読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
事実上、ブラーナ帝国の支配下にあるネプティス王国で、女でありながら近衛兵を務めるナルメル。自分の国が、他国に支配されながら発展を遂げていることに、複雑な感情を抱いている。そんなとき、ブラーナ帝国の皇子アリアスが総督府の長官としてやってきた。彼の責任感のない発言や態度から、はじめは軽蔑していたナルメルだったが、護衛として共に行動するうちに意外な一面を知って…?(裏表紙より)
嫁恋シリーズ番外編。『紅〜』で舞台だったネプティス王国の中編が二本。一本は、ナティール即位後のお話。もう一本は、即位前のお話。相変わらずべたべた甘いお話ではなくて、国の興衰とはみたいな話があったり、国の在り方や各国文化についての入門書を読んでいる気分になります。面白い。
「大河は愛をつなぐ」が、真っすぐな少女近衛兵と無気力な皇子様という組み合わせで、二人の会話を見ていると楽しいです。嫁恋はみんなどこかしら柔らかで『お姫様』だったので(『緑の森〜』のエリスセレナは例外かな?)、ナルメルのキャラクターは新鮮で面白かったです。ちょっと間が抜けた感じも可愛らしかった。
「草原の女王」は女族長のお話。ナティールはあちこちでフラグを立て過ぎだな!
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30年前シャンソン歌手としてデビューしたパリで“食いしん坊”に開眼した著者が、日本料理はむろん世界の歌の友人たちから仕込んだ素敵な料理とその調理のコツを、こっそりあなたにお伝えする“料理+シャンソン”エッセイ集。読んだら、きっと食べたくなり、作ってみたくなる、とってもおいしくてちょっぴりシミジミする本です。(裏表紙より)
1983年の本。読んでいたら作りたくなったので、ヴィシソワーズスープを作りました。
料理のおいしそうな描写が、今読んでも全然色あせていなくて、食事前だったのでお腹を鳴らしながら読んだ。石井さんの言葉選びが好きだ。文章の書ける人は、本当に品のいい文章を書かれる。
料理もいいのですが、石井さんの日常が垣間見えるのがとてもいい。外国人の友人たち、仕事のこと……。料理というものを通して、それを食べている人が見えるというのはいいな。本当に食べ物を大事にしていらっしゃるんだろう。
『ポーの一族』はなぜ一八七九年に設定されなければならなかったのか——。
もはや少女マンガの枠を超え、芸術作家の第一人者である萩尾望都氏の代表作『ポーの一族』。バンパネラ(吸血鬼)として生きなければならない少年・エドガーを中心に描かれた、哀切に満ちたこの作品には、E・A・ポーやシェイクスピア、そしてマザー・グースなどさまざまな英米文学が織り込まれている。そしてさらに、そこに見え隠れする「アリス」の影。
「一八七九年」からたどり着いたひとつの答え。知られざる「ポーの真実」が今ここに!(裏表紙より)
96ページと短いですが、かなり納得のできる『ポーの一族』論でした。2007年のもので、比較的新しいのがめずらしい。
私の中で『ポーの一族』というと、バンパネラというものは、とか、時間とか生死というものに目を向けがちなのですが、いとうさんはエドガー・アラン・ポーやマザーグース、ふしぎの国のアリスといったものから『ポーの一族』を見ていて、歴史からも引いてくるところもあって、とても新鮮で面白く、興味深く読みました。
何故「1879年なのか」という問いは、面白いなあ。欠陥なのか、そういう年代の数字というものが理解できないところがあって、全然関心を引かれないものだったので、すごくふむふむと思って読みました。
興味深かったです。
ライトノベル作家になるためにはどうすればいいのか? 優れたライトノベルを書くためにはどうすればいいのか? ——そんな作家志望者の疑問に、エンタテインメントの最前線で活躍中の冲方丁が一発回答! 『マルドゥック・スクランブル』『カオス レギオン』『蒼穹のファフナー』といった話題作の秘蔵プロットをそのまま公開し、創作の過程を著者自ら解説した、型破りな指南書が登場!!(裏表紙より)
突然読みたくなったので。面白かった! こういう本が本当にもっと増えればいいのにな! 一応マルドゥックもレギオンもファフナーも読了済みなので、話がよく分かって面白かった。特に『カオス レギオン』のプロットはすごいな! ファンタジーの世界、土地、という考え方にすごく共感する部分があったけれど、そこを故郷を追われた者を使ってとことん描こうする冲方先生がすごすぎる。
個人的に本当にファフナーの続きが読みたいですせんせい。
「自分の言葉」を大切にすることは「人の気持ち」を大切にすることです——
過程でも、職場でも学校でも……毎日、なにか「うれしいこと」「楽しいこと」に出会える人は、やっぱり素敵な言葉の持ち主。自分もまわりも幸せにする魔法、それが「言葉のごちそう」なのです。(裏表紙より)
何年も前に買ったまま、読んだかどうかも分からないまま本棚にささっていたので、読んだ。
話し方の指南書ではなく、考え方の改め方を示す感じ。人の体験談を交えてあるのが面白い。うまい返し方、感じのいい店員の対応の言葉、その逆の例。当たり前のことしか書いていないけれど、その当たり前がこうして形にしてあるので興味深く読んだ。やっぱり心構えだよなあ。
決まっていた婚約を反故にされ、急遽カストラバ王国へ嫁ぐことが決まったブラーナ帝国の第六皇女アンナマリア。結婚相手の若き王フェランは、即位のときに異母兄を処刑した冷酷な人物だといわれていた。常に命を狙われ、輿入れしたその日も刺客を自ら手にかけたフェランが恐ろしくて、初夜の床で思わず夫を拒んでしまうアンナマリア。結ばれないまま、国王夫妻として過ごす二人だったが!?(裏表紙より)
嫁恋シリーズ六冊目。前作「緑の森〜」のエリスセレナの姉姫アンナマリアの物語。妹へのコンプレックスよいです。セレナは吹っ切って行動を起こせる子でしたが、アンナは思い悩んで口に出せないタイプで、いろいろじりじりしました。相変わらず陰謀が前面に押し出されていて、それほど糖度は高くありませんでしたが、安心して読めるのはすごいなあと思う。
アンナが声を上げるところは、アンナらしさが失われていなくてとてもかっこよかった。
ところで、このシリーズで悲恋ものをちょっと読んでみたいな、と思ったりしました。最終的にみんな幸せにくっついてしまうので……。
「今も私の心の中に遠藤は生き続けています」。入退院を繰り返す生活。抱腹絶倒のイタズラの数々。母との絆と信仰への道。『沈黙』『深い河』の成立の背景。最後まで衰えることのなかった文学への執念……。四十年余りの間、遠藤さんを支え続けた夫人が、様々なエピソードを交えながら語る遠藤周作の文学と人間の素顔。(裏表紙より)
カトリック、母との愛、母への愛。そして文学。対談形式ですが、話の誘導がそんなに感じられず、自然としたところで鈴木さんと遠藤さんが思い出を語る、という風な体裁で、とても読みやすくて、興味深かった。
私は遠藤周作は『深い河』しか読んだことがないし、何年も昔のことなのでどういう話だったのかははっきりと言えないのですが、ただものすごく魂を磨くような話だったことは記憶しています。作家について全然知らなかったので、どういう状況で書かれていたのかが分かって、ひたすらにため息が出るばかり。
めぐりあわせや絆の話が、ものすごくいいなと思う。こんな風に誰かを愛し、祈る人がいるのはいい。
借金と引き替えにヤクザと取り引きをし、豪華客船に乗り込むことになったディーラーの浅葱。指令は「中国人事業家・蔡文狼に近づくこと」。ところがカジノで出会った蔡は、数ヶ月前にたった一度だけ、彼女に振られた浅葱が酔った勢いで抱かれた相手だったのだ。「賭けをしないか? お前が負けたら命令を一つ聞くんだ」と蔡にけしかけられた浅葱だが…? 「俺はアナタを騙すために近づいた。そうだ、それだけだったのに……」中国系マフィア(!?)×ディーラーで贈る、貴方にも(多分)出来る豪華客船ラブゲームをどうぞ!(裏表紙より)
本格的にBLを読まんとして、友人から貸してもらいました。ルビー文庫は初めてではないのですが(茅田砂胡さんの『桐原家の人々』を読んだので)、お、面白かったよ!? とちょっとうろたえてしまうくらい、まとまっているお話だったと思います。ちょっとBLに対してのイメージが払拭された。
お話としては、紹介を読んで大体予測できる展開の範囲でかなり軽いと思ったのですが、こういうものなんだろうと思います。でも主人公の一人称でなんだか受け(というのかな)が可愛らしかったし、攻めの方はかっこよかった。その分、攻めの弱い部分(家族が仲良くないところとか)をもっと見てみたかった気もします。蔡の行動で謎だった部分が最後でぽろぽろっと明かされていくところが面白かったです。
母国のブラーナ帝国から遠く離れたゲオルグ公国で、女でありながら君主の地位についたエリスセレナ。婚約者であるイシュトファルに支えられ、女公としての一歩を踏み出した。だが、次々に問題が起こる。ラインヘルドの領主から突然の求婚、ときを同じくして隣国から進軍の報せが…! 最も危険な場所へ、愛する人を送り出すエリスセレナ。思いがけない陰謀が待ち構えているとも知らずに——。(裏表紙より)
緑の森を拓く姫の後日譚。女公となったエリスセレナが直面した問題の数々が今回。前回はまだ迷える姫君だったのか、この巻ではもうすで為政者になっていておおっと思う。もう前巻で抱いていた葛藤はなくなってしまったのかな、と、もうちょっと「私が何故ここにいるのか」という迷いも見てみたかった気もしますが、たった十六歳で臣下たちと渡り合うエリスセレナは本当にかっこいい。
毎巻陰謀渦巻くところに姫たちが巻き込まれていくお話なので、ラブロマンスとははっきり言えないし、政略結婚ものを求める人には甘さが足りないと思われるかもしれないけれど、こういう少女向け小説があるのは面白いなあと思う。