読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

〈夜の主〉と呼ばれる魔王ウルギスの花嫁に選ばれたロロナ。ウルギス暗殺の密命を受けての嫁入りだが、ロロナは彼が本当に悪い男か、自分の目で確かめるつもりでいた。ところが初対面のウルギスから「必要なのは世継ぎを産む体だけだ」と冷淡に告げられロロナは猛反発! すれ違いの新婚生活が続くが、ある日偶然、夜しか姿を見せないウルギスの昼の姿を知ることに。恐ろしい普段の態度とは正反対の甘さを見せる夫にロロナは大混乱して…!?(裏表紙より)
さすがにヒロインに「お前の世継ぎを産む体にしか興味がない」と言い切るヒーローは少女小説としてはだいぶとアレだと思うんですが、夜ギスくんと昼ギスくんにはそれぞれの良さがあるよなあなどと思ってしまった私は、だいぶと少女小説界に毒されているのかもしれない。
前髪短めのロロナが可愛らしくて、これで国一番の騎士かーきゅんきゅんするわーなどと思っていました。女子っぽいしたたかさも備えていて可愛らしいヒロイン。ウルギスとのいちゃいちゃもっと見たかったなー。
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あやかし絵の専門画家・富嶽北斗は奇妙な力を持っている。それは怪異を“見て”、“触れ”、描くことで封じる——“吸印”出来る力。
そんな北斗は、浅草の街並みとグルメを愛する腐れ縁の小説家・多喜沢と、今日も一風変わった事象に巻き込まれ……!?「デンキブランと高女」「ホッピー通りの狐者異」「浅草寺と骨女」ほか、5篇を収録。
祓い屋画家×下町グルメのあやかしミステリー、ここに開幕!(裏表紙より)
いうほど謎解きはしていませんが、すれ違ったあやかしと、その世界にあえて深く踏み込まない感じで近くで暮らしている、北斗や多喜沢、美沙緒の日常のお話でしたね。
見える力を持っている北斗と美沙緒。それに理解を示す多喜沢という関係性がとてもいい。わかってもらえるっていう安心感、共有できるっていう信頼はいいよなあ。
よく街に出てグルメしているからか、すごく日常を生きている感があって、こういう世界が自分の身近にあるんだろうなあと思ったり。
「ホッピー通りの狐者異」がいい話で、ご飯も美味しそうで好きだと思いました。

森で暮らす偉大な「白魔女」の名を継いだものの、実力不足に悩む少女・ユウェナリア。ある日、彼女の前に現れたのは、呪いをかけられてしまった絶世の美女・エリスだった。森を訪れた彼女の願いは、魔術による解呪で「美女」から「王子」に戻ること!?
美女になってしまった王子・エリスを助けるため、新米白魔女・ユウェナリアは奔走するが、呪いを解くのはあまりにも難しくて……。王子と魔女が織りなす解呪ラブファンタジー。(裏表紙より)
白魔女として外界を知らずに暮らすナリアの元に、この呪いは解けないと匙を投げられた王子エリスがやってくる。その呪いは白魔女なら解けると言われるも、人々が指す白魔女とは亡くなった母のことで。
ナリアとシルクのやりとりが楽しそうだなあ。そこにやってくるエリスが、だいぶと砕けた男の人で、いい人で本当によかった。好意があるにしても、森から出たら後見になるって自然と思ってくれるの、すごくいい人だ。部下のみなさんもいい人でよかった。
思い込み激しすぎるアドリアナが人間として本当に気持ち悪かったので、彼女がもう少しぎゃふんと言わされるシーンも見てみたかったな。

なんでも検索できる時代だ。娯楽だって山のように溢れている。それでも、本を読むことでしか得られないものがある——。著作発行累計1600万部を誇る人気作家が、並外れた発想力とアウトプットを下支えする、読書の極意を明らかにする。本選びで大事にすべきただ一つの原則とは?「つまらない本」はどう読むべきか?きれいごと抜きに読書という行為の本質を突く、唯一無二の一冊!(カバーより)
読むことが苦手だったという子ども時代、初めてミステリィを読んだときのこと、本をどう読むか、というようなことを書いたもの。人の読書体験について書かれたものを読むのは楽しい。
私自身こうして読書記録をつけているけれど、まあ確かに、読んだということを記録しておきたいのと知ってほしいというのがあるよねと思う。あと読み返すと、どこで何を思ったのかを思い出せるっていうのもある。
小説家や本というものがどこに行くのかわからないけれど、それを愛する人が悲しんだり損をしたりすることがないようなものになってほしい。

無法地帯シークレット・ガーデンで仲間たちと暮らす少年ユキノジョウは、街で不思議な少女を見かける。カラーコーンを被り、包帯で上半身をぐるぐる巻きにして、執事を従えた魔女ルックの少女だ。
非日常が日常の街で育ったユキノジョウは見なかったことにするのだが、ある日、仲間で同居人でもあるハイドが自称魔女の彼女を拾ってきて!!
シークレット・ガーデンに魔女、現れる!?(裏表紙より)
『アリス イン サスペンス』に続くシークレット・ガーデンの二作目。これがホワイトハートから出たっていうことがすごいよなあ(2011年の本です)。
日常から離れた場所、普通とは違う少年少女たち。世界に弾かれながらも自分の力で生きていくみんなのたくましさと、そこにちらりと顔をみせる寂しさがなんとも言えないなあ。

王獣騎士団の騎士として副官の義兄ジークに追いつきたい。そして、団長のラルフ王子から寄せられる想いに応えたい——。そう願いつつ、入団したばかりの辺境伯公女エリカには、どちらもまだまだ遠く、もどかしい日々を過ごしていた。そんなある日、突然ジークからラルフとの恋愛を反対されてしまって!? 兄様に邪魔されても、この想いは止められないわ! 恋も一人前の騎士になることも諦めたりなんかしない!! 男だらけの騎士団で未来を拓く地味系乙女のラブファンタジー第2弾!(裏表紙より)
第二巻。見習いとして順調に経験を積むエリカだけれど、恋する相手は王位継承の可能性がある第三王子、義兄とは関係を修復したけれど恋を反対される状況。私がなりたい私って何? と思い悩む。
ここで登場する大人たち(エリカより年上の登場人物)はみんなエリカに、すごく大事なことを少しずつ教えて、より良い未来を選べるように導いてくれるんだなあ。魔獣と戦って、いろいろややこしい事情がある殺伐とした環境の中で、そんな風にエリカを育てようとしてくれる人たちの眼差しや言葉がくすぐったい。
できればエリカには、恋も騎士も諦めないでほしいです。

地味顔だし、特別何かが優れているわけじゃない。王都へ行った義兄のジークは自分のせいで帰ってこないし——。と悩みをつのらせていた辺境伯公女エリカはある日、領地に出現した魔物のせいで窮地に陥ってしまった! そのとき、颯爽と現れた王獣騎士団が救ってくれたのだけれど……。団長のラルフ王子がなんでわたしなんかに絡んでくるの!? でも、兄様が副官になったせいで帰れないのなら、苦手な王子のそばだろうと、騎士団に入って取り戻してみせるわ! 男だらけの騎士団で未来を拓く、地味系乙女のラブファンタジー。(裏表紙より)
何かを成したくて、何かになりたくて、けれどそのきっかけがつかめずに周りが見えなくなりつつあるエリカが、勇気ある一歩を踏み出すまでのお話。
何かになりたいと思っているとき、何をしていいのかわからなくなるときがくるんだよねえ。大事なものを失いそうになっているときはなおさら。
器用貧乏で突出した特技がない、けれど能力は高いエリカが、自由奔放で鋭いラルフにどう感化されていくのか。きっといい形になるんだろうなあと微笑ましい。
家族仲がいいのもにこにこして読んでました。お母様がいいキャラだ。

雪のクリスマスイブ。母親が失踪し家を追い出された茜音は、天使のような少女の導きによって古い洋館アパート「かなりや荘」に招き入れられる。そこには心の片隅にさびしい廃園を抱えた人々と、道半ばにして亡くなった天才漫画家の幽霊・玲司がひっそりと暮らしていて…。古アパートを舞台に、歌を忘れたかなりや達が繰り広げる、優しく力強い回復と救済の物語。
傷ついたかなりや達の止まり木に、ようこそ。(裏表紙より)
タイトルのファンタジックさと、内容紹介から想像されるお話とは90度くらい方向が違う気がする……絵を描く人である主人公の茜音が、いかにしてものを作っていくか。傷ついた敏腕編集者と、天才漫画家の幽霊の少年とともに歩んでいくお話、という認識でいいのかな。シリーズもの前提とあとがきにありました。
表現活動において傷ついた人たちが集まるのがかなりや荘。女優さんもいれば写真家さんもいて、同居ものに見せかけてほとんど人物紹介で終わった気がするので、この人たちのお話も今後絡んでくるのかな?

進学校として知られる天智高校。春休みのある日、人気者だった春日井奈々が校舎から転落死する。自殺と思われたが、転落前、彼女の背後に人影を見たという証言もあり……。奈々が所属していた部活は、部員の名前に偶然、春・夏・秋・冬の文字があることから「四季の会」と呼ばれ、憧れる生徒も多い。だが、奈々の死後、部員たちに異変が起きて…。危うく儚い青春ミステリー。
ねぇ、知ってる? 日本の女子高生って——。
少女たちが少女たちたる黒い側面、黒い水の中で目をらんらんと光らせているような彼女たちの、憎しみのお話。青春ミステリーっていうほど爽やかじゃないんですが、なるほどなあと思わせるお話だったと思いました。
だからこそタイトルが惜しいという気がするなあ。みんな見えないところで「号泣」しているのかもしれないけれど、真相に関わった人のことを思うと「慟哭」という気もするし、もっと鮮やかな「殺意」というものだった気もするし。
探偵役の周と冬姫の存在に救われたなあと思いました。

男嫌いの聖女・リズは、政略で敵国に人質として預けられることになってしまう。これも試練、と敵国に向かったけれどなぜか『罠王』と悪名高いディルク王子と結婚する契約になっていた上、リズの役目は正妻でなく愛人!? しかもディルクは、リズを男嫌いにした張本人で……。「聖女の面目躍如のため、私、正妻になってみせます!」いろいろたくさん“わけあり”聖女が、腹黒王子と紡ぐラブファンタジー(裏表紙より)
タイトルを読んだ印象そのままのヒロインでした。最近はこういうタイトルが多いですけど、こういう喋り方するヒロインってあんまりいないと思うんですよね……っていう偏見は置いておいて。
受難続きの挙句に中継ぎ的な聖女セシリーになってしまったリズ。信仰心の強いリズは罠に嵌められたものの、「これも試練」と右往左往しながらも立ち向かうことに。しかし歪められた『信仰』に気付いて……。
たくましいのかはわわ系なのかっていうリズに、ノーラが厳しいことをいうのが面白いなあと思いました。何かあるんだろうなとは思っていたんですが、最後はノーラとしてずっと一緒にいてツッコミ役をしてくれてもよかったのよ!