読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

体を壊して仕事をリタイアした颯太。とある理由から大学を休学中の、食いしん坊女子ひより。 人生迷子な二人は、亡き颯太の父が遺した小さな食堂『風来軒』で出会う。 町の人たちからとても愛されたこの食堂を存続させるため、二人は新たなメニューを探して旅に出る。 父の最期の料理はどこに? 幻の絶品コロッケの材料は? 東京から岩手の盛岡、そして北海道は美しい羊蹄山の麓、真狩村へ。 二人が歩む“おいしい旅”。元気になれるフード&ロードノベル、登場!(Amazonより)
離婚をきっかけに疎遠になった父の葬儀を出した颯太は、父の店の常連だった女子大生ひよりと出会う。人生のまいごである二人は旅と食を通じて、一歩一歩前に進んでいく。
すごく安定した読み心地で、登場人物が生き生きしていて読んでいてすごくほっとしました。物語を通して見える、食についてとか、高齢化のこと、地方のことなどが心配になったりするものの、「食べる」ことをしっかり見据えている感じがするからかな。
それぞれの悩みを抱えつつも、綺麗だね美味しいね楽しいねって思えることが素晴らしいことだと思える。そしてまた「食の記憶」をすごく大事にしている感じが愛おしかった。

強面で不器用―けれど誰よりも優しい夫、セシリオと新婚生活を送るサリーシャに、彼の姉メラニーから「パーティの準備を手伝ってほしい」という要請が?張り切って取り組むもの、なぜかすること全てが失敗続き。だがその陰では、ふたりの結婚を良く思わない者の思惑が動いていて!?蜜月中のある事件を綴った「プランシェ編」謎の少年、ロランを巡る「デニーリ編」他、書き下ろし二編を収録した「小説家になろう」大人気作品、満を持して登場。(Amazonより)
王子の妃候補だったけれど彼に選ばれなかったサリーシャ。妃となる女性を庇って傷を負い、傷物になったところを辺境伯のセシリオと結婚する。紆余曲折を経て、本当の夫婦になった二人のお話の続き。結婚式と、義姉の婚家での事件、そして義賊を名乗る盗賊団の事件が見どころ。
仲睦まじい二人がちゃんと結婚式をするのはやっぱり微笑ましいですね。幸せオーラが溢れていて読んでいてほのぼのしました。まだちょっと行き違いがあるところも、新婚という感じで可愛らしい。
ちょっと緊張感のある話だった気がするので、その後の話や番外編の甘さににやにやしました。

出版社の校閲部で働く河野悦子。彼女の周りの人たちにもそれぞれ悩みや驚くべき過去が! 他社から引き抜きオファーを受けたファッション誌編集者・森尾。彼氏に仕事を理解してもらえない、カタブツ文芸編集者の藤岩。文学賞落選で荒れる作家に対応する、悦子の天敵(!?)貝塚。同僚のお洒落男子、エリンギ似の部長、悦子を気に入るベテラン作家など個性的な面々が大活躍。仕事への活力が湧くワーキングエンタメ第2弾。解説・唯川恵(裏表紙より)
『校閲ガール』の裏で、各々が何を考えて、どんな状況にあったのかという番外編。個性的な登場人物が、各々の考えや信念でもって悩みや過去に向き合う。
意外だったのは部長の過去。ああ、きっといるよねこんな作家……という強烈な書き手との過去がひりついて、だからいま部長はこんなに穏やかな人になったんだなと思いました。しかし意外と男性に向ける視線がきついな! 女性に対する視線はわかるわかるとなるんだけれど、結構男性に厳しい。だがそこがいい。

江戸末期の絵師・月舟が描いた妖怪画には、本物が封じ込められているという。そして現代。月舟の子孫・詩子は、美大に通う学生だが、もうひとつの顔があった。散逸した月舟の妖怪画を探し、憑きものを落とす家業を継いでいたのだ。幼馴協みの青年・七森が持ち込んだ情報によると、月舟の絵を所有する画廊のオーナーが足を火で炙られるような痛みを訴えているらしく?
天才絵師・月舟が描いた絵にはモノノケが棲んでいる。(裏表紙より)
古めかしい部分の残る京都。人との繋がりが下手な少女絵師、幼馴染の青年、二人のこじれた関係。愛よりも深い思い。執着。絵を描く、高みに行くという苦しみ。色んなフェチズムが詰まっているなあと思いました。
詩子と七森のちょっと時代錯誤感のある喋り方ややりとりが好きです。全然違う世界の話みたいなのに、大学や美研があるのが現代っぽくて、なんだかあわいにいる読み心地。どこかで覚えがあるなあと思ったら、あれだ、現代舞台のオカルトものを読んでいる感覚に近いんだ。芸術を扱っているせいなのかな。
詩子と七森の関係もいいんですが、ぞわっとしたのが詩子が母親の病室に持っていく花。詩子の心が常に揺れているのが感じられてうわーっと思いました。

新人外交官の秋穂は同僚の木内たちと協力して、誘拐された蓮子の行方を追っていた。そんななか、七海幇当主の三男である月龍の屋敷が突然襲撃される。その捜査の過程で秋穂は蓮子に繋がる手がかりを得たものの、救出を目前にして彼女を保護しそこなってしまう。
事態が急展開を迎えたとき、秋穂が思い出したのは「知りたいことがあるなら、ひとりで私に会いに来てください」という、七海幇幹部の立花の台詞だった——。
この出会いは地獄への道か、悦楽への階段か。香港が舞台のラブ・サスペンス、緊迫の下巻!(裏表紙より)
面白かった!! どうなるんだろうとハラハラしました。終盤のアクション映画ばりの派手なシーンがめちゃくちゃ面白かった。そして最後に甘やかすみたいに秋穂と立花のひりつくような、でも甘いやりとりがあって「うわあああああ好きいいいいいいいい」と悶えて読了しました。続きが気になって作者様のサイトを見に行って、続編をちらっと読んで「もう……好き……」となったので続きをできれば本で読みたい。イラストがついててほしい。
後半になるまで立花はとことん恐ろしい男なのですが、一度デレると秋穂だけにはめちゃくちゃ甘いという最高の男でした。彼がどんどん秋穂にずぶずぶになっていくところが見たい。秋穂が彼に落ちてぐちゃぐちゃになるところが見たい。

香港赴任中の新人外交官である秋穂は、誘拐された邦人家族から相談を受ける。黒幕は香港最大の黒道組織、七海幇。けれど、彼らが犯人だという証拠が足りない。
歯がゆく思うなか、秋穂はひとつの出会いを果たす。政治家をアテンドして訪れたカジノを支配する七海幇幹部の男、立花。秋穂は政治家と上司を盾に脅され、買収をしかけられる。それをはねのけたことで立花に執着されて——?
清廉潔白な秋穂と外道の立花が出会い、すべてが始まる。混沌の色濃く残る香港で繰り広げられる、絶望と再生のラブ・サスペンス。(裏表紙より)
オンライン小説時代にお名前だけは存じあげていた作品、この度書籍化ということで気になって読んでみました。おおおお、面白ー!?
ノワールというのか、犯罪と社会の闇にずぶずぶに飲まれている人たちの日常、私たちにとっての非日常が物語になっている。人間の尊厳とはという部分もそうだけれど、秋穂、梨玲、蓮子がそれぞれに女性として踏みにじられ軽んじられているところを描いているのが胸糞で、抗おうとしているのが胸熱。
下巻はどうなるんだろう。楽しみ。

刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており……。(「(けものへん)(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが……(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作! 解説・京極夏彦(裏表紙より)
私が友人を殺したのを鈴虫が見ていた。その犯行が明らかになり……「鈴虫」。
刑務所で作られた椅子に掘られた謎のメモを発見した青年は、何故それが残されたのかを調べ、事件の真相に行き着く「(けものへんでケモノと読みます)(ケモノ)」。
祭りの夜、自らの犯行を回想する「よいぎつね」。
作家のもとに泥棒が謝罪に来る。なんでも貯金箱を盗んだという。心当たりがあった作家は友人を訪ねるが……「箱詰めの文字」。
彼女と彼の幸せな日常を綴る記録は、とある秘密を隠していて……「冬の鬼」。
同級生の一人からいじめのターゲットにされている小学生。ある日その中になんでも閉じ込めることができるというキャンバスを持つ女性と出会い、消してほしいものを願う「悪意の顔」。
全編後味の悪い短編集。誰かが死んだり、殺したり、奪ったりなど、人の持つ悪意すなわち鬼が描かれる。みんなどこか壊れていてぞっとしました。悪意だらけだ。
すべての話に烏と「S」という人物が出て来るのがすごーくいや。Sというのはすべて違う人なんだけれど、共通して「S」の仮称が使われているのがすごく不吉で気持ち悪い(褒めています)。

高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。(裏表紙より)
結婚式をきっかけに高校で放送部だった面々が、一人の同級生の事件と失踪についてやりとりする「十年後の卒業文集」。
恩師の依頼で、かつての教え子だという六人に会って話を聞き、それを報告する「二十年後の宿題」。
国際ボランティア隊として治安の悪い国に派遣された恋人と手紙をやりとりしながら、二人の共通であったある事故の真相が明らかになる「十五年後の補習」。
後味が悪いものもあれば、手紙の内容だけではわからない、登場人物の願いや思惑が描かれた感動的なものもあり、やっぱりすごく上手いなあと唸ったわけですが、しかし最初の「十年後の卒業文集」の手紙だけでも感じ取れるギスギス感とか女子のマウンティングが一番たまらねえぜ……と思っていました。本当こういうイヤーなところが湊作品は面白いよなあ。