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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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プリンセス・トヨトミ
会計検査院の松平、鳥居、ゲーンズブールの男女が降り立ったのは大阪の地。三権分立のどこにも属さない彼らの仕事は、大阪の秘密を暴くことに。
一方、大阪は空堀中学校の大輔は幼馴染みの茶子と共に、ある決意を秘めて登校する。
これは、三人の大人と、二人の中学生と、大阪の人々の、五月三十一日に至る物語。

これは、すごい。
分厚さもさることながら、世界観とか色々な伏線がすごい。大阪国って! 大人の、男たちのロマンと一致団結がすごい。更に更に、女性の存在も、直接関係ないのにこれほど鮮烈に印象に残るのか! という。人の力ってすごい、を強く感じる物語でした。
みんなが一斉に動き出したところで、読むのが止められなくなって、ぞわぞわしてきて。人々が、長く長くこれほどまでに大切に繋いで受け継いできたものが、こうした形でも確かに現れたことにめちゃくちゃ感動して、うるうるしながら読みました。思い出しても、すごい、と思って、なんでか泣けてくる。
登場する空堀辺りが、結構知っていることもあって、それも楽しかったです。
タイトルのつけかたが秀逸です。もうこの話はこれ以外のタイトルはないと思います。
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蘭契の花嫁 綺羅纏絡 (講談社X文庫ホワイトハート)
「立派な武将になったら……」「ふさわしい女人になって待ってる」。幼い日に結婚を約束した士蘭と華羅。
 だが、心待ちにしていたその日を前に、華羅は従姉妹の身がわりで、斤王、柴蘭涼へ嫁がされる。
 女は美しい政略の道具としか思っていない蘭涼に、美しい人形ではない! と華羅は反発、寵愛を拒否。
 二年で斤国に利益をもたらせば、士蘭の元に返すと言う蘭涼の言葉を信じ、華羅の計略が始まる!(裏表紙より)

王の寵愛を拒否した少女のサクセスストーリー。鮮やかな、女の子が頑張るお話でした。
らぶ成分はそう多くはないのですが、ただこの人が気になる、とても好きだという人がいました。斤王、蘭涼です。幼馴染みの士蘭の影が薄いので、ずっとこの人ににやにやでした。蘭涼が段々と華羅を新鮮な目で見つめていくのが、非常においしかった。蘭涼との恋愛ものでもとても面白かったのではないかな! と思うくらい、好きになりました。冷酷と呼ばれてすべてを冷めた目で見ている人が、動揺したり段々と他人に好意を持っていくのは、それはもう大好きです。ごちそうさまでした。
おいしいコーヒーのいれ方 (7) 坂の途中 (集英社文庫)
一人で部屋を借りさえすればいつだって好きなときに彼女と二人きりになれるとばかり思っていた——なのに、思うようにはいかない勝利の一人暮らし。バイト先の「風見鶏」では失敗を重ねるし、勝利への思いを断ち切れずに苦しむ星野りつ子が気にかかる。何よりかんじんの「かれん」が離れていこうとしている……。波乱含みのシリーズ7弾には星野りつ子の独白を収録。(裏表紙より)

かなり久しぶりに読んだおいコー。確か、段々勝利のうじうじが面倒くさくなってたんだと……。ずっと以前読んだ時感じていた、りつ子への悪感情が、意外と感じなかったのにちょっとびっくりする。
年頃の少年の悩みらしく、自分のことしか考えられなくなり、恋人とぶつかり、という7巻。人間関係が、とても透き通っている。もちろんぐるぐるうじうじ悩むし、ちょっと青臭いところもあったり影もあるけれど、でもすごく、青春。
話の進展があんまり見られなくて、こっちとしてはもどかしくてたまらない。どういう結末なのかなあ。
コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるという。今日、その扉をくぐるのは……?
慌しく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。〈解説・瀧 晴己〉(裏表紙より)

とてもとても素晴らしかった! すごく好きでした。
現代ファンタジーの短編を収録。村山さんの風早街シリーズの位置づけですが、地域を同じくしているだけなので、まったく分からなくて大丈夫。
素直になれなかった男の子、情緒不安定な母親を持つ女の子、ラジオパーソナリティの女性、拾われて幸せだったはずの子猫、そして赤いランドセルの女の子とテレビの物語。
男の子の物語は子どもらしい素直さの物語だし、母親との関係に悩む女の子は現代を現しているし、DJの女性は時間の物語で、子猫は幸福、女の子とテレビの物語はアニミズム的。すごく幅広くて、そのすべてが優しい。
特にDJの女性の一編に、何故だか一気に涙があふれてきてしまいました。
今の仕事は充実しているけれど、それでいいのだろうかと思い悩む桜子。結婚しないのかと両親に言われることもあり、言葉に空しさを覚えていた。ふとした時「たそがれ堂」が現れ、桜のストラップを手に入れたが、すると、身の回りで不思議なことが起こり始める。
これは職業を変えているだけで、村山さんご本人のお気持ちなのかな、と思ったこともあるかもしれません。時間を超えるものの存在が、すごく愛おしかったこともあると思います。すごくすごく優しくて、好きだなあと思いました。
ロマンス小説の七日間 (角川文庫)
あかりは海外ロマンス小説の翻訳を生業とする、二十八歳の独身女性。ボーイフレンドの神名と半同棲中だ。中世騎士と女領主の恋物語を依頼され、歯も浮きまくる翻訳に奮闘しているところへ、会社を突然辞めた神名が帰宅する。不可解な彼の言動に困惑するあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちを小説の主人公たちにぶつけてしまう。原作を離れ、どんどん創作されるストーリー。現実は小説に、小説は現実に、二つの物語は互いに影響を及ぼし、やがてとんでもない展開に!
注目の作家、三浦しをんが書き下ろす新感覚恋愛小説!(裏表紙より)

冒頭からはーれくいん……? と思う話が始まってびっくりする。でも乙女脳がすんなり受け入れて、面白いなと思ったところで、主人公パートに。
物語は主人公あかりの一人称で進む。非常にツッコミがうまい! 流れるように文章が書かれているので、読んでいてすごく楽しい。彼氏の神名はふらふらつかみ所のない男性。冒頭から悪いように書かれていたので、これは修羅場なのかなーと思っていたら、もうあかりも神名もお互いの存在が当たり前になってて、だから簡単に悪いところをするっと言えるのだなあと。多分、冒頭は怒りのあまり言葉がきつかったんだけど、結局好きなんだなあと思っているところが滲んでいて、読み終わった後ほのぼのしてしまった。
ロマンス小説パートが面白くてにやにやしました。こういうファンタジー系の恋愛ものに弱いんだなあと再確認。大人表現が耽美でなんか、勉強しなくちゃいけないなと思いました。色々と。
舞姫恋風伝―花片小話 (ルルル文庫)
主役カップルほか、人気の脇カップル達の恋物語をロマンチックに綴った短編集。「慈雲×佳葉」は、幼い頃から結婚式の日まで、意地っ張りな恋人達のラブストーリー。「昇貴×連珠」は、互いが”大切なたった一人”だと分かり合うまでの感動ラブ。「月真×香泉」は、月真の過去を絡めつつ香泉との恋を描いた、思いやり溢れる物語。「愛鈴×慧俊」は、ラブラブな日常を甘く描いた優しい物語。全8話収録。(裏表紙より)

あらすじの蓮珠の字が連になっている……。
短編集です。
温夫妻が本当にかわいいです! お互いに意地っ張りですが、それだけに思いが通じ合ったときのかわいさといったら!
昇貴たちは本編で語られるだけだった、「付き添いを選んだ一人だった」シーンが描かれていて、面白かったです。幸せになれーと言いたくなる薄暗さでしたが、なんだかんだと言いつつ幸せになるんだろうなと思います。そうであって欲しい。
月真さんの話は、読みながら「水○黄門……」とか思ってましたすみません。だとしたらすっごく暗い黄門様だな! とか一人笑ってました。本編は笑える話じゃないんですけれども。きっと、この短編の後に素晴らしく幸せな再会があるはず!
明艶の話は非常にかっこよかった。かっこいい女性は好きです。それから修安の救済もされていてよかった。ほっとしました。修安の行いの結果はどうやら正史には残らないようだけれども、それだけに密やかな空気が感じられて、なんだか幸せな気持ちになりました。

最初タイトルを見たときは、台風娘が恋するラブコメかと思ったんですが、甘甘らぶらぶの中華風恋愛ファンタジーでございました。ごちそうさまでした!
舞姫恋風伝―花街の迷走 (ルルル文庫)
慧俊が愛する后の愛鈴は、貧しい出自のため貴族達に疎まれていた。帝である慧俊への様々な不満の矛先を后に向け、毎日イヤミを愛鈴に言いに来る貴族の奥方達が出現する中、愛鈴の故郷の村から来た庭師見習いの子維は、自分は愛鈴の元婚約者だと宮廷中に触れ回る始末で。そしてついに、奥方達が愛鈴を陥れようと悪巧みを計画するが、それは悪巧み以上のものとなり…!? 愛と野心が舞う宮廷ラブロマン!(裏表紙より)

二巻目から匂わされていた、愛鈴への嫌がらせが激化、という第三巻。旦那様の嫉妬が非常にかわいいですが、そうも言ってられない状況に。意地悪、嫌味とこうきたら絶対すかっと終わってもらわないと! と思っていたので、非常に満足、満腹でございました!
緊迫したお裁きのシーンから、どっと崩れていつも通りになった愛鈴たちには頬を緩めずにはいられなかったです。こういう仲良しがとても好きです。本当、このシーン大好きだなあ!
お裁きがある人は当然ですが、しかしみんなが幸せであるようで良かったです。ハッピーエンドで嬉しかった。
舞姫恋風伝―廃城の反乱 (ルルル文庫)
かつて貧しい村から売られてきて、貴族のお嬢様たちにこき使われる妓女だった愛鈴は、様々な困難を乗り越え、猿国第三代目の新帝・慧俊の后となった。政務に励む慧俊を支え、后としての役割を頑張る一方、慧俊に甘く愛される幸せな日々を送っていた。そんなある日、宮廷から愛鈴が消えた。新たなる陰謀か…!? そして慧俊は、愛鈴のために、国のために立ち上がる! 大人気のドラマチックなスィートロマン!!(裏表紙より)

これが続くのか! という前巻より続いて第二巻。冒頭から甘くて溶けそうです。
愛鈴の意外な出生にぎょっとなったのですが、それすら夫婦の愛の言葉に変わってもうほんとうにごちそうさまでした。恥ずかしくてどうしようかと。
今回、愛鈴の弟が尋ねてくるのですが、あまりの能天気ぶりにちょっと怒りを覚えたりもしました。今回の事件は突き詰めれば非常に心苦しいもので、正史に残るんだろうなあと思うと、なんかこうもやもやっと。
再登場した昇貴と、新登場の蓮珠がとてもいい感じで、この辺り、ほんわかしました。素直になれない(温夫妻とはまた違った意味で)二人で、ちょっと薄暗い思いの寄せ方でもあるのですが、それだけに結び付きが強固になればきっと幸せになれるんだろうなと思います。
あと月真さんのビジュアルが好みです。こういう幸薄そうな顔好きだー。
舞姫恋風伝 (ルルル文庫)
明るい愛鈴は帝たちのために舞う妓女見習い。不作の年に家族の生活を助けるため売られてきた。月の輝くある夜、太子殿下の慧俊に出会う。慧俊は帝の後継者争いに巻き込まれていて。一方愛鈴は、貴族出身の妓女仲間にこき使われる毎日。そんな二人はやがて運命の激流に巻き込まれていく。愛鈴が幻の舞『雪月梅花』を慧俊のために舞ったそのとき…!! ときめきのドラマチック・ロマンファンタジー!!(裏表紙より)

友人にドラマCDを聞かせてもらった経緯で、薦められて読んでみました。
すっごく、らぶらぶで甘かったです! これでもかという後宮ものの王道でした。太子様から見初められるというところから、お互いが大事である親友の存在と助け、ただ一人だけの何かを身につけていくところは、まさに少女小説! でした。
慧俊がびっくりするくらい恥ずかしい人でどうしようかと思いました。「君だけしか見えてなかった(意訳)」に砂糖を吐くかと。私は親友カップルがすっごく好きです。素直じゃないカップルかわいすぎる!
すべての雲は銀の… Silver Lining〈上〉(講談社文庫)すべての雲は銀の… Silver Lining〈下〉(講談社文庫)
恋人由美子の心変わりの相手が兄貴でさえなかったら、ここまで苦しくはなかったのかもしれない。傷心の祐介は、大学生活から逃れるように、信州菅平の宿「かむなび」で働き始める。頑固だが一本筋の通った園主、子連れでワケありの瞳子……。たくましく働く明るさの奥に、誰もが言い知れぬ傷みを抱えていた。(上巻・裏表紙より)

兄貴に恋人を奪われた大学生の青年が、田舎暮らしで再生する物語。一人称で語られます。単純に宿でアルバイトするだけかと思いきや、少しずつ、問題を抱えている人々が現れる。ここではそれほどはっきりと問題と解決が行われるわけではないけれど、そういった人たちが、お互いを思いあいながらゆっくりと生きている感じ。大きな事件はそうは起こらないけれど、ひとつひとつのエピソードが同じだけの大きさでいくつも繋がっている感じがあって、マイペースに読める物語だった気がする。
農業の話が出てくるところに、色んなところで納得した。季節のものをその季節にありのままに食べているのが、人間の普通なんだよなあ。
主に動きは肉体労働なのだけれど、作中で問題となっているのは『心』の問題なのだな、と。みんなどこか心の中に問題を抱えて、寄り添うように集まって来ている。ストレートだったのは不登校になってしまっている桜のエピソード。若者たちが不器用ながらも理解しようと、優しく見守っているのが心地よかった。
園主の言葉がいちいち的を射ていて、ストレートに生きている感じがして、とても羨ましかった。

「(略)人と違てるもののことだけやのうて、人とつながれるもの、人と共有できるものをどれだけ沢山持ってるか、いうことも立派な個性やないかと思うねん」
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Author:月子
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