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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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子どもの対象喪失―その悲しみの世界
1990年の本。
内的外的問わず、愛着や依存する対象を何らかの理由で失うことを「対象喪失」という。子ども大人問わず起こることで、人間が生きることにおいて、大小問わず必ず起こっていることである。
という愛着と依存対象の喪失について、事例を提示しつつ書いています。「対象喪失の心的世界」「対象喪失による病理現象」の二部構成です。中では、童謡や、児童文学などの文学作品の対象喪失について論じているところもあり、読み物として面白く、非常に興味深い分野だった。
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氷雪王の求婚 ~春にとけゆくものの名は~ (コバルト文庫)
冷酷さから〈氷雪王〉とも渾名される、皇帝エドリックが皇后に選んだのは、地方伯の娘にすぎないアイリス。逆らうことなどできるはずもなく、アイリスは幼馴染みへの淡い恋心を殺し、皇帝との華燭の典に臨んだ。しかし皇帝は渾名通り情のない男だった。互いを名前で呼ぶことすら許さず、〈皇后〉として公務を果たし、世継ぎをもうけることだけを要求し…!? 2010年度ロマン大賞受賞作!(裏表紙より)

色んなところ評判をお聞きするので、読んでみた。
はー……面白かったぁ……。
タイトルやイラストのふんわり感に騙されてしまいますが、内容はとても大きな歴史の一部を覗き見るもので、『雄大なる時間』を感じる、儚くも美しい歴史の物語でした。これ、味付けが違ったら普通の政略結婚小説になると思うのだけれど、構成がすごい! 悲劇的な結末を予感させながらも、歴史が「語る」部分と「語らない」部分が、もう見事で! 結末は後世の人々や読者しか知り得ないというのは、ぞくぞくときます。面白かった。
アイリスは、最後まで自分らしさを失わない、可憐なヒロインで。嫌みっぽいところがないのが好きでした! 本当に、下手するとこれはうっとうしくなる気がするので、さらっとしながらも心をつかんでいく様が描かれていてにやにや読んでしまった。
面白かった!
マンガの社会学
マンガと社会学についての論文集。筆者はばらばらです。マンガで卒論を書くにあたってという話、少女漫画の読者に焦点を当ててみたり、少女漫画に描かれる「もう一人の私」について論じてたり。マンガで卒論を書く場合、作品論的なものが多いことを指摘されて、若干身につまされる思いがしながらも、読む。
藤本由香里さんの「分身——少女マンガの中の「もう一人の私」」というのが面白かったなあ。双子マンガについて論じているのですが(この場合、同性の少女たちの双子)、双子マンガって、確かに子どもの頃すごく多かった気がする。
隠されし月の誓約―スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)
「ギブ神父が好きだから、会いたかったの。迎えにきたの…」
神父ギブが、殺人事件の重要参考人として拘束される。《混ざりもの》であるギブを亡きものにしようとはかる、枢機卿の陰謀。だが、事情聴収という名の拷問を受けながらも、なぜかギブは無反抗で……。そんな彼を救えるのはただ一人、ギブを愛する下僕のツキシロのみ——!? さらにその頃、謎の魔物の動きも活発化していて——。運命の二人に、宿敵との決戦の時が迫る!!(裏表紙より)

第一部完! といった感じの四巻目。とらわれのギブ神父の救出に向かうツキシロたち。
《混ざりもの》であるために転化してしまうことを恐れているギブも、なかなか死にたがりというか、諦めている人だよなあ……。彼を大事に思ってくれている人たちがたくさんいるというのは、いいな。ギブもちゃんとそういうことに気付いているみたいだから、彼の道行きが彼の望むものであるように祈る。
今回もメイド服、というか変態談義が楽しかったです。
新月の前夜祭 スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)
ヴァンパイアの少女ツキシロは《神の子》と謳われる不良神父ギブの《聖なる下僕》。“主人と下僕が恋をしてはならない”という禁忌の前に、自分の想いを告げられない日々を送っている。だがある夜、彼女はギブを狙ってきた《使徒》に襲われ、駆けつけたギブの師匠のビル司祭らに助けられる。ギブの抹殺をはかる枢機卿一派の動きが激しさを増すなか、ツキシロは主人を守ろうと必死になるのだが、宿敵ヨセフもついに暴走を始めて——。(裏表紙より)

スカーレット・クロス第三巻。思いの自覚と物語の本格始動。話がいきなり始まったので意表をつかれる。話の流れに一瞬乗っていけなくて焦った……。
登場人物の過去背景が複雑化。瑞山さんは過去をよく決めていらっしゃるよなあと思う。ラリーとデリラの過去がいいなと密かに思っています(あれって多分そうですよね)。自分の領域に立ち入れさせなかったギブも、信頼を置いている師匠が現れたことで、思いを自覚。ツキシロもはっきりと自覚したので、がんばれ少女! と拳を握ってしまう。
引きがすごかったので、続きはどうなるんだろうとどきどき。
人はなぜ色にこだわるか―知ってるようで知らない色の色々
白、赤、黄色、緑、青、紫、黒と章を分けて解説。日本に限らず、世界各地の色についてちょっとだけ解説があります。物語に見る色もあれば、バスの色、海の色、染め方、茶道についてなど、幅広いところから色に関して掬って見ている感じ。興味深かったです。色の起源の話もあったし、色の印象についても触れている。1988年のもので少し古いですが、面白かった。
たまご猫 (ハヤカワ文庫JA)
遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔をさぐろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは? 日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。(裏表紙より)

黒い方向の短編集。妖しげでグロテスク。人の自殺が絡んだり、男女の性愛が絡んだり(不倫とか)、幽霊が出てきたり、浄瑠璃やら密室やら水やら。こうも繰り返し書かれると、なんだこれは!(いい意味で)とぐらぐらしてしまいます。
好きなのは「春の滅び」だ。雛人形と女と男と。
詳細を全部書いてしまわないところがにくい。すき。
本の雑誌風雲録 (角川文庫)
大学を卒業し、就職はしたものの、“本を読む時間がない”という理由から三日目退職を繰り返す目黒考二。たわいもない話を延々と続ける不思議なイラスト描き・沢野ひとし。そして、若き編集長で激務の最中でも本を手離さない椎名誠。七〇年代初め、彼らは新宿に定期的に集い、彼らの理想とする幻の新雑誌を肴に、夜を徹して飲み明かしていた。そして七六年四月、彼らの夢であった『本の雑誌』は創刊された。いわば贅沢な遊びだった……。始めたのは良いけれど書籍流通のイロハも知らない彼らが、如何にして今日に至ったのか。多くの仲間とともに奮闘を続けた、本を愛する人間たちの物語。(裏表紙より)

85年3月に出た単行本が平成10年に文庫化されたもの。「本の雑誌」が創刊され、直販で売っていたころの回想録。
ただの回想録じゃなくて、集まっては何かを作り上げて、それを続けようとしていく人たちの姿が見えた気がしました。残る者もいるし、去っていく者もいる。好きだという気持ちを胸に、でも束縛されたくなくて、好きなことを好きなようにしてみたい。なんだかしんみりと、作ること、続けることは大変だなと思いました。
この本が必要だとなったときに本棚を見るとその本がある、という状況は理想だなあ。
本って、読みたいな、と思うとつい自分の本棚に並べたくなるのだ。そして積んでいく……。
スカーレット・クロス 月闇の救世主 (角川ビーンズ文庫)
「お前に、俺の何がわかるっていうんだ?」——不良神父にして若手最強の祓魔師ギブ。彼はニネベの街で幼なじみの祓魔師レオンと再会するが、些細なことで喧嘩別れしてしまう。
そんなレオンに、ヨセフと名のる神父が接近。親友と信じていたギブの思わぬ秘密を暴露され、レオンは激しく動揺する——。そしてギブの《聖なる下僕》である魔物の少女ツキシロの身にも、危機が迫り……。宿命のヴァンバイア・ストーリー!!(裏表紙より)

スカーレット・クロスシリーズ第二巻。このぎりぎりのセクハラ加減と変態具合が楽しいなあ! 胸と足か……私ならどっちが好きだろう(どっちも好きだ……)
新キャラであるレオン神父は、お坊ちゃん育ちのどうしようもない人かと思ったら、さすがギブと付き合ってきただけあって、きちんとした考えと真っすぐさを持った人で安心しました。こういう意表をつくところが一巻から受け継がれていていいなあ。二巻はまだ話を探っている感じがあって、この先の物語の方向性がはっきり見えなくてどうなるんだろうとどきどきする。
しかし、一言言うなら……ツインテールはだめだと思う……。
混ざりものの月―スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)
「信仰の敵、生命の略奪者よ。神の御名において《聖なる下僕》となることを誓うか?」瀕死の状態で倒れていた、吸血鬼との《混ざりもの》の少女ツキシロ。不良神父ギブは彼女を助けるかわりに、強引に自分の下僕とする契約を結ぶ。主従生活を始める二人だが、意地悪なギブにツキシロはふりまわされっぱなし。さらに、彼女を襲う謎の吸血鬼の影が——!? 闇と宿命のヴァンパイア・エロティカ!! 〈第1回ビーンズ小説賞優秀賞受賞作〉(裏表紙より)

面白かった! 少女小説というより、ちょっと少年向けライトノベルのにおいがする印象でした。
宗教とヴァンパイアものですが、神様に対する考え方がすっきりきっぱりしているところがあって、清々しいほどはっきり信仰というものに対する考えを述べるギブ神父がかっこいいなあと思う。ヒロインのツキシロはヒロインとしての魅力は今のところ強くはない感じですが、純粋培養で成長を見守りたくなる初心なところがあるなと思います。
読みながら全然考えていなかったので、混ざりものという存在でツキシロを認識していんですが、あっそういうことか! となったときの気持ちよさが楽しかった。曖昧な言い方になるのはネタバレ避けです。
しかし読んでて楽しかったな。続きも読もう。
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Author:月子
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