読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
明るい愛鈴は帝たちのために舞う妓女見習い。不作の年に家族の生活を助けるため売られてきた。月の輝くある夜、太子殿下の慧俊に出会う。慧俊は帝の後継者争いに巻き込まれていて。一方愛鈴は、貴族出身の妓女仲間にこき使われる毎日。そんな二人はやがて運命の激流に巻き込まれていく。愛鈴が幻の舞『雪月梅花』を慧俊のために舞ったそのとき…!! ときめきのドラマチック・ロマンファンタジー!!(裏表紙より)
友人にドラマCDを聞かせてもらった経緯で、薦められて読んでみました。
すっごく、らぶらぶで甘かったです! これでもかという後宮ものの王道でした。太子様から見初められるというところから、お互いが大事である親友の存在と助け、ただ一人だけの何かを身につけていくところは、まさに少女小説! でした。
慧俊がびっくりするくらい恥ずかしい人でどうしようかと思いました。「君だけしか見えてなかった(意訳)」に砂糖を吐くかと。私は親友カップルがすっごく好きです。素直じゃないカップルかわいすぎる!
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恋人由美子の心変わりの相手が兄貴でさえなかったら、ここまで苦しくはなかったのかもしれない。傷心の祐介は、大学生活から逃れるように、信州菅平の宿「かむなび」で働き始める。頑固だが一本筋の通った園主、子連れでワケありの瞳子……。たくましく働く明るさの奥に、誰もが言い知れぬ傷みを抱えていた。(上巻・裏表紙より)
兄貴に恋人を奪われた大学生の青年が、田舎暮らしで再生する物語。一人称で語られます。単純に宿でアルバイトするだけかと思いきや、少しずつ、問題を抱えている人々が現れる。ここではそれほどはっきりと問題と解決が行われるわけではないけれど、そういった人たちが、お互いを思いあいながらゆっくりと生きている感じ。大きな事件はそうは起こらないけれど、ひとつひとつのエピソードが同じだけの大きさでいくつも繋がっている感じがあって、マイペースに読める物語だった気がする。
農業の話が出てくるところに、色んなところで納得した。季節のものをその季節にありのままに食べているのが、人間の普通なんだよなあ。
主に動きは肉体労働なのだけれど、作中で問題となっているのは『心』の問題なのだな、と。みんなどこか心の中に問題を抱えて、寄り添うように集まって来ている。ストレートだったのは不登校になってしまっている桜のエピソード。若者たちが不器用ながらも理解しようと、優しく見守っているのが心地よかった。
園主の言葉がいちいち的を射ていて、ストレートに生きている感じがして、とても羨ましかった。
「(略)人と違てるもののことだけやのうて、人とつながれるもの、人と共有できるものをどれだけ沢山持ってるか、いうことも立派な個性やないかと思うねん」
巫女見習いの林邑華は祭りの日に一人の男性に釘付けになる。相手の男性の名は趙熾嶺、彼もまたその日に邑華に心を奪われてしまう。
巫女選定の試験が迫り、熾嶺は邑華が巫女になると結婚できないと、強引に求婚してさらってしまった。邑華は驚くが、共に生きることを決意する————。
だが二人の結婚には、生きては帰れぬ過酷な神前裁判という試練がたちはだかる。二人の恋の運命は!?(裏表紙より)
一生懸命恋をして進んでいく若者たちのお話でした。ほっとする終わり方でよかった。
おしとやかだけど、元気でしたたかで、実は一番怖い邑華がかわいくて! ただ者じゃないところが好きです。特技の知識はあまり使われませんでしたが、非常に賢い様子や、伏線的に説明されたあれこれで最後に活躍したところは、とっても楽しかった!
熾嶺はまだまだ若いなあ青いなあと、にやにや。月日が短いので、きっと邑華の色々な一面に振り回されていくのでは、と考えると、にやにやがごろごろに変わってしまう。しかもその振り回されるところが、絶対嫌じゃないんだろうな!
幸代が出世コースから外れて飛ばされたのは、六十年の節目に間に合わなかった社史を作る社史編纂室。姿の見えない幽霊部長。やる気がなく頼りない課長。同僚の矢田とみっこちゃんはなんでも話を下に振る。そして幸代は、ひっそりとBL小説を書いて同人活動をしているオタク。ある事件(とても重要!)をきっかけに、編纂室メンバーでが社史の作成の他に手を出したのは、同人誌だった。
同人誌を作る話、というのを聞いていたので「どうするの!?」とか思ってたら見つけたので読んでみました。まごうことなき同人誌を作る話でした。
作中作とか、会社でコピー本の印刷とか、スパコミ、夏冬コミの話、創作にかける意欲、とってもオタクには覚えがありすぎていやーんでした。笑いましたが! うっかり主人公が同人者だからか、イベントの描写がリアルでとても楽しかったです。それに合わせて、サークル活動の大変さもあって。恋人との関係や結婚と、オタクの両立についてっていうのは、オタク女子にとってはきっと永遠のテーマになるんだろうなあと。
物語自体は、会社の歴史の穴にある陰謀を巡る話なのだけれど、なんだかこの人たちとても楽しそうだな……と思うくらいの明るさでした。結局どうなったのかが気になるんですが、まあいっか! 大丈夫大丈夫! という気分。読んでいて気持ちよかったです。ラストもよかった! ドラマになったらいいのにーとか思うけど、オタクの生態を面白可笑しく書かれるのは嫌だなあと思う。しをんさんの小説はそんなことは全然なくて、リアルで楽しかったです。
これからどうやって生きていこう? マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる過酷な就職戦線。漫画大好き→漫画雑誌の編集者になれたら……。いざ、活動を始めて見ると思いもよらぬ世間の荒波が次々と襲いかかってくる。連戦連敗、いまだ内定ゼロ。吞気な友人たち、ワケありの家族、年の離れた書道家との恋。格闘する青春の日々を妄想力全開で描く、才気あふれる小説デビュー作。(裏表紙より)
就職活動する女子大生の日々。でも就職活動のマニュアル本じゃなくて、あくまで日々を綴ったもの(でも反面教師的だろうか……)微妙に伏せてあるが、試験を受ける会社は実在するあちこちの出版社の名前が……。
可南子の描き方や考え方もそうなのですが、すっごく渋いです。こだわりを感じました。分かってもらおうとはしていないけれど、こういう信念があるというところが格好良かった。でも吞気すぎるけど!
西園寺さんの存在が超素敵でした。おじいちゃん素敵ー。あらすじ読んだ時はうっかり不倫かと思ったんですが、そうじゃなくて普通に恋愛しているところもよかったです。やってることは若干変態チックだけど!
くすっと笑うところがいくつもあって、気楽に読めました。楽しかったー。
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。(裏表紙より)
京都の大学生のクリスマスまでの出来事を描く? ラストに全部持ってかれた気が。
「それ間違ってるんじゃ!?」という言動が飄々と行われるので楽しい。男の人がみんなこう考えているんだとすると、たのし、たの、た、…………鬱陶しそうだなあ(本音) 高薮さんがなんだかかわいいな、と思った。女の人に怯える男の人か……新しい萌えポイント?
クリスマスの事件はとても爽快だった。それまでが男ばっかりで妄想で鬱屈しているせいかな。みんなの一体感というか、それまでばらばらだったそれぞれの心のくらーい部分が、一気に爆発したような。それこそ、当時の流行みたいに。
なんだかくすりと笑えて、ちょっとほろっと来た話だった。
美浜島。美しく、そして閉鎖的な島に生きる、信之、輔、美花。しかしある津波の日、それまでの日々はあっという間に崩れ去る。その崩壊は、三人の後の人生に、あるものには偽りを、あるものには堕落を、あるものには栄光を、影とともに与えた。三人が再び繋がる時、崩壊は、次はそれぞれに降りかかる。
どろどろ、ぐちゃぐちゃ、先が見通せなくてこれのどこが『光』なんだろうと思いながら読みました。
「一」での思春期の少年少女の依存とか、年少が年長に執着するとか、子どもは実はとても鬱屈しているとか、ちょっと怖かった。輔の壊れ具合で、話の行く先が決まった感じがして。
妻の浮気とか、間男の心情とか、うーわーと思いながら読んでいて、やっぱり信之はそう行動するよねーという、ある意味王道を行ったと思ったんですが、びっくりしてきたのは帰ってきたことだ。
清算はされていないけれど、みんな、内に光を抱えている、という印象の終わり方でした。奥付みたら、英語での表記は「The Dark Light」なんだな。かなり納得のいくタイトルだなと思いました。
「あたしは……ウォレスのことが好きなの」ウィザードを崩壊させるための《種》を託されたエメラルド。(世界のために必要なもの。でもこれをつかったらウォレスが死んでしまう)さまざまな組織の思惑も巻きこみ、非情な選択を迫られたエメラルドは、必死に自分の進むべき未来を探そうとするが——!?「魂だけになっても、絶対にまた会いに行くよ」切ないウォレスの願いは叶えられるのか!? ついに二人の運命が決する、シリーズ完結巻!!(裏表紙より)
むっちゃくちゃいい終わり方をしたシリーズでした。一気に読めてよかった!!!!!
注意:事前に挿絵をめくってはいけません。目次も読まない方がいいでしょう。
ちなみに、私が買った時、カバーが数ページ巻き込んでかけられてあったのでぶうぶうと思いながら直していたら、その挿絵があって「あwせdrftgy」となりました。挿絵トラップ! すごく悲しくなったのでめくらない方がいい!
「君と一緒だと、ぼくはどんどん愚かになっていく」反ウィザード組織《真実の星》に捕らわれたエメラルドは、そんなウォレスのことが気になって仕方ない。だが組織の幹部カルロスに、妥当ウィザードのため協力してほしいと頼まれ、困惑する。一方獅子の一族の若長ラグナは、エメラルドへの想いを抑えきれなくなって!?「逃がしてやる。だから——俺様の側にいてくれよ」この世界の真相も明らかに!? 必読のクライマックス直前巻!(裏表紙より)
「二十歳ののエメリイの〜」という台詞にうっかり目が潤む。いつでも、誰かが未来を望む言葉は切なくて、心の底からの願いに満ちている。
ウォレスがデレもデレで、どういう未来が待っているかというのが示唆されているから、余計に切なく映って苦しい。どうしようもない力で、それでも精一杯に『自分の力』で事態を動かそうとするエメラルドは、だからこそかっこいいのだと思う。
カルロス、ミスラ夫妻がいい雰囲気でとても好きだ。お気に入り。ハルベルトの過去も分かったところで、ラグナの行動と、最終巻へ!