読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ぼくたちは、故人さまが「どう生きてきたのか」を知る仕事。そして、遺されたひとたちの「どう生きていくのか」を支える仕事なのです。(カバー折り返しより)
納棺師当事者が仕事について語る本。父親が映画「おくりびと」の技術指導をした納棺師で、幼い頃からその仕事を見てきた木村さん。納棺師になるのは自然なことだったけれど、少しずつ納棺の仕事に疑問を持ち始め、故人様とご家族に向き合う会社を設立する。
テレビ番組で特集されたんですね。文中に出てきた納棺師の学校のこと、すごく気になるなあ。
納棺師という仕事なだけに生死を強く意識する日常で、この人は自分がどう生きたいのかをちゃんと考えて実行している人なんだなあ、と思いました。そんな風に考えて生きられる人がどれだけいるんだろう。私も、こうなりたい、こう生きたいという思いを成し遂げられる人生を送りたい。
PR
「あの、私と婚約して頂けませんか!?」
ウェルベザ王国で、長年虐げられた貧乏令嬢・アリスの一世一代の告白――受け入れたのは、初対面のはずの次期公爵だった! 眉目秀麗なアーサー・グリンデルバルドは自信のない彼女を優しい笑顔でなぜか全肯定、「君のためなら何でもする」と誓ってくれて? そんな僥倖に、アリスは公爵夫人への道を歩み出す。道は険しく、気弱な彼女に付け込む者は後を絶たない。だが、どんな窮地にもアーサーの愛は益々燃え上がり……登下校は毎日付きっきり、屋敷に住まわせ、彼女の部屋に鍵までつけてしまう始末で!?
「安心して。もう誰も君に触れさせはしない」
(……どうしてこんなに愛してくれるの?)
2人の秘められた過去が甘くて重い(?)奇跡を起こす、王道シンデレラストーリー!(裏表紙より)
会うたびに嫌がらせをしてくる将来の結婚相手から長年のモラハラを受けて、すっかり自信をなくしていたアリス。実家の経済状況が悪いため、この結婚からは逃れられない。付き合っている人がいるという嘘を本当にするために、思い切って通りかかった人に婚約を申し込んでみたら、なんとそれは公爵家令息アーサーだった。
優しく弱々しく可憐なご令嬢が、愛されて愛されて幸せになる話、でいいのかな。しかしずっと彼女が好きだったというアーサーの執着が加速し、部屋に外鍵をつけられて外出を制限されるというヤンデレエピソードがあり、愛が重いなあと笑ってしまった。笑えるのは、「嫌なら嫌と言いなさい」と言ってくれた彼の友人たちの存在と、アリスがちゃんとそれを言えたこと、アーサーが聞く耳を持っていたから。
イラストがすごく少女小説、少女漫画できらきら。カラーピンナップ、めちゃくちゃ綺麗だなあ。
二度と、戻ること叶わぬはずの異世界デルフィニア。だがこの国の未曾有の危機が、リィを再びこの大地に呼び寄せた。待ちわびた王妃の降臨。熱狂する人々。覆る劣勢。大勝利の後、凱旋した王妃は首都コーラルに五日間だけ滞在する——。
『紅蓮の夢』で語られなかった短くも濃密な日々が綴られた短篇連作集。(裏表紙より)
別名弁当箱の全集に収録されていた、リィとウォルたちの再会の物語『紅蓮の夢』の裏話的な短編集。
リィに会ったお子様たちの反応を描く「西離宮の灯り」。
アランナがある人から手紙を受け取った「ヴァンツァーの手紙」。
次期ベルミンスター公となるステファンの話、ベノアのジルとアビー夫妻の近況を知れる「リュミエント卿の葛藤」。
コーラルの変化と聖職者たちの苦悩「コーラルの十年」。
タイトル通りの「ジャンペール家の団欒」「ドラ伯爵家の騒動」「サヴォア公爵家の事件」。
他国の王女と美しい彼との出会い「ロッテと薔薇の精」。
愛妾の座に居続けるポーラを実質的な王妃にするための「ポーラの戴冠式」。
彼は何故あのときあそこにやってきたのか?「来世の約束」。
生まれたばかりの赤子を抱えて、王は王妃の肖像を見上げる「新たなる日々」。
「小説BOC」に連載されたものに新しい話を二つ加えたもの。デルフィニアの物語はこれにておしまい、でしょうか。彼らのその後がわかって嬉しくて、楽しく読んだ反面、もしリィたちがここに降り立つときはもう彼らはいない時代なんだろうなという予感もあって寂しい。
とても好きだったのは「ロッテと薔薇の精」とそのエピソードに続く「ポーラの戴冠式」。集大成って感じのシーンで、とてもとても楽しかったです。
春の卒業式を終え、貴族院の図書館は静けさを取り戻していた。司書を務める教師ソランジュはローゼマインが入学してからの、刺激に満ちた一年間を振り返る。「今年の貴族院は特別な思い出がたくさんあります」本編とは異なる視点で描かれる学園生活。ヴィルフリートやハンネローレ、オルトヴィーンといった一年生の領主候補生たちを中心に、ローゼマインの側近たちや、エーレンフェスト寮の学生、寮監なども登場。貴族院の知られざる毎日が今、鮮やかに蘇る!
本編の二年生を目前に控え、思い出噺に花が咲くビブリア・ファンタジー!
大幅な加筆修正に加えて、書き下ろし短編×10編を含む合計18編を収録した、シリーズ初の番外編!椎名優描き下ろし「四コマ漫画」も収録!(カバー折り返しより)
時期としては貴族院一年生、ローゼマインが全員で最速合格を目指していた頃から、エーレンフェストに呼び戻されている間のこと。
ヴィルフリートがめちゃくちゃ大変だった描写や、オルトヴィーンとの交流のこと。トラウゴットの辞任事件における当人してんの話。ダンケルフェルガー側の動き。アンゲリカの神殿での生活や、ユーディット、ローデリヒたち側近の気持ち。そしてめちゃくちゃみんなが気になったであろう、ハルトムートの婚約に至る経緯の話。
読んでいると先のことを思い返してちょっときつくなる話もありましたが、合間合間に挟まる、どこまでも間の悪いハンネローレの話に癒されました。可愛いなあ。やっぱり本好きということではなかったのね……。優しいなあ、ハンネローレ様は。でもエーレンフェストの本を面白いと感じてもらえたのは本当みたいでよかった。
異邦人の母を持ち、その美しい容貌と智、そして力を兼ね備え<獅子の子>と呼ばれた王子アレクシオン。かつては大陸に覇を唱えた古き王国エルドを、その聡明さと異貌がゆえに父王からも忌まれ、身分を捨て、出奔することになった悲劇の王子。いまは亡き、母が残した唯一の形見である緋色の剣と己の出生の秘密を求めアレクは旅立つ。本格ヒロイック・ファンタジー開幕。(裏表紙より)
本格ファンタジー。美しくも賢く、武勇に優れた王子が、父や周囲に疎まれ出奔し、己のルーツを探そうとする。しかしその過程で、母の残した不思議な剣に導かれていき。
緋色の剣に謎があって、母親はどこの誰とも知れぬ美しい異邦人で、という宿命と寂しさが、もう本当に、本当に「ファンタジー!」っていう感じで楽しい。こういう主人公って不思議なくらい高潔で、かっこいいんだよなあ。
それだけに出奔の理由、冒頭につながる最後の話が切なかった。次の巻で謎は解けるのかな? 謎の魔女ヘロディアや暗殺者一族がどう関わってくるかすごく気になる。
本好きのお茶会で昏倒したローゼマインはエーレンフェストに強制送還された。下町の面々との再会もあり、神殿での読書三昧に心はうきうき。冬の日々は穏やかに過ぎるように思えたが、聖典から謎の言葉と魔法陣が浮かび、引き籠もり生活は一変! 貴族院二年生の終わりに向かって尋問会、聖典検証会議が続く上、見習いの名捧げ問題に直面。初参加の領地対抗戦を観覧中には、ダンケルフェルガーとのディッター勝負へ挑むことになるばかりか、表彰式をテロが強襲!
卒業式を前に、ローゼマインはフェルディナンドと共に貴族院の騒乱を止められるのか!?
領地間の不穏な緊張感が高まる大人気ビブリア・ファンタジー最新刊!
書き下ろしSSは卒業生二人の恋物語×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(カバー折り返しより)
強制送還後、エーレンフェストでの仕事をこなす中、何故か王位にまつわる魔法陣を見つけてしまったり、下町の面々と久しぶりにやり取りをしてトゥーリのおかげで母さんの布を探り当てたり、ローデリヒが名と物語を捧げてくれたり、上級生の側付きたちが続々縁づいたり。
中でもすごく不穏なのは、王位について、フェルディナンドが関わっているっぽいところ。これでローゼマインが近くにいるのはすごくやばそう。絶対巻き込まれる。
領地対抗戦でテロが起こったのはだいぶときつい。その後みんなある程度普通にしているのが、大丈夫……? となる。よくあることなのかな……もうちょっと動揺するかと思ったんだけれど。
進級式と親睦会を終えた貴族院で、ローゼマインの新たな一年が本格化する。早速始まった講義では、エーレンフェストの二年生の「全員一発合格」を目指したり、図書委員の仲間探しに奔走! 昨年以上に次々と騒動を巻き起こす中、院内の教師や上位領地の領主候補生、中央の第三王子とも接触が増え、領地間の均衡に目を配る保護者の頭を悩ませる。
だが、我が道を突き進むローゼマインは止まらない! 夢中で駆け抜けながら、エーレンフェストの採集場所に出現した魔獣ターニスベファレンの討伐に挑むのだった。
本当は読書したいだけなのに、厄介事が止まらないビブリア・ファンタジー最新刊!
書き下ろしSS×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(カバー折り返しより)
貴族院二年生編。図書委員が集まるのと、第三王子との接触と、シュヴァルツとヴァイスのお着替えと、対立派閥の人間の名捧げについてと、魔物と不穏な気配。うーん、顕在化していないだけでローゼマインが次々に、後々おおごとになる種を蒔いている感がある笑 神具の具現化とか、絶対大騒ぎになるやつだろ! ばくしょう。
保護者陣側の番外編、めちゃくちゃ笑いました。ジルヴェスターがすごく常識人のツッコミをしている! 笑ってしまいました。
エーレンフェストの下町を美しい街へと生まれ変わらせたローゼマインは、他領への影響力を強めるため、さらなる発展を目指す。
そのためには、民の協力が欠かせない。貴族との壁を壊すため、彼女は自ら活発に動き回る。直轄地の印刷工房の視察や、染め物コンペの開催による職人の発掘、図書館建設計画の妄想(?)などなど。
複雑な領地問題が絡む兄の結婚式では、不穏な旧ヴェローニカ派への警戒も必要に。領地内の派閥争いは激しさを増していく。
季節が冬の到来を告げる頃、貴族院では二年生が始まるのだった。
ついに5周年! 騒動続きで忙しすぎるビブリア・ファンタジー最新刊!
書き下ろしSS×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(カバー折り返しより)
変化後の下町組との交流と、領地への嫁入りと、二年生への準備。
よそからやってきた花嫁、アーレンスバッハのアウレーリアが結構いい人っぽくてよかった。後にローゼマインも不思議がってたけれど、この人実家でどんな扱いを受けてたんだろうな。
染物コンペで、エーファお母さんが頑張っている番外編を読んで、ぐっときました。その分何も知らないカミルがちょっと切ないな……。こんなに大きくなったんだなあ。
呪われた島から旅立ち、逃亡の日々を送ることになった孤独の悪魔を背負う男ヨクサルと死霊術師の孫娘シュガーリア。
世界から失われつつある異端を救う道行きの中で、彼らは人ならざる有翼種の血を引く子供、ビーノと出会う。
「俺達のことは、信じなくてもいい」
「あなたは生かすわ……なんとしても」
帝国の謀略が蠢く砂漠の街、バフハに潜入した彼らに追っ手が迫る中、ヨクサルは自分の罪と過去に直面する。
「お前を殺すのは──僕の役目だよ、ヨクサル」
孤独と幻想のあわいで、シュガーリアの身を焦がしたのは、初めての恋の激情だった。(カバー折り返しより)
外の世界に出た二人の旅。どこまでもお互いしか見えていないような、この世界における尊く儚いものを見守るような気持ちで読んでしまった。ヨクサルとシュガーリアの繋がりはとても強固なものなのに、一方で脆く崩れてしまいそうな危うさと美しさがある。
幻想を破壊しながらそれを利用する帝国と、争う幻想と、その狭間の人と。否応無い変化がいずれ訪れる予感を覚えながら、ヨクサルとシュガーリアがともにあれることを祈らずにはいられません。