読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
異世界と現代を行き来する力を手に入れたジンは、魔法少女・リルネのピンチを救い、その結果凄まじい力を手に入れてしまう。己の運命を知ったジンは、リルネと共に、この滅びゆく世界を救うため旅を始めるが――。(Amazonより)
現代日本と異世界を行き来する能力を持つようになったジンは、異世界で現代日本からの転生者である魔法使いの貴族令嬢リルネと出会い、従者兼護衛をやっている。その他相手のステータスを見る能力を持つが、ある日リルネのステータスに「エンディングトリガー」なる不穏な情報を見てしまい……。
リルネの死を回避するため、能力や見えたものの意味がわからないながらも敵に立ち向かう、その始まりの物語。つまり俗に言う異世界ものの主人公設定を持つ人間が必要になってくるというお話でしょうか。状況がわからないままなのに読ませる力がすごい。続きが気になるってこういうことか。
続きが出ていないのかと思いきや2巻以降の内容もカクヨムで読める? みたいなので、時間を見つけて読みたい。
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文芸部に峰岸舞耶も加わり、今日も文集『芝姫』の編集に勤しむ文芸部メンバー達。
ある日、名瀬美月と栗山未来がふたりだけで妖夢退治に行く計画を立てていることを知る。
怒る博臣に聞く耳を持たない美月。
結局、妖夢退治には舞耶もふくめた秋人、未来、美月、博臣の文芸部全員で行くことに。
どうやら妖夢は遊園地にいるらしい。
小物の妖夢だからと高をくくっていた美月だったが——!?(裏表紙より)
第3巻なので決戦めいたことがあるのかと思いきや、とても日常。ゲストキャラとはいえ死者が出てしまいましたが、ほとんどがみんなでわちゃわちゃボケとツッコミを繰り返しています。
名瀬家に立ち向かう兄と妹と、秋人と未来の関係もわずかながら進展あり。この先彼らが大きく変わるとすればやはり妖夢絡みなんだろうなあ。
悪事を働いて逃げる三人の若者たちは廃屋と思しき店に侵入し、しばらく身を潜めることにした。だがそこへ外からシャッターに手紙が投げ込まれる。書かれていたのはなやみそうだん。実はこの店はかつて店主が投函された手紙や悩みに返答を記す場所だったのだ。不思議な因果でその返事を記す三人だが、手紙の差出人たちはやがて一つに繋がって奇蹟となり……。
落ちぶれて、やさぐれて、どうしようもない状況にいる三人の若者が、時間を超えた手紙に返答することで閉ざされてしまうであろう自分たちの未来を救う奇跡の物語。
こういう、時を超えて運命を見たり感じたりする物語は大好きです。三人が繋がりに気付いたときの興奮、私たち視聴者の興奮にリンクしてすごくどきどきしてしまった。
こうなると原作小説はもちろん、舞台やミュージカル版もすごく気になるなあ。どういう描き方をしているんだろう。機会があれば触れてみたい。
亡くなった祖母が実は再婚していたことを知った司法浪人の健太郎。フリーライターをしている姉の手伝いで、実の祖父の過去を調べることになったが、生前の祖父を知る人々は彼を「臆病者」と謗り、別の人物は激怒するなど、まったく人となりが見えない。だが最後に尋ねた闘病中の井崎は時間をかけて二人に、当時の出来事、そして祖父のことを語り始めた。
「ヘルタースケルター」から続いて見たものなんですが、二作品の視点の違いが面白い。こちらは完全に、第二次世界大戦下における男性の世界と、人の真心や情の話ですね。
当時の価値観で異常者だったであろう宮部。この作品はフィクションですが、だからこそ当時の「これは正しいことではない」「こんなのは嫌だ」という思いを結集した人物をこうして作り上げることができたんだろうな。傑物すぎて、現代の価値観でも宮部のようなことはできないと思います。
日本中から熱狂的に支持されている人気ファッションモデル・りりこには秘密がある。それはその美貌のすべてが全身整形によるものであるということ。止めらない整形と手術の痛み、美しくあらねばならないという仕事のストレスなど、りりこはすでに心身を病み、周囲を巻き込んで事件を起こす……。
美醜と女という性、大衆、メディア。美しい映像とともに醜悪なものを描き出した作品だと思って面白く見ました。綺麗で鮮やかな映像だからこそ、登場する人々の感情や在り方は醜くて、すごく気持ち悪くて面白かった。
原作は1995年から96年連載。映画は2012年。それから十年後のいま、これを見ているとそれほど美しくあろうとして努力した人間を一概に悪とは言えないと感じました。非合法なあれそれや、他者への暴力や加害は絶対に許されないけれど、美しさに執着してそれを売り物にして、人々がそれを崇めたんだから。誰も中身を見なかったんだから。
広告代理店に勤めるニックは常に自信に満ち溢れ、女性に対して優位に振る舞ってきた。だがある日離婚した妻の元にいた一人娘としばらく一緒に暮らすことになるが、まったく父親らしいことをしたことがないニックに娘は冷たい。さらにはヘッドハンティングされてきたというやり手のダーシーに会社のポジションを奪われる始末。焦ったニックはなんとかしようとするが、うっかり手を滑らせてしまい、バスルームの浴槽にドライヤーを落として感電してしまう。だがそれから女性の心の声が聞こえるという能力を得てしまい……。
当時のジェンダー観に基づいた作品。2000年でこうだったのかあと面白く見ました。
男性という立場に甘んじて女性や弱者に鈍感なニックが、まったく無視し続けていた女性の声、それも彼女らが飲み込んで当然という風潮の真実の心の声を聞くという展開はものすごく面白い。それを利用して立場を上げていくのは、小物感がありつつも憎めないところがありますね。俳優さんの魅力もあるでしょうけれど。
すごくいいなあと思ったのが、父親に愛想をつかしていた娘がニックを突き離しても、本当に大事なときにはちゃんとすぐ駆けつけたところ。これまで心の声を聞いたことでの変化もあると思いますが、娘の危機を救ってくれるのはすごくよかった。
白髪に赤い瞳の容姿から鬼子と呼ばれ、親に捨てられた過去を持つ李珠華は、街のまじない屋でまじない師見習いとして働いている。ある日、今をときめく皇帝・劉白焔が店にやってきた。珠華の腕を見込んだ白焔は、後宮で起こっている怪異事件の解決と自身にかけられた呪いを解くこと、そのために後宮に入ってほしいと彼女に依頼する。珠華は偽の妃として後宮入りを果たすが、他の妃たちの嫉妬と嫌悪の視線が突き刺さり……。まじない師が怪異の謎を解き明かす、宮廷ロマン譚!(裏表紙より)
中華風後宮ものと思いきや、独自の成り立ちがある設定なのでだいぶライトなお話。
謎の呪いで女性に近付くとじんましんが出てしまい、妃たちにも触れることができない皇帝が、自身の体質と後宮の異変を解決してくれるよう主人公に依頼したことで、一時的に後宮入り。
後宮はあまり機能しておらず、妃嬪などの身分さはあまりなく、民草やまじない師見習いの主人公が絵姿で皇帝を知っていて、距離を置かずにちゃんと口が聞けるという。後宮ものをそれなりに読んでいると、こういう軽さは目新しい気がしました。
しかし見た目のせいで思いきり、それもかなり直接的に嫌がらせを受けるので皇帝の影響力は弱いらしい。呪いへの対処法も、主人公が作ったものが理由でも別に彼女を妃にしなくてもいいのでは……と思うなど、全体的にお話があっさりしすぎていて物足りなかったです。
小犬の姿をした八百万の神・モノクロと暮らす大学生の美綾。読んだばかりの『将門記』の話をモノクロにしていると「その時代を見たくはないか」。気がつくと美綾の意識は10世紀へ飛び、そこに若き武者、将門が現れる!彼の護衛を務めるユカラの体に閉じこめられた美綾は、彼女の将門への想いを知る。やがて“えやみ”と呼ばれる邪悪な呪術が絡んだ争いが起き、ユカラは「山の民」である狼たちと共に将門を守るため戦へ向かう……。(裏表紙より)
パピヨン姿の神様と暮らす大学生の美綾。日本民俗学研究会がちょっとずつ面白くなってきたこともあって『将門記』を読み、興味が出たと告げたことがきっかけで、当時の様子を覗き見ることに……。
現代の話がほとんど関係なくなっている第三巻。内容はほとんど、平将門となる人物の若かりし頃を、蝦夷一族の少女ユカラとともに旅をしながら覗き見る話。
視点が現代人の美綾なんですが、ユカラが主人公の単独の話でも面白く読めたんじゃないかなあ。最後が悲しいのも含めて……。
虚ろな影を倒し、平穏な日常を送る神原秋人だったが、白銀の狂犬——峰岸舞耶と出会ってしまう。
彼女は異界士殺しの罪で異界士協会から追われていた。
そんな中、未来は真城優斗行方不明の重要参考人として協会の査問官である藤真弥勒に拘束されてしまう。
未来を助けたいなら、峰岸舞耶を拘束しろと弥勒から取り引きを持ちかけられるのだった。
未来を救うべく、秋人、博臣、美月の3人は行動を開始するが…。
しかし、これは大きな陰謀の序章にすぎなかった——。(裏表紙より)
人外の少年と異界士の少年少女の、青春と戦いの異能ファンタジー。
多少読みづらさはましになった気がするのですが相変わらずボケとツッコミが多くて話が進まないのがなあ……。大人の事情だの家の格だの、ラスボス的身内の存在とか美味しいところがいっぱいあるのに、一ページに一回ボケツッコミがあるくらいの頻度なので……。
秋人の秘密と、ラスボスの存在がはっきりした巻という感じかな? 名瀬泉という人がやばいというのはわかるんですが、パーソナルな話がほとんどないので謎めいている。3巻まで読み終わったらアニメも見てみたらいいだろうか……。
町外れの森に住む魔女エリシア。ある日、彼女が家に帰ると、薄汚れた服を身につけた人間の幼子が食料棚を漁っていた。手には、朝食用にとっておいたミルクパン。
腹はたつが、殺すのもめんどくさい。だが、高値で少女を売ろうにも、教養を身につけさせねばならない。そのため仕方なく少女と暮らしはじめたエリシアだったが――。
これは、嫌われ者の魔女と孤独な少女の愛と絆の物語。(Amazonより)
孤独な魔女と一人ぼっちの少女が家族になるお話。
魔女エリシアの悲惨な過去も含めて、壊れてしまいそうな幸せを大事に大事にするような物語で、とても心が温かくなりました。彼女の境遇も力も、その結果も悲しくて惨いんですが、それでも歯を食いしばって、周りに攻撃的にならなければ上手に生きていけなかったんですよね。
そんなエリシアの心を溶かすのは、世間知らずだけれど純粋な少女カナリア。もちろん別離が控えているわけですが、カナリアを迎えにきたことできっとエリシアは過去をやっと振り切れたんだろうなあ。
幸せなエピローグもとてもよかった。ここが人も魔女も魔法使いも愛した世界であるといい。