読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

どんな時も、君のために。
小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さいマチ』を見たからだ。
僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。
『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。(裏表紙より)
とある離島に住むニアとマチ。二人は決定的に仲が悪い。しかし、ハカセと呼ぶタイムマシン開発者によって九年前の過去に飛ぶことに。二人が仲違いしたあの日が、十日ほど後に迫ったあの日。
伏線がばらばらしているので、下巻を読むのが楽しみなのですが、子どもたちがあほでかわいいな! それが自分だと知るともう「うわあああ」という気分なんでしょうけれど、小さいマチが大きいニアに、小さいニアが大きいマチのそばにいるというのはなんかいいなあ。
とんでもない終わり方をしたので続きー! となっている。
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恋をしたことがない19歳の大学生・薬子は、恋をしたことがない、分からない。でも何故か月に不思議と惹かれ焦がれている。ある夜、女性に「アルバイトをしないか」と持ちかけられ、薬子はその女性の息子・飛鳥の話し相手を不定期に務めることになった。彼が語るのは、「月族」と呼ばれる人々と、その始まりの物語だった。
不思議な印象のお話でした。一人称で、常に語りかけられながら話が進むので、そこに語り手がいるみたい。恋をしたことがない女の子が、少年の語る物語の引力のようなものによって様々な男性と出会い、現実と物語が少しだけ重なる、幻想的な話でした。
作中作にあたる内容はすごく壮大なはずなんですが、端的に語られすぎてちょっと残念! そこは大河で読みたかった! ケータイ小説? ネット小説? の、すごくあっさりした文章みたいだなと思ったので、できればもっとがっつり読んでみたかったー!
オススメされた作品でした。ありがとうございました!

「テオバルト。愛しているから、あなたを忘れる」
囚われの王女アマポーラと、王位継承に敗れた王子テオバルト。支配した者とされた者として出会った2人は、長い旅の果てに恋に落ちた。だが運命は、二人が互いを守ろうとする気持ちすら弄ぶ。
アマポーラのため、テオバルトは人外のものに。そんなテオバルトを救うために、アマポーラは彼の記憶を捨てた。それでもなお平穏は遠く、アマポーラは命を狙われ続ける。懸命に守ろうとするテオバルトだが、彼女はその存在すら拒むのだった……。
たとえ同じ時間を生きられなくても、たとえすべてを忘れてしまっても、君を守る——。宿命の愛と冒険の三部作、ついに完結!!(裏表紙より)
面白かったー!! 面白かった! 私の乙女心がたいへん満足しました! これは少女小説好きにもすすめたいライトノベルだな!
お互いを思い、守りたいがためにすれ違ってしまう。月神と悪魔の戦いが二人に安寧を許さない。そんな中での、この必死に手を伸ばし、触れたいのに触れられないと一歩退いてしまうじりじり感がたまらない。切ないなあ切ないなあ!
アマポーラがいい子すぎると感じるところはあるけれど、この話はこれでいいよ! 姫だけれど芯の強い彼女が好きです。テオバルトとエレンの、歌のシーンは思わず涙が込み上げた。不器用な疑似家族、でも本当に親子である三人の、長い長い旅の終わりが幸せな結末でよかった。
本当に面白かった。ときめきました。

「これから、俺と君とで旅に出る。捕まれば、命はない」
その一言から、二人の長い旅が始まった。囚われの王女アマポーラと、王位継承に敗れた第二王子テオバルト。支配した者とされた者。反発していた二人は、やがて恋に落ちた。だが——旅路の果てに待ち受けていたのは、辛く、悲しい別れだった。
忘れられない。傍にいることはできないけれど、あなたのために生きていく。共に誓う二人だったが、テオバルトには生命の危機が、そして、アマポーラには望まぬ婚姻が舞い込んでくる。
「テオバルト。愛しているから、あなたを……」
無慈悲な運命にあらがい、立ち向かう。強く切ない愛の物語!(裏表紙より)
面白かったああ! 1巻を読んだときは美しく切ない物語だなあ面白いなあと思ったくらいだったんですが、この巻が震えるくらい面白かった。電波を受信したのだろうか。
敵国の王女と王子は、周囲から必要ないとされ追われる立場になりながらも、恋に落ちた。神と竜と伝説が生きる世界で、二人は離ればなれになりながらも、相手をいつまでも想い続けていた。この設定だけで大変美味しいですありがとうございます。
1巻からさほど時間が流れていない状態で、アマポーラとエレンのその後の日々、そしてテオバルトの日々が綴られていく。月神フォスの敵、悪魔キャンディットの存在が、二人を脅かし始める。そして、過去の罪までもが。
一般人としては何も出来ないながらも、王族として誇り高く、一度困難に折れ、それでも顔をあげるようになったアマポーラの、儚く凛とした美しさ。一生懸命さ。ひたむきさ。その恋の切なさがとても胸を打ちました。三巻読むぞー!

黒髪を切られ変死した女性家庭教師。そして従兄とその母親も眼球と爪を奪われて死んだ。謎めいたほどに美しい兄弟のまわりに次々と起こる奇怪な死。遠い記憶の闇のなかから湧き上がってくる“囁き”が呼び醒ますものは何か。『緋色の囁き』に続く異色の長編推理“囁き”シリーズ第二弾、講談社文庫に登場!!(裏表紙より)
面白かった! 卒論の準備のために伯父の別荘を借りた拓也は、近くの別荘に住んでいる二人の兄弟と知り合う。彼らに異常なほど厳しい父親、年齢の割に派手な叔母、その卑しい息子。そして心をなくした母親。複雑な環境にある彼らの遊び相手は「あっちゃん」なる人物だという。そのうち、その周りで奇怪な事件が起こり始める。
推理ものではないこういう小説も好きなのである。黒々として、少年たちの謎めいたところがとてもよかった。最後まで歪つなまま終わるのも好きだ。面白かったなあ。
でも結局、小学生たちの事件はどういうことだったんだろう。

ある寒い冬の日、売れない絵描きの部屋をたずねてきたふしぎな猫の魔法で、壁に描いた「窓」のなかでは、毎日暖かい春の風景がひろがる。そこに絵描きは思いがけないものを見つけ……(「春の窓」)。
あなたを、知らぬ間に、身近な日常の空間から、はるかな空想の時間へと連れゆく、安房直子のメルヘン。「北風のわすれたハンカチ」「あるジャム屋の話」など、心がほぐれ、やすらぐ、十二作品を収録。(裏表紙より)
「白いおうむの森」を読んだ覚えがあるのですが、もう忘れてしまっている。安房直子さんは、しっとりとしたメルヘンなのに、どうしようもないやるせなさというか、悲しさというか、ちょっと寂しい雰囲気が漂っているところが好きです。というわけで久しぶりに読んでみた。
収録作品は「黄色いスカーフ」「あるジャム屋の話」「北風のわすれたハンカチ」「日暮れの海の物語」「だれにも見えないベランダ」「小さい金の針」「星のおはじき」「海からの電話」「天窓のある家」「海からの贈りもの」「春の窓」「ゆきひらの話」。
一番好きなのは「あるジャム屋の話」かなあ。鹿の娘がジャム屋を手伝いにきた、二人で店を大きくしてきた、男はその日々で十分だと思っていたけれど……。その、十分だったんだよ、人間になんてならなくていいんだよ、というところが切なくて。
「春の窓」も素敵なメルヘンでした。魔法を使える猫! 素敵!

2010年1月から2011年8月まで「本とも」に収録された20編のエッセイと、書き下ろし1編を加えた、動物物語とファンタジーに関するエッセイ。
荻原さんの子ども時代や読書体験、動物に関する思い出を交えて、動物物語について語られています。興味深かった! 何編かはネットで読んだような気がするのですが、全部通して読むともっとずっと面白かった。
書き下ろしである「もの言うけものたち――ファンタジーの水脈」が非常に印象的。荻原さんの生涯のテーマなのかなあ。
何気なく菅野よう子さんの話が出てくるのが好きだ。菅野さんの創作感覚の話がちらっと出ているのですが、ファンとしてははああああ……! と震えてしまうくらいどきどきしてしまった。言葉と音楽。コミュニケーション。感覚が全然違うんだあ……! と。

50年に一度、下界に住む高貴な家柄の娘の中から、占いによって巫女姫が選出され、神域といわれる香玉山で育てられる。その巫女姫は、伝説によれば黒竜大聖に嫁ぐことになっているのだ。嫁ぐ日を夢見ていた巫女姫・愛春燕。しかし、それはただの伝説だと言われショックを受ける。そのとき、雲の間から、黒竜大聖が降りてきて…。葵木あんねが描く天上の恋。壮大なスケールで描く天界ファンタジー!!(裏表紙より)
『天の花嫁』と同じ世界を舞台にした、中華風天界恋愛ファンタジー。天真爛漫な天然巫女姫と、無愛想で生真面目な黒竜大聖のお話。
今回も主人公周りの人々の方が個性が強くておかしいのですが、ヒロイン春燕が、ほわほわな天然姫で面白かったです。天真爛漫でちょっと頭の足りない感じですが、それがえらく可愛らしい。仮面を被った時はどうしようかと思った。流行……なのか……?>仮面に用いられた動物。
愛され系ヒロインで特に大きな困難もなくあっさりくっつきますが、色々にやにやできました。微妙にセクハラが多いよ! 天界の人々の頭は常に春なのか! というくらいヒロインが愛されていて、それが非常ににやにや。