃれな映像作品みたいな印象でした。しかし調べてみるとなかなか込み入った話だなあ。お仕事ものになるとこうなるよな、というのと、職場で揉めるな……という気持ちが湧き起こる。
父親が亡くなり、子どもたちのために母親は忙しく働き、ユリシーズは弟と手伝いにきている叔母と暮らしている。ユリシーズはある日母親のヒール靴を履いているところを弟に見つかり、叔母にきつく叱責されて家を飛び出した。夜の街をさまようユリシーズは土曜の夜の教会で開かれるLGBTQの人々の集まりにたどり着く。安らぎを感じる一方、家庭の窮屈さは増していき……。
深い夜に隠れざるを得ないマイノリティの人たちが集まる様子が、とても寂しい。土曜の夜だけ自由になれるって。間違っている、という言葉が適切かはわからないけれど、違う、と思う。自分が自分らしくあるためにこの世界は不自由すぎる。
多忙な母親はユリシーズの状況に気付かず、家の切り盛りを任されている叔母はユリシーズのあり方を理解できず否定する。弟は年齢のせいか環境のせいかユリシーズの嫌悪を示す。学校でのいじめシーンもきつい。苦しい。
そんななか、教会で新しい友人たちと過ごすシーンの、寂しくはあるけれどほっとした安らぎが癒やしでした。現実には貧困や売春、人種の問題もあって、居場所を得るにはここまでしなくちゃならないのかと、やるせない気持ちにもなって。
そして歌がなあ! すごくいいんだよー。ミュージカル風に歌い始めるシーン、誰も彼も美しい歌声で感情を高らかに歌い上げていてはっとさせられた。
なんだかとても雰囲気が好きな作品でした。
「紅き大魚の伝説」
深い海の底に暮らす五行を司る五つの一族は人間界を管理し見守っている。十六歳になったチュンは成人の儀式として人間界へと赴くも、嵐に襲われた挙句、網にかかって身動きが取れなくなってしまう。そこへクンという名の少年に助けられるも彼は溺れ死んでしまう。彼の献身に恩を感じたチュンはクンを生き返らせるために一族の掟を破るが……。
中国のファンタジーアニメ。神様の描写や魂の考え方が中華ファンタジーという感じで好きだなあ。あとこの作品、風景の描写がとても美しい。幻想的というほどのありえなさではなくて、どこまでも自然で、こういう重畳的な光景は古い時代にあったかもしれないと思わせる懐かしさがある。
物語は神に準ずる一族の少女が、世界の理を破って人間を生き返らせようとするも、幼馴染の少年に見つかってしまったり、禁忌を犯したために天災が起こったり、ととても神話っぽい。禁を犯すものには罰があり、願いのためには代償が必要だとひたすら描いているような印象です。それだけにこう、願いのために代償を、その代償を帳消しにするために代償を、という展開にはちょっともやっとしてしまい……。諦めない心に潔さよりも往生際の悪さを感じてしまった。
それでも少年少女が自らの行いに自問自答する展開は素晴らしく好みで、素敵な作品でした。
深い海の底に暮らす五行を司る五つの一族は人間界を管理し見守っている。十六歳になったチュンは成人の儀式として人間界へと赴くも、嵐に襲われた挙句、網にかかって身動きが取れなくなってしまう。そこへクンという名の少年に助けられるも彼は溺れ死んでしまう。彼の献身に恩を感じたチュンはクンを生き返らせるために一族の掟を破るが……。
中国のファンタジーアニメ。神様の描写や魂の考え方が中華ファンタジーという感じで好きだなあ。あとこの作品、風景の描写がとても美しい。幻想的というほどのありえなさではなくて、どこまでも自然で、こういう重畳的な光景は古い時代にあったかもしれないと思わせる懐かしさがある。
物語は神に準ずる一族の少女が、世界の理を破って人間を生き返らせようとするも、幼馴染の少年に見つかってしまったり、禁忌を犯したために天災が起こったり、ととても神話っぽい。禁を犯すものには罰があり、願いのためには代償が必要だとひたすら描いているような印象です。それだけにこう、願いのために代償を、その代償を帳消しにするために代償を、という展開にはちょっともやっとしてしまい……。諦めない心に潔さよりも往生際の悪さを感じてしまった。
それでも少年少女が自らの行いに自問自答する展開は素晴らしく好みで、素敵な作品でした。
記者のカムは両親を亡くした姪のエルと暮らしている。病弱なエルのために奔走するカムは、ある日「人魚の万能薬」のことを知り、その薬を求めてエルとともにサーカスにやってきた。そこにいたのは水槽の中を漂う人魚のエリザベス。トリックだと信じないカムだが、ある日エルとともに足があるエリザベスと再会し……。
Netflixだと「ザ・リトル・マーメイド」ですが、元は「リトル・マーメイド 人魚姫と魔法の秘密」というタイトルですね。
「リトルマーメイド」を下敷きにした実写版。冒頭の雰囲気からこれは「シンデレラ」を下敷きにした「エバー・アフター」のオマージュなんだな、と理解する。あれも実際にあった出来事があってシンデレラになった、という話でしたね。
こちらは囚われのエリザベスが本当に人魚で、悪い魔法使いであるサーカス団長に魂を囚われている。記者の男性と姪の少女がその事件に関わり、カムは人魚姫と恋をし、エルは自分の力で人魚姫を救う。なかなか込み入った設定になっていますが現実に起こった話という感じではなく、とてもメルヘン。サーカスの風景や、人外の容貌を持つ人たちも登場するので、どちらかというと異世界の、スチームパンクみたいな世界の出来事みたいだなあなんて印象を持ちました。
二人の恋の続きは想像に任せるという感じなのかな。ちょこちょこ会っていたら嬉しいなあ、なんて思いました。
清掃会社で働く岡田は何もない日々に焦りを感じつつ暮らしている。ある日先輩の安藤に誘われ、阿部ユカが働くカフェを訪れた岡田は、そこで同級生だった森田と再会する。安藤からキューピッド役を頼まれた岡田がカフェの周りをうろついているとユカが現れ、実は森田にストーキングされていると話す。ユカと急接近する岡田と安藤。一方で森田はとある事件に関わっており……。
地味でなんとも普通の岡田と、アウトサイダーで殺人を犯す森田。二人の対比が苦しい作品でしたが、ちょっと軽かったのがもったいなかったなあ。岡田の普通さはわかるので、森田のことをもっと知りたかった。
岡田の平凡さが面白かった。付き合った彼女が実は経験豊富な……なんてよくあることなんだろうなと。言動がちょっと変わっている安藤も、森田と比べれば普通で、役者さんが個性的なので見ているだけで面白かった。こんなに存在感のある「普通」を演じられるのはムロさんだけだよなあ、なんて。
最後の懐かしさと希望、悲しみの漂うシーンはいい余韻でした。どこで道が分たれるかなんてわからないものだ、という気がして。
動画作りが好きなケイティは変わり者という自覚がありつつ、映画を作る大学への入学が決まった。だが自然を愛する父親のリックは動画にばかり没頭するケイティを心配するあまり、作ったものに興味を示さない。ぎくしゃくした家族を心配した母親のリンダは恐竜付好きの弟のアーロンも交え、家族四人で大学へ、しかも古い自家用車で向かうことに。しかしその旅の途中、世界的なシェアを誇る人工知能「パル」による機会の反乱が起きてしまった。
「変わり者」をここまで大きくクローズアップするのは珍しいような気がします。そして「それは全然悪いことじゃない」とはっきり肯定するのも。時代だなあ。
変わり者で全然スマートじゃないミッチェル一家。アウトサイダーな自覚があるから、みんなと違うとか、きらきらした人たちにちょっと苦手意識や恥ずかしさを感じている。そんなリアリティがとても愛おしくて、あちこちで笑ってしまった。家族の形はそれぞれで、すれ違いつつも一生懸命に愛しているんだな、という普遍的なものを感じました。
あとマシン側の意見がとても現代的だったのも目新しくて面白かったです。そうね、端末側やシステム側から見ればそうよねーと笑
女子高生のバードは写真が趣味。プレゼントされたアンティークのポラロイドカメラで写真を撮っていると、何故か不思議なものが映り込んでいることに気付く。やがて写真に映った人々が何者かによって順に殺されていくことに気付いたバードは、同級生たちとともに呪いから逃れる方法を探そうとするが……。
カメラに撮られた人々が順番に悪霊に殺されていく、というホラー。引っ込み思案な十代の少女が、気になる男子や友人たちとともに、自分たちも呪いの対象となりながら逃れようとする。十代に限らないと思うんですけれどこういう、全員が対象となりうる状況の仲間割れ、そんなこといってる場合じゃないだろう! 協力しろよ! と叫んじゃう。
呪いの発端となるものと真相は、ああやっぱり……となりつつ、内向的な主人公が最終的に誰よりも勇気を、激痛を伴うような犠牲をもって悪霊を退治する展開はいいなあと思いました。