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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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華族家の当主と使用人——文子と正章の主従関係は、正章が伯爵家の血を引くと判明し逆転した。当主になりかわった彼はオスの本能に目覚め文子の身体を征服。「男」として生きてきた矜恃を汚すように、「女」としての官能を刻まれて……。絶望する文子に英国人青年の求婚が!駆け落ちする寸前、怪物じみた独占欲を剥き出しにした正章が現れ、文子を監禁。底知れぬ執着愛の果てとは!?(裏表紙より)

内容紹介がほぼストーリーですが、読んでみると考えていた以上にどろっどろのぐっちゃぐちゃ、サディズムとマゾヒズムが入り乱れる、歪んだ執着の物語でした。こういうのをTLで読めるのが面白いなあと思います。
女系華族家に生まれた末子の文子は後継の「文人」として生きていたが、父伯爵が亡くなる直前、妾が産んだ直系の男子として奉公人だった正章が名乗りを上げた。以前から文人の本当の性別を知っていた正章を執拗にいたぶるという歪んだ関係だったのが、立場が変わったことで「文子」として正章に踏みにじられるようになる。
時代が近代、大正くらいなので、男性として育った文子が女性に戻った後の違和感や価値観のずれへの葛藤が作品に強く生きていて、性行為への疑問を抱かせるストーリーなのが見事。TL小説では当たり前に描かれる行為も、支配する/される、という強者と弱者の関係に陥ってしまえるものだという……勉強になりました。
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きっと、私たちは大丈夫!
外資系ITサポートセンターで働く29歳の派遣OL・後藤。ユーラシア大学時代からの親友・中尾と、飲み屋で本音トークを繰り広げる日々。自分探しなんてまっぴら、腹立つことや悔しいこともいっぱいあるけど、私は私で、きちんと生きてる!全ワーキングガール必読、仕事に恋に悩む、アラサー女子の憂鬱を吹き飛ばすウルトラハッピーストーリー。解説は、作家の山内マリコ。(裏表紙より)

全力でハッピーになるぞ! という作品。バカ大学出身でコールセンターで働き続け正社員になれと言われ続けている後藤。派遣会社の社員として登録者を送り出している中尾。二人の仕事と恋を、この世の中の「バカにしやがって」みたいな出来事を挟みつつ幸せな物語に仕立ててあって、すごく楽しかった。後藤と中尾の率直なやりとりが楽しすぎる。
二人がいい感じにそれぞれまとまったので、最後に出てきたパティの話はどうするんだろうと思ったけれど、御伽話感はありつつも最高な終わりだった。しかも最後の最後の台詞が「馬糞踏んだー!!」なのが本当に最高! 糞を踏んだとしても、水道水でざばざば洗い流して「踏んだ!」って言える幸せがある清々しさを感じました。
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不穏な知らせを受け取って、急ぎ王都に戻ってきたアウローラとフェリクス。そこで二人が見たのは、黒い霧に包まれた変わり果てた神殿の姿だった。王都を『楽園』に作り替えようとする魔法使いカーヌス一行の野望を阻止するため、アウローラたちは対策を講じるのだが――!? 魔法使いたちとの最終決戦がついに迫る! 見逃せない大人気シリーズ完全書き下ろしの第8弾登場!!(裏表紙より)

楽園を求める魔法使いとの対決、決着直前巻という感じで続きものです。でもアウローラとフェリクスはいちゃいちゃしているし、アウローラは刺繍をしているし、犯人に近しい内通者もはっきりしたので消化不良感はなくて、次でどうなるんだろうというワクワク感が強いです。次巻楽しみだなあ!
この巻ですごく納得できた描写があって。とある優秀な少女が何故そのような行為に至ったのかと大人たちが話すシーンがあるんですが、男性があんまり気付いていない部分を女性陣が語る内容がもうほんと、それな! っていう。ざっくり言うと「身の程を知るようになるから大丈夫だと思った」という内容なんですけれど、ものすごくリアリティがありました。社交界の話でしたけどこれが学校だったら? 社会を知るってそういうことなんだよ……って。
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まだ古き世の名残が尾を引く開明の時代、明治45年。横濱。女学生の紅の父親が持つ長屋には、いつの頃からか、ひょろりと痩せた京訛りの青年絵師が住みついていた。紅が幼い頃から長屋に暮らす時川草介というその青年は、幼い頃に神隠しにあったことがあり、そのせいか怪異を見ることができるという。あるとき、紅の許嫁だった好青年・一谷誠一郎が行方不明となり、草介に助力を求めたが……?(Amazonより)

明治の末、庭師の父を持つ女学生の紅は、長屋に住む売れない絵師の草介に助けを求めた。消えてしまった許嫁はどうやら椿にかどわかされたらしく、怪異を見ることができる草介ならと思ったのだった。
まっすぐで世間知らず、心優しい女学生が、のらくらと生きる風変わりな訳あり絵師とともに身近な謎を解く。謎は、怪異のせいのように描かれているものの実際はもっと恐ろしいものによる仕業。紅の言動と振り回される草介のやりとりが楽しい分、真相や、隠された草介の過去なんかの影が黒々と深くなっていて、とても明治モダンらしさが詰まっている。
時川という名前から、過去作の『モノノケ踊りて、絵師が狩る。』に繋がる人物なんだなあと想像するのも楽しい。時川の人だから、なんとも形容しがたい、固く結びついて離れがたい関係を形成するのは当然のことなんだなあと思ったりなどして、今後の二人をもっと見ていたいなと思いました。
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30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。
が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。
――なぜか?
私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。(カバー折り返しより)

翻訳家の宮崎さんが自らに起こったトラブルと出版界の闇を語る。
読んでいて、確かにものすごく正当な怒りなんだけれども、ちょこちょこ欲望のせいでこういう事態を招いてしまったんじゃないかと思われるエピソードがあって、そういう人に悪い人が寄っていったんだろうなあと思ったところがいくつかあった。けれども、後の人が搾取されないように、というのは物凄くありがたい話だ。
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ひっそり平凡に暮らしたい!…のに『最恐』竜王様の溺愛花嫁になることに!?
獣人のなかでも『最恐』とウワサの竜王・カインに嫁ぐことになってしまったレイナ。クールな彼のお飾りの妻として毎日ビクビク過ごす…はずだったのに、過保護に守られ、たくましい胸に抱きしめられ、彼の溺愛が次第にダダ漏れになっていき!? こんなに愛されまくる なんて聞いてません!! 本当は獣の本能のままに独り占めしたい、カタブツ竜王様の不器用な求愛ラブ!(裏表紙より)

家族から虐げられる不遇な王女レイナ。意地悪な姉が嫌がった獣人の王との結婚を代わりに受けるように命令されて嫁いだ先で、彼女は少しずつ本来の自分を取り戻す。王道の恋愛ファンタジーです。
冒頭、養家で楽しそうに暮らしていたはずが、血の繋がりのある父王の元に引き取られるとあっという間にびくびく、姉王女や兄王子に遠慮するようになってしまったレイナ。このときの言動が印象的すぎたのか、中盤以降の活動的な様子に「いったいどうした!?」と戸惑ってしまいました。突然変貌したように思えて……。
カインのこじらせは、王ならもうちょっとなんとかできたんじゃないかなあと思ったんですけれども、能力の割に可愛らしい性格で微笑ましかったです。
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これまで4匹の猫たちと暮らしてきた著者が綴る賢く、かわいい猫たちとの日々のエッセイ。そして、4つの季節と、猫にまつわる短編小説を収録。猫のもつ不思議な力によって、物語は意外な方向へ…。(カバー折り返しより)

猫との暮らしのエッセイと、猫と長崎を題材にした四つの短編を収録。
猫が好きで、猫がいる毎日が当たり前なんだなあ、といういい意味で特別感のない優しい日記のようなエッセイ。
私は犬も猫もいない家庭で生まれ育ったので、犬が好き、猫が好き、と当たり前のように言える人たちが実はちょっと羨ましいのです。いやしかし写真の猫さんたちの可愛いことよ。
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手帳と文具の本。手帳はただスケジュールを書くだけじゃなくて、出費をつけたり、パスワードノートを作ったりって色々使い方があるんだなあと目から鱗が落ちました。
またカラーなのでどのページも楽しげ。すごくノートが書きたくなりました。
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卑猥な宝石に恋する少女趣味ファッション店員、美少年の生徒に慕われる幼児体型の養護教諭、アイドルの夫の帰りを待つ幼妻、可愛い恋人がありながら不倫するSM女子、優しく賢く美しい叔父様に引き取られた少女、「眠り姫」と綽名される女子大生……薄い胸、華奢な四肢、可憐な顔立ちで周囲の欲望を絡めとる少女たち。その刹那のきらめきを閉じ込めた異端にして背徳の恋愛短篇集。R-18文学賞受賞作家が描く愛の毒6篇(裏表紙より)

黒い方の宮木さん。エロティックなお話ばかりで、読んでいて胸がひりひりする、ちょっと病んでいる雰囲気を持つ短編の数々。
ロリータファッション店員が恋する希少真珠の指輪を絡めた物語「コンクパール」。
養護教諭と男子生徒の短い逢瀬と、終焉を描く「春眠」。
アイドルの夫を持つ少女の夢物語「光あふれる」。
バイセクシャルの女性が同性の恋人を持ちながら男性とSMプレイをするが……「ピンクのうさぎ」。
家族から逃れ、優しい叔父様と暮らす少女の官能の日々の終わり「雪の水面」。
かつて愛した人を失った少女は病み窶れ、彼に会いたいと願っている「モンタージュ」。
一冊の本が終わりに向かうにつれて、だいぶと読んでいる側のメンタルがきつくなってきたんですが「モンタージュ」はかなりやられました。登場人物が「春眠」の関係者だとはわかるんですが、言っていることが全然わからなくて、え、え? と思っていたら。心が死ぬとこんな風に忘れてしまうのか……という衝撃と、それでも見捨てようとしない人たちの存在の安らぎと。でも「春眠」の彼女のことを思うと、やるせない。けれどこの時点で、彼女自身はすでに少女ではなく、大人の「女性」になっているんだよなあ。とても理解し合えるとは思えない。悲しい。
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親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く──死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。(裏表紙より)

田舎町の女子高生が「死」を知っているという優越感を目の当たりにしたことから、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアへ行く。死を見る、知る、そのための行動がやがて様々な人々を巻き込んで連鎖していく。
いいねいいね! こういう、誰と誰が関係者で、この人が実はこうでっていう楽しさがありました。しかしやっぱりイヤミスなので、最後までうわー……という感じで。あからさまに名字が出ないので仕掛けて来るとは思いましたが、面白かった。少女同士の友情なのかなんなのかよくわからない繋がりもロマンだった。
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Author:月子
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