読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

シエラ公爵家の跡取り男子として育てられたユフィは、誰よりも強く賢く凛々しい美青年。突然の王太子出奔により、彼女は次期王の候補者として挙げられる。そこに現れたのがもうひとりの候補、クロヴナー公爵家の貴公子ヴィンセント。そして彼は、ユフィの真実を知っており、彼女をひそかに愛していた……。無二の親友として絆を深める2人だったが、ヴィンセントの一途な想いは止められなくて!?(裏表紙より)
王太子不在のレイジエルド王国は、二つの公爵家の派閥に分かれていた。ユーフェミアが当主のシエラ公爵家と、ヴィンセントが当主のクロヴナー公爵家。仲の悪い両家だったけれど、ユーフェミアは実は女でありながら男として育てられており、何度も命の危機に瀕しながらようやく丈夫になったヴィンセントは、幼い頃少女の姿であったユフィに恋をしていたのだった。
ユーフェミアがまた男として完璧。心の有り様も立ち居振る舞いも男前。けれど可愛いものも綺麗なものも好きで女装して出かけることもあるという、おいしいヒロイン。ヴィンセントはちょっと不器用ながらも真剣に彼女を追いかける、まっすぐな貴公子。おいしいおいしい。お祭りのシーンが泣きそうなほど素敵で切なくて(その後のずっこけも含め)いい少女小説を読みました。
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光に導かれて異世界にトリップしてしまった梅本詩職。そこは3年前わけあって同居していた青年騎士クラストの住む世界ルティーリアだった。助けてくれた薬屋の青年ロッシェのもとで働きながらクラストに会おうとするが、彼は英雄になっていて——!? 出会うための作戦はことごとく裏目に出て前途多難!
「小説家になろう」で大人気のすれ違いっぷりが痛快な召喚ラブコメ、堂々書籍化!!(裏表紙より)
3年前異世界から現代の地球にやってきた騎士と同居生活を送った過去がある詩織。今度は詩織が彼の世界へ召喚されるも、見知った顔はおらず路頭に迷いそうになる。しかも騎士クラストはいまや英雄と呼ばれて雲の上の存在。果たして再会することはできるのか!
いやーもだもだしました! すれ違うのにじれじれもだもだ。再会できてほっとしました。
散りばめられている設定を膨らませるとすごく壮大なファンタジーになりそうなのに、ほんわりとした優しさがあって、ハッピーエンドでよかったです。

イケメンと恋に落ちるのを楽しむはずの乙女ゲーム。しかし、ヒナが閉じ込められた乙女ゲームの世界は…トキめいたら即死! ポッとなったら即死! キュンとしたら即死! というまさかの恋をしたら死ぬキケンな世界!
人類史上最高に惚れっぽい女の子・ヒナは、ゲーム開始10分で死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死にまくってしまう。
彼女の終わらない1日が幕をあける!!!(帯より)
乙女ゲームものの皮を被ったサイコパスのお話でした……強烈だった。
主人公のヒナは老若男女、無機物有機物問わず(?)すぐに惚れてしまう性格。小学校二年生までに四百人と付き合ったことがある。友達のお父さんと恋仲になったり、分刻みでデートしたりしていた歴戦の強者。恋愛に関する理性がぶっ壊れたヒロインです。
そんな彼女にかかればごく普通の恋愛乙女ゲーム(でも恋をしたら死ぬ)がめちゃめちゃ無理ゲーに思えてくるのが面白い。彼女に関わったばかりにトラウマを与えられる登場キャラたちが不憫すぎる……笑
旧貴族のエッドは核獣を狩る滅核獣師になるため、相棒のラッセと共にスノリ準軍学校で日々を過ごす。ある日、特別教練中に出現した核獣を倒したエッドは、短期留学生のレギの命を救う。それをきっかけに、レギは馴れ馴れしい態度でエッドに近づいてきて……。ラッセの兄であるフォルクは、仲間たちの目の前でエッドに口づけてレギを牽制する。
——女としてみられたいわけではない。ラッセの相棒でいたい。でも彼が何を思ったのか知りたい。
エッドの葛藤をよそに、ラッセを《王》にしようとする計画が、再び動きはじめていた!(裏表紙より)
三笠書房のf-Clan文庫から出た『相棒とわたし』の続編にあたる作品。作者の瑞山いつきさんが同人誌として発行したものです。
エッドに急接近する謎の短期留学生レギの存在により、フォルクが行動。エッドにすれすれのキスをして、女の子として好きだと告白する。思い悩むエッド、揺れるラッセ。果たしてエッドが選ぶのは? というお話で、文庫一冊を思うと短めです。
結果的にエッドもラッセもちゃんと自覚した上に、エッドが、ラッセの相棒でいたいから好きにならないと宣言というもだもだな結末。ああー続きが読みたいなー!! ラッセにどきどきするエッドが見たいよー! 不器用な女の子かわいいよー!
——女としてみられたいわけではない。ラッセの相棒でいたい。でも彼が何を思ったのか知りたい。
エッドの葛藤をよそに、ラッセを《王》にしようとする計画が、再び動きはじめていた!(裏表紙より)
三笠書房のf-Clan文庫から出た『相棒とわたし』の続編にあたる作品。作者の瑞山いつきさんが同人誌として発行したものです。
エッドに急接近する謎の短期留学生レギの存在により、フォルクが行動。エッドにすれすれのキスをして、女の子として好きだと告白する。思い悩むエッド、揺れるラッセ。果たしてエッドが選ぶのは? というお話で、文庫一冊を思うと短めです。
結果的にエッドもラッセもちゃんと自覚した上に、エッドが、ラッセの相棒でいたいから好きにならないと宣言というもだもだな結末。ああー続きが読みたいなー!! ラッセにどきどきするエッドが見たいよー! 不器用な女の子かわいいよー!

20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に……。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作!(裏表紙より)
東京のテレビ局までやってきた一行はそこで殺人事件に行きあう。
「私はだれ?」というお話だったのかなあ。テレビにまつわる人たちが、自分でない何かを「かぶる」というのに絡めてあるのか。Vシリーズは結構はちゃめちゃになるイメージがあったのですが、久しぶりに読んだからか、この巻がおとなしかったのか、静かだった気がします。その分、合間に挿入される犯人の独白が、読み終わった後非常に不気味でぞくっとしました。

すべての子どもたちが人工授精で誕生し、掌にノードを埋め込まれて生活する時代。人々はノードを介して情報や思念を交換する。中2の少女、不動火輪と滝口兎譚は授業の自由課題で小学校の遠足バス転落事故を調査し、死亡前の生徒の思念記録を偶然手に入れた。その記録に関わる大きな陰謀と、二人の家庭の事情が複雑に絡み、遂に事件は勃発する——大人世界の不条理に抗う少女たちの絆を描く、俊英作家の新世代青春小説。(裏表紙より)
HRVというウイルスの存在によって性交渉が不可能になり、子どもを持つのは人工授精によるものとなった。そのため性交渉は不可能となったが、とある事情で子どもを持つ親もおり……という世界観。冒頭からだいぶと「うわああ」という始まりをした割には、女の子ががむしゃらに頑張る話でした。
結婚という制度もないために家族は基本的に血が繋がらない者同士が暮らしている状態なので、火輪を始めとする少女たちの思う相手は同性なんですが、そのあたりが全然いやらしくもない百合でした。清々しささえ感じられる。
時代設定はSFですが話は宗教に絡むのも面白いなあと興味深く読みました。実に不思議な読書体験でした……。

「堪忍して、お兄様……」富豪の家に母の連れ子として入った雪子。待っていたのは義兄の執着愛。独占の証のように刺青を彫られ逃れられない。緊縛、言葉責め……。章一郎との淫らすぎる夜は、雪子を官能の深みに堕とす。禁断の愛に震える雪子に救いの手を差し述べたのは貞吉。純真な好青年との逢瀬で知る初めての恋。しかし兄は妹を奪い返さんと悪魔のような企みを!? 明治官能浪漫!(裏表紙より)
すさまじい内容で話題になったTL小説だと認識していたんですが、TL小説というより官能小説ですね……。そして気持ちいいほどバッドエンドです。
サイコパスな義兄と、彼に服従してしまいM気質を目覚めさせてしまったヒロイン。この二人がおかしいだけで、周りの人たちは基本的にはいい人というのがまた。最終的に義兄の章一郎は弟までをも服従させるんだから、救いようがなさすぎて笑ってしまうくらいです……。プレイとしてもアブノーマルなものが多く、刺青を彫るくだりでは恐ろしくてぞくぞくしてしまいました。

19世紀帝政ロシア。父の死をきっかけにある能力に目覚めた少女オリガは、早春の公園で見たくないものを見てしまう。止むをえず少年の失踪事件捜査に関わるのだが、行く先々に現れるいわくつきの副署長ロジオンに、腹が立つやら調子を狂わせられるやら。しかもこの副署長、女性問題で地区警察に左遷されてきたという噂…。秘密を抱えて奔走するオリガに、いたずらな春の風が吹き始める…!(裏表紙より)
ロシアの空気を味わえる作品だなあと思いました。すごく雰囲気があって、寒さや暗さをすごくよく感じる。
貴族の子女オリガは、父の死をきっかけに伯父の屋敷で暮らしている。絵が描くことが好きな彼女は皇后の犬を描いたことさえある。でも「人の死ぬ直前からその瞬間までの姿が見える」という能力は秘密だ。ただでさえ変人扱いされている彼女の周りには、イギリス人弁護士アーサー、憲兵将校レオニード、元近衛隊中尉現地区警察副署長のロジオンなど魅力的で一癖も二癖もある男性陣が揃っている。……でも恋愛的甘さにならないのがいいよなあと思いました!笑
事件を追ったり、追及をかわしたり、危険な目にあったりするのですが淡々とした調子で進み、最終的に大きな謎である「父の死」については明らかにならないのが残念……。
しかもあとがきにも事件が。迷い犬だったり死臭のする米袋だったり、すごいな!? と別のところでもまた思ってしまいました。

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が……解剖学が最先端であり偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、本格ミステリ大賞受賞作。前日譚を描く短篇「チャーリーの災難」と解剖ソングの楽譜を併録。解説/有栖川有栖 (裏表紙より)
これを書くまで「開く」じゃなく「聞く」だと勘違いしていた。解剖だから「開く」なんですね。
解剖教室から発見された屍体と、それを巡る謎。捜査する盲目の治安判事サー・ジョンやダニエルたちの視点と、殺されてしまった詩人の少年ネイサン・カレンの視点が交互に語られていく。偏見に満ちた時代のものを読むと、そうしたものが登場した瞬間にこれが鍵だなと思うようになってしまったんですが、それでも最後にはあっと驚かされました。
結局どういう話だったのかなと考えてみたんですが、うーん結局愛されたかった人のお話だったのかなあ。お金よりも仕事よりも、誰かがそばにいることを求めていた人たちがいたということなのかも。もっとちゃんと噛み砕けるんだと思うんですが、切ない読後感がまだ強くて、うまく考えられない……。いやしかしすごい作品でした。
っていうか続編があるのか! それは読まなければ。

元士族・橋本家のおてんば娘、有栖は怒っていた。ある日突然、縁談を決められてしまったからだ! 相手は年上の従兄、春日要——。富豪の両親のもと、何不自由なく育った要は、知的で優しい美貌とは裏腹に、悪戯好きでキザ、おまけに素人探偵気取り…と大変な問題児! どうやら、彼との(強引な)縁談には、ある人形の紛失事件が絡んでいるらしく…!? レトロモダンなロマンティックミステリー(裏表紙より)
大正もの。短編連作です。おてんば娘な主人公以上に曲者な、口が上手くて有栖を口説いてばかりいるけれど冗談なのか本気なのかわからない、従兄のお兄様がお相手。女学校のシーンは少なかったのが残念だったのですが(大正の女学生大好き)、さらりと登場する当時の風俗が面白くて楽しかった。
口説いてくるお兄様のずるさがなんとも言えずにやにや。義堂氏とのやりとりは結構焦っていたし本気で張り合ってたんだろうなあ、なんて思うとふふっとなる。
最後のお話「おうちに帰るまでが誘拐です」のラストの清々しさ、かっこよさ、センスのよさにはにやにやにやにやしてました。こういうハッピーエンド! なラスト大好きだ。