読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
出版社の校閲部で働く河野悦子。彼女の周りの人たちにもそれぞれ悩みや驚くべき過去が! 他社から引き抜きオファーを受けたファッション誌編集者・森尾。彼氏に仕事を理解してもらえない、カタブツ文芸編集者の藤岩。文学賞落選で荒れる作家に対応する、悦子の天敵(!?)貝塚。同僚のお洒落男子、エリンギ似の部長、悦子を気に入るベテラン作家など個性的な面々が大活躍。仕事への活力が湧くワーキングエンタメ第2弾。解説・唯川恵(裏表紙より)
『校閲ガール』の裏で、各々が何を考えて、どんな状況にあったのかという番外編。個性的な登場人物が、各々の考えや信念でもって悩みや過去に向き合う。
意外だったのは部長の過去。ああ、きっといるよねこんな作家……という強烈な書き手との過去がひりついて、だからいま部長はこんなに穏やかな人になったんだなと思いました。しかし意外と男性に向ける視線がきついな! 女性に対する視線はわかるわかるとなるんだけれど、結構男性に厳しい。だがそこがいい。
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江戸末期の絵師・月舟が描いた妖怪画には、本物が封じ込められているという。そして現代。月舟の子孫・詩子は、美大に通う学生だが、もうひとつの顔があった。散逸した月舟の妖怪画を探し、憑きものを落とす家業を継いでいたのだ。幼馴協みの青年・七森が持ち込んだ情報によると、月舟の絵を所有する画廊のオーナーが足を火で炙られるような痛みを訴えているらしく?
天才絵師・月舟が描いた絵にはモノノケが棲んでいる。(裏表紙より)
古めかしい部分の残る京都。人との繋がりが下手な少女絵師、幼馴染の青年、二人のこじれた関係。愛よりも深い思い。執着。絵を描く、高みに行くという苦しみ。色んなフェチズムが詰まっているなあと思いました。
詩子と七森のちょっと時代錯誤感のある喋り方ややりとりが好きです。全然違う世界の話みたいなのに、大学や美研があるのが現代っぽくて、なんだかあわいにいる読み心地。どこかで覚えがあるなあと思ったら、あれだ、現代舞台のオカルトものを読んでいる感覚に近いんだ。芸術を扱っているせいなのかな。
詩子と七森の関係もいいんですが、ぞわっとしたのが詩子が母親の病室に持っていく花。詩子の心が常に揺れているのが感じられてうわーっと思いました。
新人外交官の秋穂は同僚の木内たちと協力して、誘拐された蓮子の行方を追っていた。そんななか、七海幇当主の三男である月龍の屋敷が突然襲撃される。その捜査の過程で秋穂は蓮子に繋がる手がかりを得たものの、救出を目前にして彼女を保護しそこなってしまう。
事態が急展開を迎えたとき、秋穂が思い出したのは「知りたいことがあるなら、ひとりで私に会いに来てください」という、七海幇幹部の立花の台詞だった——。
この出会いは地獄への道か、悦楽への階段か。香港が舞台のラブ・サスペンス、緊迫の下巻!(裏表紙より)
面白かった!! どうなるんだろうとハラハラしました。終盤のアクション映画ばりの派手なシーンがめちゃくちゃ面白かった。そして最後に甘やかすみたいに秋穂と立花のひりつくような、でも甘いやりとりがあって「うわあああああ好きいいいいいいいい」と悶えて読了しました。続きが気になって作者様のサイトを見に行って、続編をちらっと読んで「もう……好き……」となったので続きをできれば本で読みたい。イラストがついててほしい。
後半になるまで立花はとことん恐ろしい男なのですが、一度デレると秋穂だけにはめちゃくちゃ甘いという最高の男でした。彼がどんどん秋穂にずぶずぶになっていくところが見たい。秋穂が彼に落ちてぐちゃぐちゃになるところが見たい。
香港赴任中の新人外交官である秋穂は、誘拐された邦人家族から相談を受ける。黒幕は香港最大の黒道組織、七海幇。けれど、彼らが犯人だという証拠が足りない。
歯がゆく思うなか、秋穂はひとつの出会いを果たす。政治家をアテンドして訪れたカジノを支配する七海幇幹部の男、立花。秋穂は政治家と上司を盾に脅され、買収をしかけられる。それをはねのけたことで立花に執着されて——?
清廉潔白な秋穂と外道の立花が出会い、すべてが始まる。混沌の色濃く残る香港で繰り広げられる、絶望と再生のラブ・サスペンス。(裏表紙より)
オンライン小説時代にお名前だけは存じあげていた作品、この度書籍化ということで気になって読んでみました。おおおお、面白ー!?
ノワールというのか、犯罪と社会の闇にずぶずぶに飲まれている人たちの日常、私たちにとっての非日常が物語になっている。人間の尊厳とはという部分もそうだけれど、秋穂、梨玲、蓮子がそれぞれに女性として踏みにじられ軽んじられているところを描いているのが胸糞で、抗おうとしているのが胸熱。
下巻はどうなるんだろう。楽しみ。
刑務所で作られた椅子に奇妙な文章が彫られていた。家族を惨殺した猟奇殺人犯が残した不可解な単語は哀しい事件の真相を示しており……。(「(けものへん)(ケモノ)」)。同級生のひどい攻撃に怯えて毎日を送る僕は、ある女の人と出会う。彼女が持つ、何でも中に入れられる不思議なキャンバス。僕はその中に恐怖心を取って欲しいと頼むが……(「悪意の顔」)。心の「鬼」に捕らわれた男女が迎える予想外の終局とは。驚愕必至の衝撃作! 解説・京極夏彦(裏表紙より)
私が友人を殺したのを鈴虫が見ていた。その犯行が明らかになり……「鈴虫」。
刑務所で作られた椅子に掘られた謎のメモを発見した青年は、何故それが残されたのかを調べ、事件の真相に行き着く「(けものへんでケモノと読みます)(ケモノ)」。
祭りの夜、自らの犯行を回想する「よいぎつね」。
作家のもとに泥棒が謝罪に来る。なんでも貯金箱を盗んだという。心当たりがあった作家は友人を訪ねるが……「箱詰めの文字」。
彼女と彼の幸せな日常を綴る記録は、とある秘密を隠していて……「冬の鬼」。
同級生の一人からいじめのターゲットにされている小学生。ある日その中になんでも閉じ込めることができるというキャンバスを持つ女性と出会い、消してほしいものを願う「悪意の顔」。
全編後味の悪い短編集。誰かが死んだり、殺したり、奪ったりなど、人の持つ悪意すなわち鬼が描かれる。みんなどこか壊れていてぞっとしました。悪意だらけだ。
すべての話に烏と「S」という人物が出て来るのがすごーくいや。Sというのはすべて違う人なんだけれど、共通して「S」の仮称が使われているのがすごく不吉で気持ち悪い(褒めています)。
高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会う事ができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。(裏表紙より)
結婚式をきっかけに高校で放送部だった面々が、一人の同級生の事件と失踪についてやりとりする「十年後の卒業文集」。
恩師の依頼で、かつての教え子だという六人に会って話を聞き、それを報告する「二十年後の宿題」。
国際ボランティア隊として治安の悪い国に派遣された恋人と手紙をやりとりしながら、二人の共通であったある事故の真相が明らかになる「十五年後の補習」。
後味が悪いものもあれば、手紙の内容だけではわからない、登場人物の願いや思惑が描かれた感動的なものもあり、やっぱりすごく上手いなあと唸ったわけですが、しかし最初の「十年後の卒業文集」の手紙だけでも感じ取れるギスギス感とか女子のマウンティングが一番たまらねえぜ……と思っていました。本当こういうイヤーなところが湊作品は面白いよなあ。
父親の命令でルナリアが嫁ぐことになった相手は、冷酷な暴君と恐れられる伯爵ヴォイド。天文学が大好きなルナリアは研究が続けられなくなることを悲しむが、ヴォイドは意外にも妻の学問を許すという。夢を応援してくれた!と感激するルナリアはヴォイドを「優しい旦那様」と呼び、主人に怯える館の使用人たちを驚かせるが、ヴォイドもまた自分を怖がらず笑顔をみせるルナリアに困惑して…!? とびきり甘い新婚ラブロマンス!(裏表紙より)
闇が深い!!!!! と全力で叫んでしまった。
天然お嬢様が暴君旦那様と恋に落ちていちゃいちゃする話、かと思って読み進めて行くと、虐待(性的なもの含む)と心的外傷に至る設定がぼーん! と投入され、これ……これよくルルル文庫で書いたな……!? と思わずにはいられませんでした。メレディアの闇が深すぎて、よくルナリアはちょっとずれただけで済んだなという。
思わずその部分に全部の感想を持って行かれそうになるんですが、ほわほわして可愛らしいちょっと変わり者のヒロインと、冷徹な暴君で非道なヒーローの交流はとても可愛らしく、どきどきしました。
新婚早々の騒動も落ちつき、近衛騎士フェリクスとますます仲睦まじい日々を過ごすアウローラ。そんなある日、王太子妃リブライエルの故郷に『森の祝福』と呼ばれる珍しい刺繍があることを知る。未知なる刺繍にときめきを隠せないアウローラは、フェリクスにおねだりをして、新婚旅行へ出かけることに! ところが、旅先では不穏な出来事が待ち受けていて……!?(裏表紙より)
旅行の楽しさとその地域のもの(やっぱり刺繍ですね)のよさがふんだんに描かれている、楽しい新婚旅行のお話。二人きり、というわけではないですが仲睦まじくいちゃいちゃしているアウローラとフェリクスが微笑ましい。奥様になってもアウローラはアウローラで、毎日が楽しそうだなあとにこにこしました。
敵に回りそうな人たちの正体もわかったし、王太子夫妻も動きを見せようとしているみたいだし、王女殿下の伏線らしきものも見えるので、続きが楽しみだ。
陰謀うずまく王宮に花咲く、舞姫と親王殿下の恋物語!
貧しい村から売られてきた愛鈴は、帝のために舞う妓女見習い。月の輝く夜、親王殿下である慧俊に出会い、互いに惹かれ合うが…!? 陰謀うずまく宮廷で、恋と友情と野心が交錯するドラマチック・ファンタジーとして大人気を博したシリーズの、未収録&未発表ショート番外編3作を、電子オリジナル短編集として配信! 書き下ろしあとがきも収録。カバーイラストは藤間麗先生の描き下ろし!(Amazonより)
電子オリジナル。あとがきいわく、どこにも収録されなかったショートショートをまとめたものだそう。本編のその後の短編三本を収録。
結婚後の主人公たちの甘いお話「ある夜の話」。愛鈴の妹が絡むこれまた甘いお話「妹と姉と夫の評価」。そしてメインカップル三人組が、それぞれ妻組、旦那組にわかれてひとときを過ごすバカップルたちのお話「果てのない話」。
この三本目、どこかで見たことある、と思ったら特装版についていたドラマCDの原案なんですね。確か友人に聞かせてもらった(『舞姫恋風伝』を勧めてくれた人です)。
懐かしくて可愛らしくて、甘々でした。