読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

妄想に囚われ、妻の浮気を責め続ける夫マサヨシ。単純な嫉妬と見える振る舞いには、本人も気づかぬ深層心理が絡んでいた――。地道な調査とカウンセリングを武器に、家庭裁判所調査官は家族問題の現場へ踏み込む。誰にも起こる感情転移、知的エリート女性の挫折と暴力、「家族」代わりの薬物使用、「家族神話」のダークサイド……。18の家庭に巣食った「しがらみ」の正体を明かし、個人の回復法を示す実例集。(裏表紙より)
2016年刊行の本。実例を取り上げながら、どちらかというと当事者の心理を解くという印象の話が多かったかな。心理学っぽい内容だったように思います。
家庭裁判所に持ち込まれたり、カウンセラーのところにやってくる問題は、家庭、家族を構成するもの全体に事件の原因や理由があるのだなとわかる。子どもだけの話じゃないし、親だけの話でもない。人がどのように生きてきて何に傷ついたのかっていうのが、事件の根本にあるんだなあ。
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その学校に入学するのは、異世界へ行った、不思議の国のアリスのような子どもばかり。つまり“向こう”に帰りたいと切望する彼らに、現実と折り合うすべを教える学校なのだ。新しい生徒のナンシーもそんなひとり。ところが死者の世界に行った彼女に触発されたかのように、不気味な事件が……。ヒューゴー賞など3賞受賞、アリスたちの“その後”を描いたファンタジー3部作開幕。(裏表紙より)
異世界より帰還した子どもたちが集められた学校がある。子どもたちはみんな、「ナンセンス」「ロジック」などに大別される異世界で、この世と異なる時間を過ごし、戻ってきた。そうしてこの学校はみんな「その"故郷"へ帰りたい」と願っている。
異世界から帰還した子どもたちは果たして現実に適合できるのかという問題に取り組んだ作品で、事件も起こりますが子どもたちの性質がすごく独特で面白いなあと思いました。ナンセンスの世界に行って適応してしまった子は、この世では独特の言い回しを使う「変わった子」になってしまうし、邪悪な性質を含む世界に行った子は見えないところに凄まじい悪性を持っている様子だったりと、「生きて帰りし」のその後が覗ける。
三部作とのことなのでこれから続きが出るのかな。第二部は前日譚らしいので機会があったら読んでみよう。

心惹かれたあの声もやっぱり森川智之だった。多彩な声を演じ分け唯一無二の存在感を放つ人気声優でありながら、自ら声優事務所の社長も務める稀有な存在。アニメから洋画の吹替え、ナレーション、ドラマCDまであらゆるジャンルで活躍し、「帝王」とも称されるプロフェッショナルが語る、声優という職人芸の秘密。(カバー折り返しより)
声優の森川智之さんが、自分の経歴や仕事、演技についてなどを語る一冊。岩波新書、いつの間にこんなものを出していたんだ(2018年4月刊でした)。
森川さんがどのようにして声優になったのか。養成所の話。先輩、同期、後輩の話。演技についての話。自らの転機となった役や吹き替えの話など、声優さんについては知らないことが多いのでなるほどなるほどと楽しく読みました。
巻末にはお仕事されたタイトルが収録されているんですが、すべて網羅しているわけではないようで。はーすごいなあ。さすが日本中の女子をお世話している人だ。

霊力をまったく持たない鹿の子は、陰陽師家の側室である東の方だ。しかし大事な御饌菓子を作るため朝から晩までかまどに張り付いていることから「かまどの嫁」と言われて下女たちに嘲笑われている。けれど鹿の子の作る菓子に魅せられたのは妖だけではなくて……。
甘いお菓子とたくさんの人・妖たちの和気藹々、ほのぼのなお話。なんですが最後にすごく暗雲立ち込めるものを感じてはらはらする。
かまどの嫁と蔑まされているものの、自分に出来ることを誇りを持って成し遂げる鹿の子。独特なマイペースさにいつしか周りも巻き込まれて……というより周りの方がいつもてんやわんやしている感じがする。旦那様との恋か、お稲荷様との恋か、それとも旦那様の式、いやまた幼馴染? という男性四人に思われている逆ハーレム状態でもあるんですが、鹿の子が本当にお菓子しか見えていないので大丈夫かなと思うし男性陣がかわいそうだ笑
また書籍のデザインが可愛くて。箔押しもあって豪華で素敵です。
![(P[む]1-16)はるかな空の東 (ポプラ文庫ピュアフル)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61eyHdWojpL._SL160_.jpg)
幼い頃の記憶がない少女ナルは、最近おなじ夢を見る。闇に浮かぶ三つの月、古城に幽閉された自分とよく似た長い髪の少女。あなたはいったい、だれ? 予言にみちびかれ、魔術師や吟遊詩人らが生きる異世界へ旅立ったナルを待っていたのは、伝え語りに隠された真実と未来に託されたはるかな願いだった。〈千年の歌姫〉の宿命をになった少女の、切なくも壮絶な戦いを描いた村山作品の原点。最終章を新たに書下ろし、ついに文庫化。(裏表紙より)
私が「こんな物語を書きたい」と思ったきっかけの一冊、その文庫化です。
ちょっと思い入れが深すぎてなかなか語れないのですが、追加で収録されたナルとハヤミ、そして世界のその後が語られていて、すごくびっくりしました。きっとこういう話になったんだろうという、世界崩壊の瞬間、トオヤの助け、そして沙由里の登場までの本編になるだろうシーンが想像できて、ぐっときました。
ハヤミは良くも悪くも普通の人で、情に厚くて、ナルがそういうことになったら多分壊れてしまうんだろうなあという危うさを持った人だったので世界崩壊までの展開は納得でした。
ナルはきっと自分よりも世界を選んだか、トオヤを信じていたかで邪神に挑んだんじゃないかな。でもそれが沙由里に繋がっているとは思わなくてさぞびっくりしたことだろう。
沙由里自身もナルにそっくりなトオヤが現れて驚いたんじゃないんだろうか。沙由里はきっと呼ばれたんだと思いながら、「いつか帰ってくればいい」と思っていまも旅をしているのかもしれない。そういう、現実を運命的かつ前向きに捉える子だったように思うので、紋章が手元にあるうちは理由があると思って旅をするんだろう。そんな気がする。
ナル・クリスタライアの伝説が垣間見れてよかった。
『はるかな空の東』はいまも私が心から愛する物語です。

いよいよ結婚を目前に控えた、刺繍好きの伯爵令嬢アウローラと近衛騎士フェリクス。彼の実家であるクラヴィス領に向かったアウローラは、“フェリクスの花嫁”という視線にさらされつつ、式の準備に奮闘する。王太子夫妻もお忍びでやってきて、喜びも忙しさも最高潮! そんな時、彼女とフェリクスを結び付けてくれた、指輪がなくなってしまい——!?(裏表紙より)
第四巻。作中では出会いから二年の時が流れ、ついに二人が結婚!
おめでとうございますー!!!!!
万感の結婚式という感じで、アウローラのこれまでの集大成だったと思います。自分の好きなことを突き詰めて、人と縁をつなぎ、フェリクスにふさわしい自分であろうと一生懸命に自らを磨いて、周りの期待に応えた彼女の、最高の晴れ舞台でした。
妖精が指輪をさらっていったのに対してあくまで常識的にそれを探して、最後には相談すると決めたアウローラが本当に彼女らしくて好きだなあと思いました。無闇に探したり秘密にしたりっていうのがないだけで賢い子だよなあと思う。
また星見の丘の妖精が可愛くて、彼女と話すシーンはなんだか胸にきました。本当に純粋で可愛い妖精さんなんですよ。かわいいなあかわいいなあ……! きゅんとしたしうるうるしました。
楽しい第四巻でした! 面白かったー!

1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である——総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。(裏表紙より)
自分にはとても当てはまらないけれど、参考になった! でも全然別の世界の話すぎて参考にならない気もする!
『すべてがFになる』の実際の発行部数や印税額の推移が表にされているので興味深かったです。印税の話、講演や雑誌での対談とか、テレビとか、そういうものの収入について書かれているので、ほーなるほど相場はそんな感じなのかーと思いました。経験してみないとわからないよなあこういうの。勉強になります。

思いを口にすることだけなら、許していただけますか?
王弟公爵フィオンへの想いを自覚した男爵令嬢コレット。フィオンは熱心に想いを伝えてくれるけれど、彼の身分ゆえに素直に言葉にすることができない。そんな中、フィオンに惚れ薬の解毒薬を飲ませることが決まる! しかし薬を飲んだ彼は別人のようになってしまい!?
累計1360万PVの甘く切ないラブファンタジー、感動のクライマックス!!(裏表紙より)
2巻にして完結巻。最後まで可愛らしいロマンスでした。
惚れ薬を通じて出会ったコレットとフィオン。彼の気持ちは惚れ薬が原因で、薬が切れれば冷めてしまうのではないかと怯えるコレットは好意を口にできずにいた。そんなコレットを排除しようとする何者かの動きが。
お話は王道なので早くうまくいけばいいなあ(最後うまくいくんだろうなあ)という安心感を持って読んでました。犯人はちょっと考えが足りなすぎるのではという気がしましたが、最後に明かされたフィオンと国王の事情も含めて、登場人物の配置が思わせぶりに感じたんですが特に活躍しないまま終わってしまったので、もう少し込み入った部分も読んでみたかったです。

再びの社交シーズン。刺繍好きの伯爵令嬢アウローラは、指輪で結ばれた美貌の近衛騎士・フェリクスとの逢瀬を楽しみに王都に向かっていた。ところが、彼に出会えた喜びもつかの間、侯爵家の次期奥様としてアウローラは王宮で花嫁修行をすることになってしまい…!?(裏表紙より)
花嫁修業として次期王太子妃の臨時侍女になって、知り合いや伝手をいっぱい作ってきてね! と送り出されたアウローラ。近衛騎士のフェリクスには過保護にされ、城内デートなんかもしたりして相変わらずの熱愛ぶり。しかし王太子妃となるリブライエルの花嫁衣装のベールが盗まれた!
という感じでアウローラ自身ではなくリブライエルが狙われたところを巻き込まれるわけですが、熱愛が度を越してすごいことに……というラストで笑ってしまいました。情熱的すぎるだろう! 大丈夫か!?(爆笑)後半は結構深刻なシーンもあったんですが、おまけの小話で全部吹っ飛びました。
次は結婚の話かな? 暴走するフェリクスをどうやって制御するのか、アウローラには頑張って欲しい、切実に。

“氷の貴公子”と名高い、美貌の近衛騎士・フェリクスが投げた指輪で縁を結ばれた、刺繍好きの伯爵令嬢アウローラ。初めての恋に戸惑いながら、豊穣祭の衣装準備に追われていたある日、彼女を狙う不審な団体がいるとの情報が! アウローラは婚約者であるフェリクスに護衛してもらうため、同じ屋敷に住むことになって…!?(裏表紙より)
社交シーズンが終わり、領地に戻ったアウローラたち。しかしアウローラのポルタ領ではこの時期は豊饒祭の準備の真っ只中。衣装に刺繍を施すアウローラだったが、街では彼女を探して暗躍する魔術師たちがいるらしい。
というわけで情報を聞きつけたフェリクス(王太子殿下付き)が捜査に乗じてアウローラといちゃいちゃする話。指揮をとっているはずの王太子殿下が霞むくらい、フェリクスの「アウローラ好き好き」光線がやばいです。カイの「もうやだこの人」に爆笑しました。
ものすごい気持ちが高まっているフェリクスに、アウローラが慣れる日は来るんだろうか……というくらいです。暑苦しいくらいの愛情を示してくれるフェリクスはもはやギャグ要員なのではと思ってしまう。本人はいたって大真面目ですが、周りの人は大変だなあ。