読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!〈特別収録〉中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。(裏表紙より)
初めて読む湊かなえ作品。中でも『告白』は衝撃的だというように聞いていて、最近テレビの「ボクらの時代」に出演されていたので、読んでみようかなーと手に取りました。
面白かったです。うわあああああってなる連続で、最後まですごかった。
一人の死をきっかけに、全員が疑心暗鬼になっていく話かと思ったら、そうではなく、語り手を変え、同じ事件のことを話しつつも、自分の話もするという。自分ことだから、自分が信じていること、正しいと思っていることだけを、自分を弁護しながら話す。それがすごく気持ち悪い(褒めてます)。
ラストに絶句でした。「後悔した」とは絶対に言わない森口先生が怖かった。完全に復讐者の姿になっている気がした。
面白かったです。
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——どうやら昨今の天使はライフルを構えて初対面の人間を脅してくるものらしい。
小説家のカルは、原稿から逃げだす口実にむかったパーティーで、銃を構え空から降ってきた少女・ライザで出会う。国家の極秘命令をこなす諜報員だという彼女は、『賢者の石』を奪った秘密結社に追われていた! ライザの逃走劇にカルは巻き込まれることになり…!?
新米スパイ少女と大胆不敵なベストセラー作家が繰り広げる恋の冒険活劇、華麗に開幕。(裏表紙より)
発売後しばらく、読了した人たちから「何故続きが出ない!?」と話題になっていたように思うのですが、この度初めて読みまして私も続きマダー病にかかってしまいました。ちょうおもしろかったよー!!
エドワード朝時代の英国を下敷きにした世界観、諜報員、ベストセラー作家、紳士淑女、秘密結社と古代魔術……などなど、美味しい要素がめいっぱいで、作家と諜報員というカップルの組み合わせが大変良いです。相手が作家なので、口説きの体勢に入ると、もうにやにやが止まらない! 気が強いライザがそれに必死に抵抗しようとするの、可愛い。
暗躍している人たちもいて、ここからだと思うのに、惜しいなあ。続き読みたい……。ちゃんとすぐに読んで感想書いておけばよかった……。
公爵の嫡子として生まれたものの、母親の保身のために女であることを隠して爵位を継いだエリーアスは、秘密がバレないようにひっそりと暮らしていた。しかし皇妃が懐妊したため、護衛役として公の場に引きずり出されてしまう。さらには見舞いにやってきた皇妃の兄、モダーヴ王国の王太子をスパイしろと命令される。だが王太子に女だとバレてしまったエリーアスは!?(裏表紙より)
欧州でがつがつ戦争していて、それぞれの国が国力を蓄えながら、睨み合っているような時代を参考にしたような世界観。性別を隠しながら公爵として皇帝に仕え、しかし病弱を理由に田舎に引っ込んでいたヒロインが、皇妃の護衛役に命じられたことから始まる物語。
これ、すっごく好みでした……。
男装ものって、ライトなものの方が多い気がするんですけれども、これは舞台となる国や、皇帝との関係、貴族の立場なども結構しっかり設定してあって「皇帝を裏切ることはできない」「公爵として騎士としてお仕えするのみ」という価値観が、ヒロインのエリーアスにばっちり刷り込まれているわけですよ。そして、周囲もごつごつした男ばかりで、男尊女卑の風潮が強い。
価値観と文化が違うんだと気づくのが、皇妃アデリーヌの存在であり、その兄、ヒーローであるアルベールの存在なわけです。後から気づいたんですが、これ、前の巻はアデリーヌと皇帝ジークヴァルトの話なんですねそれすっごく読みたいんですが!?
ともかく、優雅な王太子様、アルベールの、喋り方、に、私は顔を覆って崩れ落ちました。私、喋り方フェチなところがちょっとあって、アルベールの「悪いようにはせぬ」とか「我の婚約者ぞ」とか、今まで読んだことのないヒーローの喋り方に、何故かときめきで呼吸困難になるという……。
TL小説なのに、そういうシーンはほとんどカットされていたのも、なかなか大胆だったなあ、と。というか、エリーアスとアルベールの初夜のやりとりに噴きました。この先大丈夫かなあこれ。男として育つって大変だ。
後半急になんだか雑になって誤字が増えてたのが気になりましたし、名前と人物がちょっと複雑というか分かりにくいところがあるような気もしましたが、しかしすごく好みでした。面白かった。
アシュリーは女だけど男装して伯爵家に仕える召使い。お世話するシルヴァン様はスキンシップ大好き。気さくに抱きしめられたり、髪を撫でられたり毎日がドキドキの連続。男装がばれそうになった時「女なのは前から知ってた」と甘く唇を奪われ……。男装を一枚ずつ脱がされ高鳴る鼓動。胸いっぱいで純潔を捧げ——。「可愛い人、一生大切にするよ」と告げられ、寵愛の歓びは最高潮に!(裏表紙より)
あらすじからは絶対に分からないプリンセスストーリーです。
天涯孤独のアシュリーは、幼い頃、行き倒れたところを名門伯爵家の令息シルヴァンに助けられる。命を救ってくれた彼に一生仕えることがアシュリーの望み。けれどシルヴァンには婚約の日が近づいていた。彼のお供として、短い旅行に出たアシュリーは、そこで自分のルーツを知ることに……という、よくある話ではあるんですけど、たいっへんかわいい話でした。
行方不明の王女の存在や、一生お仕えしようという少女の無垢な願いとかもそうなんですけど、何よりシルヴァンがとっても紳士。言葉遣いも優しいし、アシュリーに対して無理やりとか自分のものにしようという欲求を、すごく上手に隠してる感じ(なのが終章を読むとよくわかります)。
そこからヒロインがプリンセスになるところも、彼と結ばれることになるところも、さらっとすぱっと簡単に進むんですが、分かりやすくて面白かった。かわいい物語でした。
時を隔てた二つの殺人。謎は解け、愛だけがそこに残った。
生活のため手話通訳士になった荒井は、刑事事件に問われたろう者の法廷通訳を引き受け、そこで運命の女性・手塚瑠美に出会う。(帯より)
文庫版でも出ているようですが、読んだのは単行本。
ろう者と聴者、だけではない、手話という言語を用いるあらゆる立場の人が登場する話、という印象でした。勉強不足なんですけれども、私はこの分野にかなり疎くて、ろう者の両親から生まれた「聴こえる子ども」がコーダと呼ばれていることを初めて知りました。
そういう風にして、かなり社会的な問題に切り込みつつ、とある殺人事件にまつわる事象を主人公の中年男性が追っていくのですが、手話を用いる人たちの説明がしたいんだという作者の意図なのか、結構説明的な文章が多く、推理というよりは、社会的な話だという印象の作品でした。手話を通じて知ることのできる世界はかなり広いんだということを感じました。
『神、人を喰う』でサントリー学芸賞を受賞した気鋭の民俗学者は、あるとき大学をやめ、老人ホームで働きはじめる。気づくと彼女は、「忘れられた日本人」たちの語りに身を委ねていた——。(帯より)
民俗学者の六車さんは、大学をやめて、老人ホームで働いていた。そのうち、とある利用者の反応に驚いた六車さんは、ホームにいるお年寄りたちに聴き取りをはじめる。彼らが語りだしたのは、民俗学に通じる、彼らの過去、日本の歴史、文化だった。
民俗学と介護の両方に関係する、聴き取り、傾聴というものを知る一冊だったかな、と思います。
介護の現場が、もうがんじがらめになった大変な場所(時間、人、場所の制約の厳しいところ)だというのは、いろいろ本を当たるとわかるんですが、その中でも六車さんの聴き取りをすることによって、利用者への対応に活かすことができるという視点は、すごいと思う。確かに、毎日忙しいから、継続するには難しいものなんだけど……。
そういう聴き取りが、驚きに満ちていた、という六車さんの反応もいいなあと思いました。そして、忙しくなればなるほど、驚かなくなっていたということも。そういう日々の中で取りこぼしていくものの大きさを思うなどしました。
介護職に携わっていた著者が、介護の現場や地方講演、これまでに書いてきた著書などを引きつつ、介護の専門性をはじめとした介護現場について書いた一冊。
2005年の発行。
これを読むと、いかに現場の状況が知られずにいろんなことが窮屈に決められてきたんだなあと思わざるを得ない。
何度も繰り返し書かれるのは、ある人が「◯◯がいい」という主張が正しいのか、という質問に、その人の場合は◯◯が正しい、その考え方を評価する、ということ。つまり、一律的に◯◯をするんじゃなくて、その現場、現場で、正しいこと、有効的なことが違うということ。その臨機応変さが必要なのに、お上が窮屈に縛っているような気がしました。
いろんな本や著書の話題も出ているので、他の本も読もうと思います。
サアラの妊娠を喜ぶコルドン家に、魔女と呼ばれる悪霊復活の報せが! ひとり対処に向かったジェイクは隠されたある事実に気づくも、追ってきたサアラを魔女の生贄に要求されて!? 様々な思惑が錯綜する中、鉄壁の無表情で心を隠すジェイクにサアラの不満は募り…? 「愛しい旦那様は、自分の手で繋ぎ止めなければなりません」——悩める息子と他家の墓守親子も巻き込んで、高らかに愛を謳歌する最強花嫁物語、堂々の最終巻!(裏表紙より)
最終巻。前巻で少し触れられた過去の話も交え、こじれてしまったジェイクとその父クロード、そしてアシェリーゼの問題と、ジェイクとエリオスの問題も解決する、すごく家族! な最終巻でした。今まであんまりそうだとは思わなかったんですけど、この巻で確かにえりオスとアシェリーゼは血縁者だわ……と思った。それから前コルドン伯爵とジェイクもな! 「聞かれなかったから言わなかった」というのが思いっきり原因だよ!
誰か/何かを思いすぎてこじれてしまった人たち=幽霊、なんだなあ、というシリーズだったと思います。幽霊に関わる人たちもどこか捻れていて、潜んでいた真実が悲しかったり意外だったり予想通りだったり、とても楽しかった。
サアラが最後まで自分を貫き通してくれたのもよかったです。もう全然普通の感覚じゃない。ジェイクのことが好きで追いかけていくところは普通の子のようでしたが、理由とか信念がおかしい。執着しすぎ!笑
ジェイクがもうちょっとめろめろになってくれても面白かったかなと思いつつ、でもこれでも十分めろめろなので、幽霊になっても一緒にいてほしい。
面白かった。ありがとうございました。
熱愛中のコルドン伯爵夫妻のもとに、ジェイクを父と呼ぶ幽霊の女の子が現れる! 騒然とする周囲をよそに、嬉々として母親宣言をするサアラだったが、ジェイクは頑なに少女へ近づくことを禁止して!?「私に隠し事をして、なんて酷い旦那様でしょう」愛する夫を悩ませるものは徹底排除! 過去の秘事を暴く最強花嫁の決意とは? ジェイクとエリオスの母親である最初の妻との関係や、知られざるサアラとの出会いも明らかに!(裏表紙より)
いつか「おとうさん!」って呼ぶ誰かがくるんじゃないかなーと思ったら、本当に来たよ! しかも幽霊だよ! そして生まれてくる前に死んでいった命だったよ……。
断片だったいくつかの過去の出来事が中心となった巻でした。相変わらずサアラがサアラでたいへんよかったです。性格が悪かろうが、おかあさんと呼ばれてるヒロインはなんかこう、胸がぎゅっとして、にやにやしちゃいます。そして、ジェイクはすっかり、サアラがいないとだめな人になってきたね!!
あとがきに次が最終巻と書かれてあって、びっくりした。あとがきの文字の詰まり具合にもびっくりした。
「きみは誰だ?」アスガント公爵領を騒がす幽霊と対峙したジェイクから、十年分の記憶が消えてしまった! 愛妻も成長した息子も忘れ、冷たく拒絶してくる夫に、サアラは艶然と誘惑を宣言し!? 同じ頃、騒動の原因である幽霊を追って、傲岸不遜な他家の墓守ギルが現れる。彼は、ジェイクの記憶喪失の原因を知りながら、決して協力しようとせず…? もう一度好きになって——。どんな不幸をも踏みにじり蹴散らす、最強花嫁の愛!(裏表紙より)
それぞれのお家の事情、という感じで、どうしてどこのお家もこんなに捻れてとんでもないことになっているのか……と思わないでもないシリーズですね。そういう世界観なんだよっていうのがすごく面白いんですけどね! ちょっぴりダーク効いててラブありで、みたいな。
記憶喪失ながらも、ジェイクはサアラのことを求めてしまうし、サアラはいつも通り自分をしっかり持って望むように行動できるサアラだし。安心と安定の二人で、ピンチらしいピンチがないような気もする!
二人のシーンがちょっとずつエロくなってきてるのは気のせいでしょうか! ラブラブいいなー。にやにやする。