読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

その岬には資産家の娘だけが入れる全寮制の女子大があった。衣服と食べ物は好きなだけ手に入るが、情報と自由は与えられない。そんな陸の孤島で暮らす4人の少女——高校で同性と心中未遂を起こした矢咲、母親に捨てられた小津、妾腹の子である三島、母親のいない都岡。孤独な魂は互いに惹かれあい、嫉妬と執着がそれぞれの運命を狂わせてゆく。胸苦しいほど切なく繊細な、少女たちの物語。(裏表紙より)
この紹介文で読まずいられようかと。なぜもっと早く読まなかったのかと。好みドンピシャすぎて、読みながらいちいち胸をときめかせていました。
世間から隔絶された全寮制の学校、その場所の異質さ、少女たちばかりの世界。少女たち特有の結びつき。そこに! 資産家の娘、ハイソサエティならではの上下関係がちらついたり、優遇されているのに不幸だということが描かれるのが!! もう!! 好きすぎて!!!
矢咲と小津、三島と都岡がそれぞれルームメイトなんですが、この二つの世界が、交流という形で混ざり始めてから物語はどんどん暗い方向へと走っていく。嫉妬と執着で、それぞれがゆっくり壊れていって、最後はあっけなく幕切れとなる。この幕切れも「世界の崩壊」と呼ぶにふさわしい終わり方で、最後までしびれました。かと思うと、救いの光みたいなものが差し伸べられて、そこにもしびれた。ああ、少女!
解説もどんぴしゃりで、そこそこ! というところを解説してくれていてそこまで面白かった。
この話、めちゃめちゃ好きです。
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茅野しおりの日課は、憧れのいとこ、美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うこと。そこでは、日々、本にまつわるちょっと変わった事件が起きている。六十年前に貸し出された本を返しにきた少年、次々と行方不明になる本に隠された秘密……本と図書館を愛するすべての人に贈る、とっておきの“日常の謎”。
知る人ぞ知るミステリーの名作が、書き下ろし短編を加えて待望の文庫化。(裏表紙より)
小学五年生のしおりは、いとこの美弥子さんが勤めている図書館で本を借りて読むのが好き。
両親が離婚しており、母親と暮らすしおりは、周りから見ればとても大人びた女の子。本を読むせいもあって、かしこい。すごくよく出来た子で、周りの子たちのことを思いながら友達付き合いしていくところが、なんだかいいなあと思います。
図書館あるあるな話が出てくるのですが、こうはうまくいかないよなあと遠い目をしてしまうところもあり。フィクションだからこそ優しいしほっこりするんですけれども、内実を知っていると、こんなことにならないよ! と机を叩いてしまう。

十六歳の王女ミーシャに結婚のときが迫っていた。女性が王位を継ぐロイデン王国では、神に選ばれた「聖夫」と結婚しなければ女王になれない。余命の短い母から、早く王位を継がねばならない——戸惑いながら、誰とも知れない「聖夫」を受け入れる覚悟をしていたミーシャは、婚儀の当日に見知らぬ少年と出会う。とっさに侍女だと名乗ったミーシャだったが……? 波乱の王朝ラブロマン!(カバー折り返しより)
インド風ファンタジー。女神と同性である女王を戴くロイデン王国。他国人の流入が始まって二百年ほど経ったこの国で、王女ミーシャは、即位の前段階として結婚することになった。相手は、生前の偉業をやがて国の統一神として奉じられたナジュカ女神の恋人エシュカの生まれ変わりという神託を受けた男だという。
さて、この生まれ変わりの徴を持っているのが、双子の青年だったという、とっても美味しい設定なのです。少し乱暴で軽薄な兄ザギと、穏やかで優しい弟ロダー。二人とも神託を受けたので、二人とも正式な候補なのですが、先にあてがわれたのは弟ロダーの方。けれど、ミーシャはザギの方が気になって……。
三角関係にはならず、最後の方まで明かされない色々があるので、はらはらしました。私は、ロダーが実は女性なのではないかと思ったんですが、その予測が違うところに飛んでいったのでびっくりしました。
この王女と双子以外に、母親である女王マーシェリー周辺の大人組も、様々に思惑があって気になるところです。どうやらマーシェリーの話もあるようなので、機会があったら読みたい。

中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイートホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!(裏表紙より)
手元にあるのが1996年2刷の本なので、表紙が変わっています。多分紹介文も変わっていると思う。実は、宮部みゆきをほとんど読まずにきたのですが、それでもやっぱりすごい人なんだなあ、と作品の面白さ、読みやすさで感じました。
もっと一緒にがっつり生活するかと思ったら、都合のいい時に呼び出される、疑似父(ステップファザー)の話でした。この父も冴えてますが、双子もなかなか賢く、かつ小悪魔的で可愛い。その子どもたちに、どうしても冷たく当たれない父も、かわいい。
7話が収録されていて、もっと続きを読みたいなあと感じさせる疑似家族ものでした。面白かった!

春の女神と呼ばれる可憐な姫メルティーナは、初めて会ったときから、婚約者フォルストルの青い瞳に魅せられた。が、彼の深く重い青の瞳は冷たい人柄そのものを表していた。
何事にも無関心なフォルストルだったが、メルティーナは、彼に愛されたいと、誠心誠意尽くす。
そんなある日、メルティーナは、名前も知らぬ、吟遊詩人と一夜の過ちを犯してしまい……!?(裏表紙より)
古い西欧の時代。南方地方の旧王家の血筋の姫メルティーナと、北方地方の有力貴族令息フォルストルとの結婚が決まった。政略結婚と納得して嫁いだメルティーナは、フォルストルに一目で恋に落ちる。しかし、フォルストルは誰に対しても無関心、己の心にも無頓着な冷たい人間だった。
という、とことんすれ違いながら、可憐なヒロインが努力する、正統派少女小説でした。結婚ものの楽しさが溢れたもので、ちょっとずつフォルストルの心が解けていくところがもだもだでした。自覚がないのか、で噴きました。

ロクサナは、メフルダート女王国の王女。しかし、14歳までその事実を隠され他の国で生きてきていた。急に連れ戻され、女王国のしきたりを教え込まれるが、ありえないぐらいの「女権国家」で、とまどうことばかり。一番馴染めないのは、王女が花婿候補達に囲まれハーレム状態で暮らすこと。この中から、たった1人の花婿を選ばなくてはならないのだが…究極の逆ハーレムに目が離せない!!(裏表紙より)
逆ハーレムだけど、正しい意味でのハーレム。何を言っているか分からないと思いますが、女性の権利が強くて男の人を囲う立場なので、本来の意味でのハーレムです。男性には「男の顔に傷なんてッ!」「ごつくていかつい女男!」という罵倒が用いられます。そう、女性がごりごりでも許されるのが、メフルダート女王国なのです。
ロクサナはその価値観と真逆のところで暮らし、育った少女。王家の人間=神として、男性たちに追い回される。だいたいがなよなよとした男性たちなので、追い回されているシーンではときめきよりかは脱力感が……笑 でも、ちゃんと少女小説として普通の恋愛をしていたので、面白かったです。

窪居佳那・二十四歳、大学院のドクタコースに在籍して研究に没頭中。趣味は起き抜けのシャンプーと「どきどき」の探求。悩みは飲酒時の記憶喪失とよくわからない自分の気持ち。後輩の爽やか青年・鷹野と人形オタクの水谷、ダンディな指導教官の相澤、謎の怪僧武蔵坊。佳那を一番どきどきさせるのは誰か?——『すべてがFになる』でミステリィ界の地図を塗り替えた異才がおくる初のラブコメディ! 解説:多部未華子(裏表紙より)
森博嗣さんのラブコメディだ。ラブコメディだけどもっとハイセンス。軽くはないのに軽い。ジョークがハイセンスすぎてちょっと置いていかれた感じ。
女王様気質で、変わり者だけど普通の人を偽装している佳奈。研究室の後輩男子二人と微妙な関係だったり、合コンに誘われたり、日常を送っているのに、ちょっと普通じゃない。とにかく思考回路が変だ! どこで笑っていいか分からなかった!

旧貴族のエッドは、大地のエネルギーを喰う核獣を狩る滅核獣師になるため、幼馴染みのラッセと共に準軍学校に入学した。相棒として彼の隣りにあることを信じていても、戦士として、そして女としては少しだけ自身がなかった。けれど王制復活を目論む反乱により、ラッセが核獣の王として覚醒してしまう。冷たい眼差しのラッセに、エッドは相棒としての覚悟を秘めて対峙し……!(裏表紙より)
おっもしろかったー!! 学園ものであり、相棒ものであり。バトルもあって、とってもとっても美味しかったです!
舞台は、自動車やら無線やら銃やらがある、ほんの少し近代的な世界。王が不在で貴族の身分もなくなりつつも、根強く容姿や家の格などについて差別があるところ。
核獣が襲ってきて阿鼻叫喚でみんなが大慌て、みたいな話を想像してたんですが、エッドとラッセの二人がとても安定した相棒だったので安心して読みました。絶対この二人は離れないだろーと見ていて分かるので、その最強っぷりがすごく楽しかった。
エッドが好みのヒロインすぎて! 男っぽくて凛々しくて、でも可愛いものが好きで、友達にも優しい……。ちょっとだけ不器用な感じもするところが、とってもかわいくて好きです! なのでラッセはもっと頼れる男(相棒)になってほしい! エッドを寄りかからせてあげて!
同人誌版で続きが出るということなので、絶対に読みたい! もう、すごく好みの学園+バトル+バディものファンタジーでした。

終戦、そして父王の崩御——社交や結婚話、王宮でのいつもの暮らしは戻ってもアンジェラの心に碧空は戻らない。憂い顔の彼女に兄フランツが提案したのはエグバードへの留学だった。かの地を見て学び、そして外交の助けとなって欲しい。兄の思いに、久しぶりに気持ちが高まるアンジェラ。一方、セシルは飛行船平和利用のために奔走しており……。シリーズ堂々の大団円!(裏表紙より)
終戦後、王女として政務に励むアンジェラ。反戦運動に身を投じたランディに、それは違うんじゃない? と言えるのは、アンジェラが明らかに成長した証だと感じられてとても嬉しかったです。それでもアンジェラらしさが全然なくなっていないことも、よかったなあ!
そして、王道なロマンス! 新聞記者に追われるのはロマン! そして、飛行船でやってくるのもロマン! そこで可愛くない言葉を交わし合ってしまうセシルとアンジェラに、もだもだしました。分かりきってる間柄ならではのやりとりですね!
最初はアンジェラの子どもっぽさがだめかもなーと思いましたが、ちゃんと成長してくれてよかった。ロマンスの気配も途中まで薄かったですが、三巻では盛りだくさんだったので楽しかったー。
