読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

「あの子は漫画家になるのに必要なもの以外はすべてを切り捨てた!と姉が私の青春時代のことをそう言っていたように10代の頃の私は偏っていたかもしれない。それでも悔いナシ、です」と少女漫画家一条先生は言い切る。いつでもパワフルに道を切り開いてきた先生の生き方は、やることがみつからない!と悩んでいる人にとって格好の道案内となるはず。エッセイスト・岡部まりさんとの対談も収録。(裏表紙より)
とてもくだけた文体のエッセイでした。あれだ、コミックスによくある柱で書かれるような裏話を延々とやっている感じ。一条さんの子どもの頃の話や、漫画家になってからの努力、恋愛の話など。こうして知ってみると、一条ゆかりさんって『職人』な作家さんなんだなあ。何を思ってこれを描いたか、という話をされていてとても興味深かった。自分の大嫌いな人間を主人公にして描いてみようと思ってちゃんと描ききるなんてすごすぎる。『デザイナー』も『砂の城』も読んだので、そういう事情があったんだと新しい発見でした。しかし、恋愛方面の話をすごく軽い調子で語っているので、その辺りはちょっとはあー……と口を開けてしまった後に笑ってしまう感じでした。セキララというか、世間話を訊いている気軽さがあって、おかしかった。
PR

旅客機機長と言えば、誰もが憧れる職業だが、華やかなスチュワーデスとは違い、彼らの素顔はほとんど明かされない。ならばと元機長の作家が、とっておきの話を披露してくれました。スチュワーデスとの気になる関係、離着陸が難しい空港、UFOに遭遇した体験、ジェットコースターに乗っても全く怖くないこと、さらに健康診断や給料の話まで——本音で語った、楽しいエピソード集。(裏表紙より)
元機長が語るエピソード集。私は飛行機は今までに一度しか乗ったことがない上に国際線を知らないので、想像でしか分からないんですが、そういうことがあるのかと面白く読みました。できればもうちょっと変な話(不思議な話)を読みたかった気がするけれど、機長さんなら航空会社やスタッフの事情の方が多くなってしまうか。コックピット内の様子がどういうものなのかというのが興味深かったな。

事故で両親を失った18歳の菱谷瀬那の前に現れたのは、亡き母の知人だという、中東の王国シハーブの王子カイサル。両親の借金を清算する代わりにシハーブに来いというカイサルに、瀬那はお金のことよりも寂しさから頷いてしまう。だが端整で精悍な容貌、財力とそれに見合う手腕を備えたカイサルは、猛々しく傲慢な悪魔のような男だった。無垢な瀬那は、カイサルが与える過剰な贅沢と、どんなに抗っても許されない夜毎の甘い凌辱が何を意味するのかわからず怯えるばかりで——。愛を知らない砂漠の王子の凶暴な純愛。(裏表紙より)
強引俺様で残酷な攻めが、「小鳥のような受け」(あとがきより)を束縛して酷いことを繰り返す、という、攻めの人が、相手のことをまったくと言っていいほど分かっていない上に、押せ押せ押せ押せの攻勢だったので、今まで読んできたものと感触が違ってなんだか面白かったです。瀬那のことが好きで、贅沢させて、何不自由ない暮らしを与えて、愛していると示しているのに! とカイサルの冷酷さと溺愛、純愛(?)が新鮮でした。そうか、俺様溺愛ってこんな感じなのか。勉強になった。

舞台は聖暦二十世紀初頭のアンゲリア王国。裕福な生まれのメリッサ・クリマイヤーは、初めて訪れたサーカスで、無口な網渡りの青年リンドウと、人間の言葉を話す不思議なライオン、ギデオンに出会う。
ある時、メリッサはリンドウがまったく歳をとらないことに気がつく。それは、かれがギデオンと交わしているという魔法の契約のせいだった——。
切なくて思わず涙する、珠玉のラブストーリー!(裏表紙より)
最近なるべく感情を表に出さないように、本心を隠すような日々を送っているので、疲れているなあと思っていたんですが、この本を読んでいたら何かのスイッチが入ってしまったらしく、ラスト周辺で 大 号 泣 。「ひいいいん。ひぐっ、うぐっ」と涙でページが見えなくなるほど大泣きしました。
現実世界を思わせる異世界で、裕福な家に生まれたメリッサは、サーカスの青年リンドウと不思議なライオンであるギデオンと出会う。しかしとあることをきっかけに記憶を失ってしまったメリッサは、自分でも理由が分からない心の飢えを感じて、看護婦となって戦場へ。お話は大きくはないのに、すごく読み応えがあるというか、綺麗にこの一冊にすべてが詰まっていて、すごく満たされました。
魔法を信じる心。よろこびというもの。それらが物語に結びつくとここまでどーんと胸に響くのかと、またページをめくって目をうるうるさせている状態です。あり得ないものを純粋に信じ続ける心や、それが許されること。そして続いていくことというシチュエーションに弱いんだろうなあ。

「平和の歌を歌いますよー♪」。あらゆるテロや犯罪が多発し、『ロケットの街』とまで渾名される国際都市ミリオポリス。「黒犬(シュヴァルツ)」「紅犬(ロッター)」「白犬(ヴァイス)」と呼ばれる警察組織MPBの〈ケルベルス〉が治安を守るこの都市に、ロシアの原子炉衛星〈アンタレス〉が墜落した。七つのテログループが暗躍する、この事件を収拾するため壊れかけの〈ケルベルス〉遊撃小隊が、超警戒態勢の街を駆け抜ける——! クールでキュートでグロテスクな“死に至る悪ふざけ(オイレンシュピーゲル)”第2幕!(裏表紙より)
第二巻。長編でした。ちょーたぎったああああああ!!!!!
涼月たちの「どうして」や、「死者が生者の道となる」、「三人で一頭の獣である」。熱くたぎったし、悲しかったし、理不尽な思いもたくさん味わったけれど、天国にも地獄にもならない街、かあ……とラストシーンがじいんときた。すごい物語だぞこれ。
また、スプライトの面々がつかの間交差したのにすごい燃えた。うおおおおって頭の中で叫びながら読みました。スプライト側からこの戦いがどんな風に書かれるのかすごく楽しみです。
民族的、人種的な問題や確執から目を背けることなくこのすごく面白い物語を書いている辺りがなんかもうこわい。恐怖心を覚える。面白かった……。

皇女なのに、離宮で暮らすイリアティーヌ。父の後妻である現皇妃が苦手で、宮廷生活から遠ざかっていたのだ。そこへ結婚相手として紹介されたのが、若き将軍シリウスだった。ところが、彼はこの話を断るつもりだという。イリアティーヌの夫になれば、次期皇帝になれるのに。驚いたイリアティーヌだが、実は彼とは九年前に出会っていたことに気がついて……? 帝国の歴史を変える、運命の恋!(裏表紙より)
これは、いつになく面白かった! ヒーローかヒロイン、どちらかのキャラクターが若干薄くて政治的な面がよく描かれる嫁恋シリーズ、と私は思っているのですが、この興す姫は陰謀面がすごく強くて面白かった。ヒロインが姫としての責任感を最初あまり持っていないのが残念で、けれど少しずつ目覚めていくところは素敵だった。皇妃ファウスタがいい悪女。
でも、やっぱり主役は若干地味な気がする……。その分、かなり王宮陰謀劇が面白かったんですけれども。このくらいの文量で毎回読みたいよー!

うららかな日和のアズベルグ地方で、「春」を謳歌する者が一人……ティルナードとついに婚約することになったメイドのノーラだ。アリシアの怪我も良くなり、全員でレイデン地方へ向かう準備をしていたのだが、そこに王家から「怪奇」を主題にした仮装舞踏会への招待状が送られてくる。様々な仮装に身を包み、王宮へと渋々向かうカシュヴァーンたち一行にゼオルディスが連れてきたのは、スタンバール家の令嬢でティルの婚約者……!? 赦されない贅沢と、あなただけへの「想い」を知る第9弾!!(裏表紙より)
ラブコメに見えて実はどす黒い陰謀劇の物語になっている死神姫シリーズの9巻。アリシアの「おねだり」ににやにやしながらどーっと砂糖を吐くような甘い一面もあれば、ゼオルディスがさらっと非人道的なことを言ったりして、なんだか怖い。怖いと言えば、ゼオルディスの挿絵もこわかった……あれは、おかしい。話がこうなのにおかしい。思わず草が生える勢いだ。
ティルナードの成長が見られて嬉しい限り。ノーラの話はそれだけで少女小説っぽいのに、オチがあれかー!!(ばくしょう)

蒼い空を翔ける三色のライン。
紫の少女——鳳/アゲハ。
蒼の少女——乙/ツバメ。
黄の少女——雛/ヒビナ。
近未来のウィーン、ミリオポリスと呼ばれるその都には、あらゆる言葉が飛び交い、人々はさまざまな神を信じ、そして、くだらない争いに巻き込まれ命を落としていた。日常の間の中で——。
そんな、混沌の中で生きる三人の少女たちがいた。機械化された身体を持ち、最新の官給品として、敵を貫く弾丸。
《炎の妖精》たち。
地下深く静かに流れていた泥流・テロが顕在化した時、三人の弾丸に、命令が下る。敵を貫け! 破砕せよと。
これは、天に唾をしながら、未来をあざけり、日々を生きる妖精と呼ばれた少女たちの物語。(カバー折り返しより)
シュピーゲルシリーズのもう一つの物語。独特な文章なのに読みやすくて面白くてびっくりした! オイレンの方がもうちょっと突っ込んで世界観を書いていたような気がする(曖昧)ので、その前提があるとスプライト1巻はすごく読みやすかった。1話から3話までお約束の流れを踏むのが面白いなあ! すごく分かりやすい。でも短めなせいか、ひとりひとりの話はあんまり突っ込んで書かれていなかった印象でした。とりあえず鳳が最強過ぎる。素敵。

どんな時も、あなたのために。
『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。(裏表紙より)
何か変だなと思ったらそういうことか! 思わず表紙を見比べたわ! そういうことだったわ! でも読み終わっても「え、えええ?」と思わず確かめずにはいられないほどややこしい話だった。
下巻にあたるこの巻は解答編。タイムトラベルもののちょっといい話で終わるのかなーと思ったら! やばい。でも、すごく納得した。うん、時を超えてまで思い続けるというのは、ある種狂気でもある。若干後味が悪くて面白かった。