読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

ヴァンパイアの少女ツキシロは《神の子》と謳われる不良神父ギブの《聖なる下僕》。“主人と下僕が恋をしてはならない”という禁忌の前に、自分の想いを告げられない日々を送っている。だがある夜、彼女はギブを狙ってきた《使徒》に襲われ、駆けつけたギブの師匠のビル司祭らに助けられる。ギブの抹殺をはかる枢機卿一派の動きが激しさを増すなか、ツキシロは主人を守ろうと必死になるのだが、宿敵ヨセフもついに暴走を始めて——。(裏表紙より)
スカーレット・クロス第三巻。思いの自覚と物語の本格始動。話がいきなり始まったので意表をつかれる。話の流れに一瞬乗っていけなくて焦った……。
登場人物の過去背景が複雑化。瑞山さんは過去をよく決めていらっしゃるよなあと思う。ラリーとデリラの過去がいいなと密かに思っています(あれって多分そうですよね)。自分の領域に立ち入れさせなかったギブも、信頼を置いている師匠が現れたことで、思いを自覚。ツキシロもはっきりと自覚したので、がんばれ少女! と拳を握ってしまう。
引きがすごかったので、続きはどうなるんだろうとどきどき。
PR

遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。この奇妙な言葉だけを頼りに、生前には知りえなかった姉の素顔をさぐろうとした妹を待ちうける、不可解な恐怖の正体とは? 日常生活にぽっかりとひらいた陥穽を描いた表題作「たまご猫」をはじめとして、夢とうつつの狭間に生じる不条理を題材とした、妖しくも美しい、10篇の恐怖のかたち。(裏表紙より)
黒い方向の短編集。妖しげでグロテスク。人の自殺が絡んだり、男女の性愛が絡んだり(不倫とか)、幽霊が出てきたり、浄瑠璃やら密室やら水やら。こうも繰り返し書かれると、なんだこれは!(いい意味で)とぐらぐらしてしまいます。
好きなのは「春の滅び」だ。雛人形と女と男と。
詳細を全部書いてしまわないところがにくい。すき。

大学を卒業し、就職はしたものの、“本を読む時間がない”という理由から三日目退職を繰り返す目黒考二。たわいもない話を延々と続ける不思議なイラスト描き・沢野ひとし。そして、若き編集長で激務の最中でも本を手離さない椎名誠。七〇年代初め、彼らは新宿に定期的に集い、彼らの理想とする幻の新雑誌を肴に、夜を徹して飲み明かしていた。そして七六年四月、彼らの夢であった『本の雑誌』は創刊された。いわば贅沢な遊びだった……。始めたのは良いけれど書籍流通のイロハも知らない彼らが、如何にして今日に至ったのか。多くの仲間とともに奮闘を続けた、本を愛する人間たちの物語。(裏表紙より)
85年3月に出た単行本が平成10年に文庫化されたもの。「本の雑誌」が創刊され、直販で売っていたころの回想録。
ただの回想録じゃなくて、集まっては何かを作り上げて、それを続けようとしていく人たちの姿が見えた気がしました。残る者もいるし、去っていく者もいる。好きだという気持ちを胸に、でも束縛されたくなくて、好きなことを好きなようにしてみたい。なんだかしんみりと、作ること、続けることは大変だなと思いました。
この本が必要だとなったときに本棚を見るとその本がある、という状況は理想だなあ。
本って、読みたいな、と思うとつい自分の本棚に並べたくなるのだ。そして積んでいく……。

「お前に、俺の何がわかるっていうんだ?」——不良神父にして若手最強の祓魔師ギブ。彼はニネベの街で幼なじみの祓魔師レオンと再会するが、些細なことで喧嘩別れしてしまう。
そんなレオンに、ヨセフと名のる神父が接近。親友と信じていたギブの思わぬ秘密を暴露され、レオンは激しく動揺する——。そしてギブの《聖なる下僕》である魔物の少女ツキシロの身にも、危機が迫り……。宿命のヴァンバイア・ストーリー!!(裏表紙より)
スカーレット・クロスシリーズ第二巻。このぎりぎりのセクハラ加減と変態具合が楽しいなあ! 胸と足か……私ならどっちが好きだろう(どっちも好きだ……)
新キャラであるレオン神父は、お坊ちゃん育ちのどうしようもない人かと思ったら、さすがギブと付き合ってきただけあって、きちんとした考えと真っすぐさを持った人で安心しました。こういう意表をつくところが一巻から受け継がれていていいなあ。二巻はまだ話を探っている感じがあって、この先の物語の方向性がはっきり見えなくてどうなるんだろうとどきどきする。
しかし、一言言うなら……ツインテールはだめだと思う……。

「信仰の敵、生命の略奪者よ。神の御名において《聖なる下僕》となることを誓うか?」瀕死の状態で倒れていた、吸血鬼との《混ざりもの》の少女ツキシロ。不良神父ギブは彼女を助けるかわりに、強引に自分の下僕とする契約を結ぶ。主従生活を始める二人だが、意地悪なギブにツキシロはふりまわされっぱなし。さらに、彼女を襲う謎の吸血鬼の影が——!? 闇と宿命のヴァンパイア・エロティカ!! 〈第1回ビーンズ小説賞優秀賞受賞作〉(裏表紙より)
面白かった! 少女小説というより、ちょっと少年向けライトノベルのにおいがする印象でした。
宗教とヴァンパイアものですが、神様に対する考え方がすっきりきっぱりしているところがあって、清々しいほどはっきり信仰というものに対する考えを述べるギブ神父がかっこいいなあと思う。ヒロインのツキシロはヒロインとしての魅力は今のところ強くはない感じですが、純粋培養で成長を見守りたくなる初心なところがあるなと思います。
読みながら全然考えていなかったので、混ざりものという存在でツキシロを認識していんですが、あっそういうことか! となったときの気持ちよさが楽しかった。曖昧な言い方になるのはネタバレ避けです。
しかし読んでて楽しかったな。続きも読もう。

「偽善はやめだ。君を……私だけのものにするよ」両親を失い、愛する兄と二人で暮らしていくお金を稼ぐため、自分の美貌を最大限に生かし、援助交際をする決心をした爽二。オヤジどものいやらしい視線に晒されながら街角に立っていると、目の前に驚くほど美形の男が現れる。「この人になら抱かれてもいい」と思った爽二は、衝動的に声をかけてしまうのだが…その男が、爽二の通う超名門高校の若き教頭・花房だとわかって…!?
体から始まる———シンデレラ・ラブロマンス♥(裏表紙より)
『ロマンティックな恋愛契約』との関連作だそうです。これは、ツンな高校生と、大人な教頭のお話。主人公の、兄への執着がこわいよー。最初はそんな風にちょっと病んでる風だったのが、兄の方に決着がつくと、ちょっと落ち着き始めたのでほっとする。しかし初っぱな「あなたになら抱かれてもいい!」と言い放つのは色んな意味で怖いです。
この学園は同性愛者ばっかりなのか!? と冷静に考えるとかなり面白いツッコミどころがありつつも、これがつまりBLファンタジーなんだろうなあと思う。

小説の執筆に追われていても、日々の晩ごはんは欠かさない! TVの料理番組の優良モニターと化しながら、亀と親しみ、劇場に出かけ、乗馬を楽しむ。直木賞作家の日常をあますところなく綴った、公式ホームページの日記が文庫オリジナルで初登場。ガラパゴス旅行記も収録。
解説マンガ/萩尾望都(裏表紙より)
エッセイ本。人様の日記を読むのが好きなので、面白かった。お腹空いた。
毎日その日の晩ごはんがタイトルになっていて、舞台の話をしたり、政治の話をしたりと時事ネタが多くてまさに日記。その月の中表紙にその時話題のニュースがちょっと書かれてあって、ああこれはこの頃だったのか、と思うなどする。これを読んでいたら、日本の行方は暗澹たる方向にいっている気がして落ち込んだ。

●「ブス」通りすがりの男に言われて許せる?
●マッチョかつ知性派、理想の男は今いずこ!
●みんなご飯は「ヘツって」食べるでしょう?
●レジもトイレも基本は一列並びの早い者順!
●キスするときって、おめめパッチリなわけ?
——普通に生活していても、感じることは無限大。ぜんぶ言葉にしてみたら、こんな感じになりました。注目の新人作家、エッセイ第1弾!(裏表紙より)
1998年11月15日から2000年6月4日までに連載されたエッセイ。PHSを使っていることに時代を感じる……。他のエッセイの本に比べると、開けっぴろげというか口が悪いというか、な印象です。しかもこれを書いていたのは大学在学中から卒業してしばらくなのかあ。すごいなあ。
オーストリア人のマーチン君のキスの話や、「大きな森の小さな家」テレビドラマ版のチャールズ父さん役の俳優さんの話に絡めて理想の男の話をしているのが面白かった。あの俳優さんはかなりかっこいいよ! コバルト文庫の『姫君と婚約者』を少しだけ論じてあるのも面白かった。そうかーエレクトラコンプレックスの変形版っぽいのかあ。

駅からキャンパスまでの通学途上にあるミステリの始祖に関係した名前の喫茶店で、毎週土曜二時から例会——謎かけ風のポスターに導かれて浪速大学ミステリ研究会の一員となった吉野桜子。三者三様の個性を誇る先輩たちとの出会い、新刊の品定めや読書会をする例会、合宿、関ミス連、遺言捜し……多事多端なキャンパスライフを謳歌する桜子が語り手を務める、文庫オリジナル作品集。(裏表紙より)
語り手は浪速大学一回生、吉野桜子。彼女が語りかけるような文体での、「なんだいミステリ研」と日常の謎を解く物語。生物研究部の女子学生の消えた指環を探す話、作家を招いた講演会での話、九年前のハガキが届いた話に、桜子の大叔父の話が挟まる。
この大叔父の話、「遠い約束」がとてもいいのだ。死んでしまった大叔父の遺言を巡る謎。大叔父の遊び心がいい。それを解こうとする、ミステリ研の三人の先輩方もかっこいい。謎を解く話のわりに、魅力的な男性たちが出てくるのがめずらしくて、面白く読んだ。日常の謎系には、ちょっといい話があるので好きだな!