読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
出版社で編集の仕事をしている真也は、昔から触れたものの思いを読める能力の持ち主。強ければ強い思いほど鮮やかに読み取ることができる。ある日、会社の同僚のカオルに、アメリカで映画の仕事をしている父が帰国するから、迎えにいってほしいと言われる。父親が現れるものの、そのとき真也が触れたものからは、まったく別の光景が見えていた。
有川さんの『ヒア・カムズ〜』、キャラメルボックスの『ヒア・カムズ〜』のパラレルストーリー、という二つのお話が収録されています。どちらの家族のお話でした。
思ったより短いなというのが読了後の最初の印象でした。それでもじんわり面白かったですが、スパスパっとしたお話ではあんまりない、でしょうか。有川さんのお話は、どちらかというとちょっとミステリっぽく、いわゆる「いいお話」。パラレルストーリーの方こそ、有川さんの独壇場という感じのお話だった気がします。
パラレルストーリーの、「嘘をつく子」の話が、痛くて痛くて。だめな大人って、痛いけれど、こういう見方をすれば愛おしいのだな、と感じました。私はこっちも好みです。
高知県観光部おもてなし課。課内で最も若い掛水は、観光特使の一人に任命された高知県出身の作家・吉門喬介の問い合わせメールに応じたところ、壮絶なダメを出される。吉門とのつながりをきっかけに、お役所体勢、民間視点の欠如など、なかなか突破できない壁を前に奔走する掛水たちおもてなし課だったが……。
県を元気にしようとするものの、なかなか突破できないお役所的な考え方を、びしびしと指摘し壊そうとしていく作家の吉門。言葉には厳しいものがあって正しすぎるがゆえに痛いところもありましたが、最初からそれを聞こうとする掛水はとてもえらい。最初からかっこいい片鱗があるじゃないか! と思いました。
そんな風にして最初はすごく痛くて辛いのですが、だんだんとみんなが見ている同じ「光」を目指していくところは楽しかったです。人が変わっていくところを見るのは楽しいし気持ちがいい。
巻末には実際のおもてなし課の方をまじえた対談があり、実際に高知県がおもてなし課として取り組んでいることが少し分かって、私が高知県の特使なら小説を書くことで貢献しよう、という有川さんの戦略にまんまとはまっているなあと思いました。
自分以外の人間が“ロボット”に見えるという紫色の瞳を持った中学生・毬井ゆかり。
クラスでは天然系(?)少女としてマスコット的扱いを受けるゆかりだが、しかし彼女の周囲では、確かに奇妙な出来事が起こっている……ような?
イラストは『JINKI』シリーズの綱島志朗が担当。「電撃文庫MAGAZINE増刊」で好評を博したコラボレーション小説が、書き下ろしを加え待望の文庫化! 巻末には描き下ろし四コマのほか、設定資料も収録!!
うえお久光が紡ぐ、“少し不思議な”日常系ストーリー、登場!!(カバー折り返しより)
うおおおおおお面白かった!! 導入でもある最初の話「毬井についてのエトセトラ」は、うーんライトノベルの文章だなあ……とちょっと読みづらかったのですが、「1/1,000,000,000のキス」からはまってしまった! うおおおおおお。
普通の人とは相容れない認識の力を持つ少女・毬井ゆかりを心から友人だと思っている少女・波濤マナブの日常と非日常の物語。あくまで日常の中で世界・運命と戦うマナブの話「1/1,000,000,000のキス」がもうすごかった!
とある組織から数学に対して天才的な才能を持つ少女アリスがやってくる。アリスの目的はゆかりを連れて行くこと。ゆかりを救うために、マナブはとある能力を使って、ありとあらゆる平行世界を行き来する。ある時は人を殺し、ある時は別人になり、ある時は組織さえもつぶし……。
量子力学がどうのという話は私はあまり理解がないのでそこはさらっと読んだので、とんでもなく面白かったです。何度でもあなたのために世界線を越える、という話で、それがまた中学生の少女たちの話なので、本当に私の好みどストライクでした。結末の付け方が、ああ、いいなあ……と思うものでした。
世界も運命も、いつでも私たちのものだ。
15年(!!)という長いあいだ、応援していただいた『アナトゥール星伝』シリーズも、ついに完結!!
すべての物語のはじまりともいえる、シュラ王子のパパとママのエピソード。ユナちゃん&王子、アレス&アイシャちゃんのその後など、番外編3本を収録。
マンガ編と、全20巻のカバーイラストコレクションなど、盛りだくさんのグランドフィナーレスペシャルBOOKです!! ————折原より、愛をこめて♡(裏表紙より)
本当にシリーズ最後の巻。完結です。感慨深いです、本当に。このお話を読み始めたことで、少女小説やライトノベルを読むようになったものだから、本当にじわっときてしまう。この刊行で、このティーンズハートが終わるというのもなあ。はー。(今はホワイトハートで出てますけれども)
登場人物のその後や次世代の予感を感じさせながら、あの世界は未来へ向かっていく。ユナは、アナトゥールが地球と同じ歴史を繰り返すのではないかと考えていますが、また別の、よりよい形で歩んでいけたらいいなと物語の世界の未来を祈りました。
完結おめでとうございました!
いつもと違う予感がする。もう二度と、この世界に帰ることはないかもしれない…と。
そんな覚悟を胸に旅立ったあたしを待っていたのは、アナトゥール各地が天災に見舞われているという不吉な知らせだった。
世界をのみこもうとしている、不気味な闇の正体とは? そして、アナトゥールを救う術は!?
いよいよ、最後の冒険が始まります。(上巻裏表紙より)
アナトゥール星伝シリーズ本編最終章。このシリーズは私がライトノベルを読み始めた頃に一生懸命読んでいたもので、2005年の刊行なんですが2012年最初の読書として読むことができました。いや、本当に、最終章とは感慨深い……。
民族問題や奴隷問題なども扱っていることもあるシリーズで、中学生の頃ははまり込んで読んでいました。今読んでみると、一人称だったり文章が短かったりとあれだなあと思います。
前巻では、新大陸に到達したアレスたちが世界の果てに虚無を見る、というお話で、これはその解決に至るまでのお話。上巻は、その世界の滅亡を防ぐにはどうすればいいのかを探したり、異変に対応したりする話。下巻は滅亡を防ぐお話、でした。世界の危機なのにそんなにあっさりでいいのかと思いながらも、このシリーズに登場した人々が集ってくるのは、自分の感傷もあってこみ上げてくるものがありました。
だって、この本、十二歳とか十三歳の頃に読んでたんだぜ!? もう十年も経ったんだ……と思うと、色々嬉しいような切ないような気持ちになります。
この巻で異世界召喚ものとしておいしい! と思ったのは、異世界に友人と両親が召喚されてくることでした。ずっと以前に友人が召喚されたり、異世界の人間が現実世界に召喚されるなどおいしい話があったシリーズなんです、これ。
世界の異変を治め、世界はあるべき姿を取り戻し、未来へ向かっていく。次の番外編巻で完結だそうなので、読みます。
曾祖母・フサの危篤の知らせを受け、雲出家を訪れた純太。初めて会う親族たちは、30億とも言われる違産のことで気もそぞろだった。だが遺言の内容は「一月以内に『雲出流のやり方で』目標金額を稼げた者に財産を分配する」というもの。雲出流=詐欺で。雲出家は詐欺師の一族だったのだ! 所持金400円の純太は、所持金ゼロの親戚のお兄さん・研士とパートナーを組み、目標金額2000万円の詐欺ゲームに参加することになるが……? 人生を変える夏休みが始まる!!(裏表紙より)
面白かったあ! 中学生の男の子が詐欺を働くお話で、いいお話でもあり、気持ちいいお話でもありました。楽しかった! わくわくした! 夏休みの非日常なお話って、どうしてこうも面白いんだろう。細々したエピソードがまたくすっと笑えて楽しかった。捨身おじさんが意外で、最初はいけすかなかったのにすごく好きになってしまった。楽しい。
詐欺のお話ではあるんだけれども、純太が全然すれなかったし、まっすぐな男の子でよかった。いい子だよなー! だからこそいいことがあるんだろう。
できれば続きを読みたいな!
小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希に、「4日間だけフィアンセの振りをして!」とアルバイトを頼まれ、長野県の田舎に同行することに。夏希の曾祖母を中心にご親戚に囲まれながらも、大役を果たそうと頑張る健二のもとに、謎の数列が届く。数学が得意な彼は、夢中で答えを導きだすが、翌朝世界は一変していた。世界の危機を救うため、健二と夏希、そして親戚一同が立ち上がる! 熱くてやさしい夏の物語。解説・大森望(裏表紙より)
細田守監督作品「サマーウォーズ」のノベライズ。
登場人物の心情が描かれていて、映画とはまた別の角度で面白かったです。映画にはなかった設定や話もあり、人物関係も整理されていて、映画が更に分かりやすくなりました。映画では彼は陣内家の人々より一歩引いたところにいたのですが、小説版は健二がよく動いていたので主人公らしくて嬉しかったです。
やはり、健二の書き込みが! 健二の、ここぞ、という時の台詞がかっこよかったし、夏希との過去の話もにやにやしながら読みました。夏希の恋愛事情の設定は映画と違うのですが、一夏に花開いた恋としてにやにやできるもので楽しかった。
名門家の次期当主ながら、離島の寄宿学校を脱走するほどのヤンチャ坊主・坊城光。そんな光の教育係になったのは、“調教師”の異名を持つ美貌の凄腕教育係・シドだった。シドは光に24時間体制での紳士教育を開始。さらには光がおイタをするたびに、耳を噛んだり胸を攻めたりと、エッチでSな“お仕置き”をしてきて……!? 美貌のドS教育係と負けん気お坊ちゃまのセレブ・ラブ♥(裏表紙より)
光が離島の寄宿学校を脱走した後、やはり教育をと言われてやってきたのは、調教師と呼ばれる凄腕のシド。教育中にお仕置きをされていくうち、光はシドに思いを寄せるようになって。
有能な調教師と鎖で繋がれた小猿、なイメージの二人のお話。さほどエロくはなかったな、と思いました。
光がお兄ちゃん大好きで、なのに比較されて傷ついているわけじゃない、という設定が新鮮でした。兄はどこまでも尊敬できる人、というところに、光かわいいなー! と思った。あと少年たちの仲良しかわいい! ロベルトもミシェルもかわいいし、三人仲良しなのがいいな!