読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

神と人と、その狭間の者である箜(くう)。その時代、神はまだ人に近く、神の心が人々に様々な影響をもたらした。愛、憎しみ、戦うこと、生と死。神話モチーフのファンタジー短編六編に序章と終章を加えた連作短編集。
これすっごく好きだったー!! 表紙はCLAMPさんなんですが、これがすごく合っている。ちょっと謎めいた雰囲気が漂っていて、私はこの神様と人が混ざり合って生きている世界がものすごく好きなんだなあと思いました……本当に好きだったんだ……。
箜の姉弟の話「リュイとシムチャッカの話」、死の神と醜い沼の神の話「グドミアノと土蛙の話」、将軍が武力で神の笛を奪おうとする「カスファィニアの笛」、盗賊と少女の「盗賊たちの晩餐」、叔父に追われる王子の話「テレペウトの剣」、すべての終わりと始まり「終わりと始まり」。
どの話もオチが読める話なんですが、これをきちんと面白く書ききるのがすごいなあ。分かりきっているけれど面白い。本当に面白い。大好き。こういう短編集が本当に好きなんだなあ……!
私が一番好きなのは「盗賊たちの晩餐」です。ちらっと悪くて、すごーくかっこいい話が好きです。
すべて読み終わった後、表紙を見ると全員が出ていることに気付く。
この本大好きだー(それしか言ってない)
PR

客室乗務員は、さまざまなお客様をお迎えする。かき氷が欲しいと泣く女の子、盗撮オヤジ、暴力を振るう酔漢、傍若無人なVIP、産気づく妊婦。その都度、知恵を絞り、全力で解決に当たるのだ。かつてチーフパーサーとして多くのフライトを経験した著者が、自身や同僚、後輩の遭遇した数々の事件を明かす。スチュワーデスたちの笑える失敗談も収録。『JAL機の懲りない人たち』改題。(裏表紙より)
サービスに従事する者として何か参考になったら……と思って読みました。無理難題とかクレームとか、こう、相手を立てながら答えを出すって難しいなあ。人と接するって本当に難しい……。人の心理って本当に、多種多様だよなあ……。
と浸るのはともかくとして、逆にいい話というのもあって、「おしぼりでござる」と「ミス・ハムレット」がよかった。こういう話もっと読んでみたいなー。いい間違いは結構鉄板ネタだなあと思った辺り、だめだめである。

リスカは花を媒体としないと魔術を使えない〈花術師〉。魔術師のあいだでは〈砂の使徒〉と呼ばれ蔑まれていた。
リア皇国の辺鄙な町オスロルで魔力を込めた花びらを売って、細々と暮らしていたリスカは、強盗に襲われボロボロになって森に逃げ込む。そこで傷ついた魔剣を見つけ治癒を施した。
翌朝、自宅のベッドでリスカが目覚めると、見知らぬ男がいた。彼こそは、伝説の〈剣術師〉セフォーだった。
そのころ皇国内では〈死にいたる媚薬〉が売られ、被害者が続出していた。リスカとセフォーは、不穏な世界に否応なく巻き込まれていく……。(帯より)
ずっと存じ上げていた、iaさんのネット小説の書籍化作品。落ちこぼれ魔術師と、正規の魔術師ではないながらも伝説にうたわれる剣術師の、波瀾万丈の物語。
ところどころR15なのにどきどきしつつ、この話ですごく印象に残ったのは、魔術師という存在は賢者の素質を持っているのだなあ、ということ。作中でかなりそういった教育を受けている話が出てきていましたが、そういう素質がないと魔術師は名乗れないのでしょうね。リスカが語るシーンが、なんだか私のイメージする賢者の風格で、おおっと思いました。
セフォーがちょっと不思議で、なのにかわいらしい人で好きです。最強のくせに犬みたいだわー笑 かと思うと揺るぎない考え方を持つ人であり、何故この女だけ特別なのだ他とどう違うのだと問われたときは、リスカ以上にどきん! としました。セフォーの問いかけは、実に真理だと思う。
続きがネットにあるんですよね。時間を見つけて読みたいなあ! この二人はどこへ落ち着くんだろうか。
ところで内容とは直接関係ないんですけれど、この本の装丁が。帯で隠れるとはいえ表紙絵をこう加工するとか、本文の場面転換改行とか両側にもう一行あってもいいんじゃないかとか帯デザインもうちょっとがんば! というか、ここまで見てしまう私が細かいのか……。

「ファンの正体を見破れる店員のいる店で、サイン会を開きたい」——若手ミステリ作家のちょっと変わった要望に名乗りを上げた成風堂だが……。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵のコンビが、書店に持ち込まれるさまざまな謎に取り組んでいく。表題作を含む五編を収録した人気の本格書店ミステリ、シリーズ第三弾!(裏表紙より)
久世番子さんのコミカライズをすでに読んでいるせいで、読んだか読んでないか覚えていなかったという。そして原作第二弾読んでないよ!
ともかく。不審な本の取り寄せと事件の「取り寄せトラップ」。小学生の少年の不審な行動の理由は……「君と語る永遠」。融通のきかないバイト金森君の「バイト金森くんの告白」。表題作の「サイン会はいかが?」。忘れ物はどこへいったのかという「ヤギさんの忘れもの」の五編。コミックはかなり忠実に描いていたな、と原作を読んで思いました。
じわっとしてしまった「君と語る永遠」。こういう、約束事に私はすごく弱いんだ……いつか、という、その「いつか」を胸に抱いた人が好きなんだ……。「ヤギさんの忘れもの」もとてもいい話でした。こういう交流ができるっていいなあ。
本と書店と書店員とお客と、そのつながりがとても綺麗に描かれていて、杏子たちの台詞ひとつひとつにそれが滲み出ていて、読んでいていいなあという気分になれるお話だと思います。すごく好きです。

4歳年下の上司・藤堂と晴れて恋人同士になった果歩。だが、藤堂は今、二人が勤める灰谷市役所を改革しようとして、周りから大きな反感を買っていた。彼の立場をこれ以上悪くしないために、期間限定で距離を置くことを決めたはいいものの、不安ばかりが募っていって……
果歩の元彼や、藤堂に恋心を寄せる若い女の子たち。様々な人間の想いが交錯する中、二人の恋はどのように進展していくのか?
ちょっともどかしい大人のラブストーリー、第2巻。(カバー折り返しより)
第2巻。二人の関係がちょっと進展? ……進展、してるのかなあ……? と不安になる巻でした。面白かったんですけれど、大丈夫か二人とも! と叱咤激励したくなる。
流されやすい果歩が揺れたり、素直になれなかったり、新しい発見や出会いをしたりしていくところがはらはらどきどきなんですが、とにかく藤堂さんが全然本心を明かさないせいで色々こじれてる気がするよ!笑 果歩と晃司の決着はとてもよかったんですが、この二人が元鞘に戻ってもある意味面白そうだなあと思いました。変わっていく男を見る楽しみがあると思うとかちょっと偉そうなことを考えた。それから、後輩ができたところは大きいなあと思いました。男所帯でただ一人のお茶汲みだったので、果歩は望めるところを望めないようになって閉じこもった感があったような気がします。
今回はお父さんや上司組もにぎやかで、那賀さんの「ツンデレ」発現に噴きました。今回そういうのないと思ってたのでやられたー笑 おやじかわいいよー!

的場果歩、三十歳。彼女が働く灰谷市役所はいまだ前時代的な男性社会で、女性はサポートや雑用ばかり。身勝手な恋人は仕事に夢中で、結婚話をしても冷たい態度。
——私は大丈夫。何があっても、笑っていられる。
自分にそう言い聞かせる彼女を、さりげなく守り、いたわる四才年下の係長・藤堂。その優しさは年上への気づかいか、それとも——?
お互いになかなか踏み出せない、ちょっともどかしい大人のラブストーリー。(カバー折り返しより)
初アルファポリスである。前々から気になっていたんですが、こういう、現代社会の大人の女性の恋愛小説というのはちょっと踏み出すのに勇気がいりました。いやでも面白かったです!
悩みとか周囲の環境がリアルでえぐられた気がしました。しかし果歩は笑って仕事ができる人なのにあれほど抱え込んで悩んでいるとかうじうじしているというのは、色々辛かったんだなあ……と思います。一つ疑うと本当のところが見えなくなる、という感じで、中盤まで胃がぎりぎりする話でハッピーエンドで終わるのだろうかとちょっと疑いました。
そんな果歩を救うのは、年下の上司・藤堂。ちょっと何を考えているのか分からない、不思議な空気感のヒーローは、優しく、時に厳しく、しかし果歩の心を守ってくれようとする。「森のくまさん」という表現がかわいくてツボでした。そういうヒーローすきすき。
二人が恋も仕事もちょっと進展したところで終わっているので、2巻を楽しみに読みます。

人は有史以来、常に天を目指した。
「お洋服いっぱい買うから」雛/ヒビナ。
「オレ絶対有名になるから」乙/ツバメ。
「行って参りますわ」凰/アゲハ。
都市を守るため、三人の少女は翼をもって空にはばだく——。
近未来都市ウィーン——ミリオポリスに建造された超巨大タワー、〈ヴィェナ・タワー〉。それは、人の命を削って創られたものだった。
その横をかすめて、火の玉が墜ちる。落ちた星——ロシアの原子炉衛星アンタレスは、災厄の始まりでしかなかった。動きはじめる七つのテログループ。ようやく攻勢のテロ組織として、整いつつあったMSSに、いや三人の少女に最大の試練が訪れる。
天と地の間に生きる少女たちの物語。(カバー折り返しより)
オイレンとリンクする、衛星落下事件のMSS側視点の物語。MPBの三人娘、特に涼月はかなり惨い戦いを強いられていましたが、MSS三人組は三人でいることが当たり前なのでそこはちょっとほっとして読みました。
前線に出ていたオイレンの話とは違い、スプライトは事件首謀者の周辺人物が描かれることもあって、ちょっと軽い印象の話になっていた気がしますけれど、これ読む順番が違うと全然違う感想になるんだろうなあ。「電子レンジ」が何を意味するか知っている身としては、「冬真にげてー!!!」の心境だったんですけれども!
MPBとMSSがすれ違う瞬間はやっぱり鳥肌ものでした。涼月から見るのと凰から見るのと全然違って面白い。けれど私には、ちょっとすれててひん曲がった性格の、でもどこか熱い涼月の物語の方が合っている気がする。

アリシアとカシュヴァーンの間に設定された、ルアークの誕生日。盛大な誕生会を開催することになったライセン一家は、それぞれ個性溢れる祝いの品を用意するが……そこにやってきた、奇妙な誕生祝いとは!? また、ティルナードがセイグラムに隠れて外出をするあんな一日や、レネがバルロイから決別(?)するこんな大騒動など、これまで語られることのなかった五つの「絆」を紡ぐ短編集が登場! 死神妻と暴君夫、いつもとちょっとだけ違うおかしな夫婦の日常は、いつも以上に甘〜いラブが大増量!(裏表紙より)
いつにもましてにやにや巻でした。このシリーズも電車で読めない話だよな……(にやけてしまうから)
ルアークの物語、ティルの物語、エルティーナの物語、レネとバルロイの物語、そして夫婦の物語と、五つの短編が収録されています。どこかしら影のある死神姫シリーズの、その影の部分が結構見えた巻かな、と思いました。本編はアリシアの目から語られることが多いせいか、あんまり後ろを振り向かない印象があるので……。
ティルぼっちゃんが成長したことに目頭が熱くなります。見守るカシュヴァーンの目が優しいこと。セイグラムにも助けられていますが、ティルナードはいい男、になるにはまだまだ遠そうだなあとちょっと思ったりも。ティルが悪いわけではなくて、周りが怪物じみた手腕を持った人たちばかりなので、ティルはなかなか大変なのではないでしょうか。
エルティーナとジスカルドは、関係が変わったらいいな、と希望を抱いて本編を読みたいと思います。ライセン夫婦はらぶらぶでごちそうさまでした。

ワケあって、田舎から東京に出てきた岩倉たがねは十五歳。数々のバイトをクビになり、空腹を抱えながらさまよっていた新宿で見つけたのは、毛筆で書かれた不思議な求人広告。「住み込みで食事付き」に惹かれたたがねだったが、雇い主は怪しげな婆さん・櫻木闘子。やさしい孫の恭介はいるものの、たがねを待ち受けていたのは、予想だにしないオシゴトだった!
笑いあり涙あり、ホワイトハート新人賞受賞作。(裏表紙より)
異能者が登場する現代ファンタジー。
あとがきの改題前のタイトルがツボった。これは少女小説のタイトルらしからぬ厳ついタイトル。元原稿はどんな話だったのかなあ。
ともかく、お話の内容はこんな感じ。現代日本には密かに「マロウド」と呼ばれる異界のものたちを狩る集団があった。この闘姫一族の一人、闘子の助手となったたがねのお話。ラブ方面の話はあまりなくて、たがねの一生懸命さがかわいいお話でした。
この小説のおいしいところは、ババ孫萌えだと思うんですよ! 孫に甘いおばあちゃんもえー! 家族内での甘やかしって、(人に迷惑をかけない範囲では)本当においしいんですよね! たがねは幸せになれー!

三か月以内に借金が返せなかったら金貸しの後妻!? 借金返済のため、パミーナは高賃金だが三日と人が続かない“悪魔の屋敷”で働くことに。しかし、屋敷の主・美貌の天才博士クルトは、一筋縄ではいかない人間不信の変わり者で!?「泣いて逃げ出すまでいびり抜いてやる!」と辞めさせる気満々のクルトとの勝負を受けて立ったパミーナ! なのに、いきなり甘い言葉を囁かれ、ときめいてしまい!? 人生を賭けた恋と勝負の行方は?(裏表紙より)
たくましい女の子と子どもみたいに口が悪い変人美形青年のお話。きゅんきゅんしたー!
パミーナが一生懸命でたくましくてかわいらしくて、二人の口喧嘩が楽しくて。若干クルトの思考回路が変な気もしましたが、とてもとても少女漫画で楽しい話。言い争いが子どもっぽい一方で、ときめく台詞やシーンがストレートできゅんきゅん胸を突いてきて、にやにやが止まりませんでした。
何がいいって、やっぱりパミーナの性格だ。まっすぐで、純真で、ひねたところがなくて仕事に打ち込めるところや、ちょっとうぶなところ。クルトはパミーナがいないとだめになるなーと最後辺りのシーンで笑いました。
面白かったです!