読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

行方知れずとなった忍を探しに満洲へ渡った紅緒は、彼を知るかつての部下・鬼島と出会う。忍の訃報が誤りでないと確信した紅緒は日本へ戻り、記者の仕事に邁進するが、そこへ忍そっくりのロシアの亡命貴族ミハイロフ侯爵のことを知る。動揺する紅緒は未だ忍のことを諦めきれないでいたが、そこへ上司である編集長・青江冬星から求婚され……。
激動の後編! という感じの盛り沢山な内容。この作品、終盤の関東大震災の凄まじさに、紅緒と忍と冬星の恋模様がぐっちゃぐちゃになる展開が、なんというか、なんだかなあとなるんですよね。主に編集長がかわいそうで……。こういう大きな災害があったときにしか本当に大事なものがわからない、ほしいと言えないのは、なんだか辛いなとか。
後編でめちゃくちゃ好きだったのは環です。モダンガールになった彼女の見た目や言動がめちゃくちゃかっこよくて可愛い! 鬼島との恋も期待しちゃうし想像しちゃう!
なんとなく見始めましたが、絵は綺麗だしやっぱりお話が好きだなあと思った作品でした。
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大正七年、東京。十七歳の女学生・花村紅緒はある日陸軍歩兵少尉の伊集院忍と出会い、彼が許婚であることを知る。逆らって家出するも捕まり、伊集院家に行儀見習いとして居候の身となった紅緒だが、おてんばで素直な振る舞いは忍のみならず伊集院家の人々を魅了していく。そして紅緒も忍のことを憎からず思うようになり……。
原作は読了済み。こうしていまの作画で見ても、紅緒の言動は清々しくて楽しい。展開も、ああそうそう、こういうの好きなんだよなあ! というものがたくさんあって見ていて楽しい。ご前がどんどん絆されていく展開、王道で大好き。
何が憎いって、少尉の声に宮野真守さんを当てるのが憎い! このイケメン! 罪作り! と何度思ったか……。はまり役すぎて悶えました。

「三食昼寝付き」で「勉強ができる」と聞いて自ら宮女狩りに志願した田舎娘の銀河。宮女となるため娥舎で同室となった仲間たちとともに学ぶ銀河は、独特な感性と物言いを遺憾無く発揮する。そうして卒業試験を経て、なんと正妃に抜擢されるが新皇帝は後宮にやってくるときに出会った謎の青年コリューンで!?
「大人の小説」として活字ばかりの本を読み始めた頃、二冊目とか三冊目とかに読んだのが酒見賢一さんの『後宮小説』でした。それを原作にしたアニメがあると知ったものの、視聴する機会に恵まれず、十年くらい経ったかなあ……こうやって有料配信サイトで見られる日が来るなんてあのときは思いもしなかった。
というわけで感無量で鑑賞。短くあっさり、わかりやすくまとめられているものの、銀河の魅力はやっぱり際立っていてにっこにこで見てしまった。原作は結構周りの設定が悲惨なだけに……。
銀河の立身出世の物語として最後まで描かれていましたが、原作のルームメイトたちとの絆が好きだったので、わがままをいうならその辺りももう少し見たかった。銀河とコリューンの不思議な結びつきは想像した通りで、二人の別離はこの年になっても胸がぎゅっとしてしまったのでした……。
「蟲師 特別編「鈴の雫」」
およそ遠しとされしもの、下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しきものたち。それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み、いつしか総じて「蟲」と呼んだ……蟲にまつわる事柄の専門家、蟲師のギンコは、ある日山のヌシと思しき少女と遭遇する。やがて人里を訪れたギンコに、ある青年が行方知れずになった妹を山で見なかったかと尋ねる……。
2015年製作の特別編。空気感はそのまま、相変わらずしんと静まりかえった深夜に一人で見たいアニメだなあ。物悲しくて、恐ろしい。
人の世界と蟲の世界、山と人里。境界が曖昧になっているような場所で、命のあり方も不思議と混ざっている感じ。こうやってパソコンのキーボードを叩いているとなんだか遠い世界だなあと思う。でもきっと百年ほど前はすごく近い風景が日本にあったんだよな。
およそ遠しとされしもの、下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しきものたち。それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み、いつしか総じて「蟲」と呼んだ……蟲にまつわる事柄の専門家、蟲師のギンコは、ある日山のヌシと思しき少女と遭遇する。やがて人里を訪れたギンコに、ある青年が行方知れずになった妹を山で見なかったかと尋ねる……。
2015年製作の特別編。空気感はそのまま、相変わらずしんと静まりかえった深夜に一人で見たいアニメだなあ。物悲しくて、恐ろしい。
人の世界と蟲の世界、山と人里。境界が曖昧になっているような場所で、命のあり方も不思議と混ざっている感じ。こうやってパソコンのキーボードを叩いているとなんだか遠い世界だなあと思う。でもきっと百年ほど前はすごく近い風景が日本にあったんだよな。

不思議な力を持つがゆえに辺境の砦に兄と暮らす少女ヨナ。その力を狙う者たちが次々とやってきては目的を遂げられず追い払われていたが、ある日ガルダという名の少年がヨナの運命を開く。
フルCG作品。FF等でムービー制作を担当していたクリエイターが一人で作った、という記述に驚き。ひ、一人で……? まじか……。
ストーリーは壮大な物語の始まりという感じだし、可哀想な人がいるのが気になりますが、映像は優しくも懐かしくて美しい。
2006年の作品なので2021年のいまではCGのクォリティはずっと上がっていると思うけれど、この頃のCGを作っている人の丁寧さや、自分がそれらのどんなところが好きなのかを感じて、見ていてなんだかほっとしました。そう、この柔らかい光の感じが好きだったんだ。

ミツミという名の小さなあやかしと出会った夏目は、強力なあやかしである岩鉄を起こす役目を手伝うことに。(「石起こし」)
わずかながらにあやかしを見ることのできる田沼はよくその気配に当てられて寝込んでいる。ある日父の客を迎えたが、それから毎日同じ時間にやってきては少し話して帰っていく。田沼の様子が気になった夏目は友人を助けようとして。
(「怪しき来訪者」)
原作は読了済み、のはず。全巻買っているんだけれども、夏目はどこかで聞いたような、自分が経験したような、不思議な印象の話も多くて時々あれっとなるんですよね。
原作に描かれる夏目のはかなげで幸薄そうな雰囲気が好きなので、アニメだとだいぶと生きる力が強そうに見えて若干解釈違いなんですけれども笑 あやかしたちの不気味さが和らいだ絵はこの世界のいろんな恐ろしいものと向き合わなければならない人たちを、ちょっとだけ生きやすくするのかなあ、なんて思いながらほんわか見ていました。
「恋するパイロット」
香港の航空会社に勤めるパイロットやキャビンアテンダント。世界各地を飛び回る彼らの恋模様は……。
香港のテレビドラマが元になった映画作品。
ドラマの話が元になっているせいか、人物の背景などがほとんどわからず、レトロだけれどおしゃれな映像作品みたいな印象でした。しかし調べてみるとなかなか込み入った話だなあ。お仕事ものになるとこうなるよな、というのと、職場で揉めるな……という気持ちが湧き起こる。
香港の航空会社に勤めるパイロットやキャビンアテンダント。世界各地を飛び回る彼らの恋模様は……。
香港のテレビドラマが元になった映画作品。
ドラマの話が元になっているせいか、人物の背景などがほとんどわからず、レトロだけれどおしゃれな映像作品みたいな印象でした。しかし調べてみるとなかなか込み入った話だなあ。お仕事ものになるとこうなるよな、というのと、職場で揉めるな……という気持ちが湧き起こる。

父親が亡くなり、子どもたちのために母親は忙しく働き、ユリシーズは弟と手伝いにきている叔母と暮らしている。ユリシーズはある日母親のヒール靴を履いているところを弟に見つかり、叔母にきつく叱責されて家を飛び出した。夜の街をさまようユリシーズは土曜の夜の教会で開かれるLGBTQの人々の集まりにたどり着く。安らぎを感じる一方、家庭の窮屈さは増していき……。
深い夜に隠れざるを得ないマイノリティの人たちが集まる様子が、とても寂しい。土曜の夜だけ自由になれるって。間違っている、という言葉が適切かはわからないけれど、違う、と思う。自分が自分らしくあるためにこの世界は不自由すぎる。
多忙な母親はユリシーズの状況に気付かず、家の切り盛りを任されている叔母はユリシーズのあり方を理解できず否定する。弟は年齢のせいか環境のせいかユリシーズの嫌悪を示す。学校でのいじめシーンもきつい。苦しい。
そんななか、教会で新しい友人たちと過ごすシーンの、寂しくはあるけれどほっとした安らぎが癒やしでした。現実には貧困や売春、人種の問題もあって、居場所を得るにはここまでしなくちゃならないのかと、やるせない気持ちにもなって。
そして歌がなあ! すごくいいんだよー。ミュージカル風に歌い始めるシーン、誰も彼も美しい歌声で感情を高らかに歌い上げていてはっとさせられた。
なんだかとても雰囲気が好きな作品でした。
「紅き大魚の伝説」
深い海の底に暮らす五行を司る五つの一族は人間界を管理し見守っている。十六歳になったチュンは成人の儀式として人間界へと赴くも、嵐に襲われた挙句、網にかかって身動きが取れなくなってしまう。そこへクンという名の少年に助けられるも彼は溺れ死んでしまう。彼の献身に恩を感じたチュンはクンを生き返らせるために一族の掟を破るが……。
中国のファンタジーアニメ。神様の描写や魂の考え方が中華ファンタジーという感じで好きだなあ。あとこの作品、風景の描写がとても美しい。幻想的というほどのありえなさではなくて、どこまでも自然で、こういう重畳的な光景は古い時代にあったかもしれないと思わせる懐かしさがある。
物語は神に準ずる一族の少女が、世界の理を破って人間を生き返らせようとするも、幼馴染の少年に見つかってしまったり、禁忌を犯したために天災が起こったり、ととても神話っぽい。禁を犯すものには罰があり、願いのためには代償が必要だとひたすら描いているような印象です。それだけにこう、願いのために代償を、その代償を帳消しにするために代償を、という展開にはちょっともやっとしてしまい……。諦めない心に潔さよりも往生際の悪さを感じてしまった。
それでも少年少女が自らの行いに自問自答する展開は素晴らしく好みで、素敵な作品でした。
深い海の底に暮らす五行を司る五つの一族は人間界を管理し見守っている。十六歳になったチュンは成人の儀式として人間界へと赴くも、嵐に襲われた挙句、網にかかって身動きが取れなくなってしまう。そこへクンという名の少年に助けられるも彼は溺れ死んでしまう。彼の献身に恩を感じたチュンはクンを生き返らせるために一族の掟を破るが……。
中国のファンタジーアニメ。神様の描写や魂の考え方が中華ファンタジーという感じで好きだなあ。あとこの作品、風景の描写がとても美しい。幻想的というほどのありえなさではなくて、どこまでも自然で、こういう重畳的な光景は古い時代にあったかもしれないと思わせる懐かしさがある。
物語は神に準ずる一族の少女が、世界の理を破って人間を生き返らせようとするも、幼馴染の少年に見つかってしまったり、禁忌を犯したために天災が起こったり、ととても神話っぽい。禁を犯すものには罰があり、願いのためには代償が必要だとひたすら描いているような印象です。それだけにこう、願いのために代償を、その代償を帳消しにするために代償を、という展開にはちょっともやっとしてしまい……。諦めない心に潔さよりも往生際の悪さを感じてしまった。
それでも少年少女が自らの行いに自問自答する展開は素晴らしく好みで、素敵な作品でした。

記者のカムは両親を亡くした姪のエルと暮らしている。病弱なエルのために奔走するカムは、ある日「人魚の万能薬」のことを知り、その薬を求めてエルとともにサーカスにやってきた。そこにいたのは水槽の中を漂う人魚のエリザベス。トリックだと信じないカムだが、ある日エルとともに足があるエリザベスと再会し……。
Netflixだと「ザ・リトル・マーメイド」ですが、元は「リトル・マーメイド 人魚姫と魔法の秘密」というタイトルですね。
「リトルマーメイド」を下敷きにした実写版。冒頭の雰囲気からこれは「シンデレラ」を下敷きにした「エバー・アフター」のオマージュなんだな、と理解する。あれも実際にあった出来事があってシンデレラになった、という話でしたね。
こちらは囚われのエリザベスが本当に人魚で、悪い魔法使いであるサーカス団長に魂を囚われている。記者の男性と姪の少女がその事件に関わり、カムは人魚姫と恋をし、エルは自分の力で人魚姫を救う。なかなか込み入った設定になっていますが現実に起こった話という感じではなく、とてもメルヘン。サーカスの風景や、人外の容貌を持つ人たちも登場するので、どちらかというと異世界の、スチームパンクみたいな世界の出来事みたいだなあなんて印象を持ちました。
二人の恋の続きは想像に任せるという感じなのかな。ちょこちょこ会っていたら嬉しいなあ、なんて思いました。