読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

テレビ関係の仕事をしている赤星は、なかなか成功もせず、SNSで食べ歩きしたラーメンを酷評し、倦んだ日々を送っていた。だがある日知人の狩野から雑木林で焼死体が発見された事件の関係者であることを聞き、ネタになるのではと取材を始める。被害者のこと、そして被疑者について聞いた赤星はその進捗をSNSに書き込みつつ、センセーショナルに報じる番組を作る。被害者の所属していた会社になぞらえて「白ゆき姫殺人事件」として話題になるも、世間の興味を引く内容は事実とはかけ離れていて……。
原作は既読。
インターネット上の炎上、報道被害、SNSの無責任な発言などなど、作品が発行された2012年から十年以上経ってもインターネットとメディアと人の関係はまったく変わらず、馬鹿馬鹿しい過ちを繰り返し続けているのか……とがっくりしてしまう。
Webでの過激で無責任な発言の数々は原作や映画製作当時はそうした振る舞いが直接的に自分に返ってくるものではないという世の中で、しかし現実に、誰かのものを自分のものだと発言したり行動したりして最終的にやり返されて殺されるという描写は、対比のようでいて同じものなんだよなあ……。
城野をちゃんと信じてくれていたのが、寝たきりの祖母と引きこもりの谷村夕子という、家族以外の人ともメディアとも繋がりのない、城野美姫を知っている人だったっていうのが皮肉で、救い。「知っている」ってそういうことなんだよな。
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コズミック・イラ75。ナチュラルとコーディネイター間の争いは、地球連合と新世代コロニー・プラントの戦争に発展した後、独立運動や反コーディネイターを掲げるブルーコスモスによる戦闘行為と、人々は終わらぬ戦いの中にあった。事態を鎮静化すべく創設された世界平和監視機構コンパスは、初代総裁ラクス・クラインを据え、各地の戦いに介入している。舞い降りるは自由の翼、それを駆るキラ・ヤマトはしかし、終わらぬ戦いに少しずつ追い詰められつつあった。
上映中なので感想は続きから。
上映中なので感想は続きから。

雨の切り裂き魔と呼ばれたシリアルキラーが恋人だったメアリーは、彼を家ごと放火して逮捕された罪で服役し、出所の日を迎えた。保護観察官の紹介でガソリンスタンドで働くことになったメアリーだが、いまもなお元彼の幻覚に悩まされている。初の出勤日の夜は雨で、否応なしに元彼を思い出させられるメアリー。しかしそれは決して幻ではなく……。
恋人がシリアルキラーで、その男から逃れるために放火、結果的に生き残った少女だけれど、というその後を描くホラー作品。元彼がしつこい、というのが、彼が殺人鬼だっただけでこんなに怖くなるとは。
怖い人もやってきますが、メアリーの他の登場人物は常識がある普通の人だけに悲惨さが強い。しかし警察官が駆けつけて、助かると思った瞬間に、その警官が殺されてしまうの、ホラーのお約束すぎてちょっと笑ってしまった。そうそう、ホラーってこうやって心を折るんだよね、みたいな。

ハロウィンの夜、パーティからの帰り道にダイナーに立ち寄ったタラとドーンは、そこでクラウンメイクの男と遭遇する。薄気味悪いピエロは何故かタラに興味を抱いた素振りを見せる。不穏な気配を感じて帰宅しようとするタラたちだが、車はパンクしており、姉の迎えを待つほかない。だがすでに惨劇の夜は幕を開けていた。
めちゃくちゃグロくて怖いと聞いて。間違いなくグロかった。スプラッタだった。めちゃくちゃ人が死ぬし殺される描写が凄まじい。刃物で切る描写が苦手な人は絶対見ちゃだめ。
ピエロ男が二人組の女性に目をつけて、彼女を追いつつ、邪魔する人間を殺戮していく。このピエロから逃げるのと、スプラッタ描写がメインなので、動機がどうとかピエロは何者なのかとかどうでもいいんだよ! という。ただそのシンプルさからかスプラッタ描写に力が入っているのと、被害者たちがちょっと妙な感じだったりして、ハロウィンというこちらとあちらの境界線が曖昧になる日の出来事の説得力があってなかなか面白かったです。めちゃくちゃ人に勧めにくいけれど。

邪竜スマウグが討ち取られ、ついに解放された王国エレボール。だが王となるはずのトーリンは黄金に取り憑かれて病み、すべての者を拒んで聞く耳を持たない。約束を違えたトーリンに、協力した人間、秘宝を取り返そうとするエルフ、闇のオーク軍が迫り、ドワーフ軍と激突する。これはある善良なホビットと山の下の王と旅の仲間たちの友情と絆の物語、そしていつか始まる指輪の物語の序章。
竜の黄金に魅せられて疑心暗鬼に陥って心を閉ざす展開、ファンタジーだー! と嬉しくなる展開なんですが、実際に見ているときついよー! ビルボの必死の呼びかけが、本当に、心からトーリンを心配してなんとか助けようとしているのが伝わってきて。
だから最後のシーンがぐっとくる。誰もが諦めざるをえなかった状況で、戦う力のないビルボだけがトーリンを諦めなかった。真の友と呼ぶのも納得で、その後ビルボも彼のことを友達だと言ったところで涙腺崩壊。地図の書き込みを見て、また泣きました。
そして物語はやがてフロドに託されていくわけですが、やっぱりそのことを思うとなあ! 指輪の旅がめちゃくちゃ辛かったからな……。しかしビルボが指輪を持っていなければ助からなかったこともあったし、サウロンを滅ぼすこともできなかったからなあ……。

邪竜スマウグに奪われた王国を奪還する旅を続けるドワーフの王トーリンとホビット族のビルボたち。だが邪竜との戦いを目指す一方、世界には不穏な闇の気配が漂いつつあった。旅の途中、一行は森のエルフたちと遭遇するが、トーリンたちドワーフと森のエルフたちは互いにわだかまりがあり……。
ドワーフは頑健で格好いいですが、エルフは美しくて格好いいですね。こういう種族差が、役者さんや、各々の髪型や衣装なんかに表れているのがめちゃくちゃ楽しいな!
しかしどうしてガンダルフはすぐに単独行動をして捕まってしまうのか。60年後も同じようなことになるんだよな……めちゃくちゃ強くなって帰ってくるわけですが……。
そんな感じでこの後の物語を知っていると色々と思うところがあって。レゴラスは言動がだいぶ若いし(将来ドワーフの友を得るんだぜ君は)、ビルボが指輪を使うとはらはらするし(ダークサイドに落ちていくんだよな)、ガラドリエル様も古いエルフたちもみんな力を失うんだよなとか(そして去っていくんだ)。そして最後に指輪を葬り去るために力を合わせるんだよなあ。熱い。

あの指輪の物語より遡って60年前――ホビット庄に住むビルボ・バギンズのもとに魔法使いガンダルフが現れ、冒険に誘う。家に押しかけてきたドワーフ族の世継ぎトーリンをはじめとしたドワーフたちは、邪竜スマウグに支配された国の再建を目指し、旅立とうとしているところだという。平凡な日常を愛するホビットながら生来の冒険心が疼いてついに旅立ったビルボ。これは彼がその指輪を手にする最初の物語。
ビルボが持っていたサウロンの指輪を手に入れる話と、その後彼がフロドたちに語り聞かせる冒険譚のはじまり。
種族間の価値観や認識がLOTRよりくっきり見える感じなのは、表面上ですら仲良くできないくらいわだかまりがある時代だからなのか。
ビルボを仲間として、友人として受け入れて旅を続ける展開はやっぱり嬉しい。しかしトーリンにめちゃくちゃ死相が見えるんですが大丈夫か?

ある日不可思議な流星群、しかしそうとは思えないものが飛来した。直後世界中でエイリアンと思しきものの侵略が始まる。アメリカもまた国家の危機に対処すべく戦闘を開始するが、敵は姿が見えない。民間人を保護しながら戦うナンツ二等軍曹たちもまた過酷な状況の中で戦っていた。
エイリアンの襲撃を受け、世界中が壊滅的な被害を受ける中で、アメリカのある小隊を描いたSFアクションもの。見えない敵と戦い、民間人を保護しながら、あまりチームワークがいいとは言えない小隊に所属して戦うってだいぶ無理ゲーだな! 戦っていく中で信頼は芽生えるのでチームワークはいいとしてもさあ!
エイリアンと戦うのでこう、恐怖心を与える感じかと思いきや、想像以上にドンパチする戦争もの要素が強かったように思います。敵が見えないので不安感が強いんですが、勝っているのか負けているのかわからないのがちょっともやもやしたな。でも前線で戦う人間にとってはこれが普通なのかも。

ニュージャージー州の理髪店で働くフランキーは、マフィアのデカルロにも目をかけられる美声の持ち主。一方悪友のトミーとニックはフランキーを巻き込んで強盗を働く札付きのワル。トミーはフランキーの歌声を利用しようと、作曲の実績を持つボブを迎えてついにバンドを立ち上げる。これが数多のヒット曲を生み出すフォー・シーズンズの始りだった。
マフィアが幅をきかせている貧富の差が激しいその土地で、マフィアのボスさえ虜にする歌声の持ち主がいた……というフォー・シーズンズの栄光と歩みを描いた作品。ミュージカル映画のようにあちこちグループの曲が出てくるんですが、もとになったミュージカル作品があるようでめちゃくちゃ気になります。
ヒットソングを生み出した人たちの成功と挫折とその後の話をもとにした作品は色々見てきましたが、だいたいみんな仲間割れするんだよなあ……そしてそれが見ていて大抵きつくなってくる。しかもこの話、札付きのワルの友人が結局めちゃくちゃな借金をして関係が破綻するという。誰が悪い? お前だよ! が、見ていてうわぁ……となる。
しかしこういうエンディングを迎えることができたのは、彼らの曲が時代を作り、いまもなお多くの人々とともにあるからなんだろう。そう思うと音楽は、それを作り出す人たちがいかなるものであろうとも素晴らしいものなんだな、きっと。

バカンス中に恋人と津波に見舞われ臨死体験をしたジャーナリストのマリー、薬と酒に溺れる母との暮らしをともに支えていた双子の兄を亡くしたマーカス。人に触れるとその近しい死者の声を聞くことができる力を隠して暮らすジョージ。死後の世界や死者に接近した三人は不思議な導きによってひとときの邂逅を果たす。
めっちゃくちゃよかった。運命の巡り合わせって生きることだと思いました。
死後の世界をすぐ近くに感じることで上手く現実を生きられなくなった三人。けれどそちら側に行きたいのではなくて、そこにある、そこにいるということを伝えたい、わかっていたい、知りたい気持ちがある。けれど周囲の人々はそんな三人を上手く理解できないでいる、孤独。
この作品の一番の功労者はマーカスですね。双子の兄を求めて行動する彼の物怖じのしなさが、ジョージとマリーを結びつけた。ジョージは幸せな未来が訪れることを夢見て動き出し、マリーは理解者を得られる予感に笑顔を見せる。
すごく良い作品でした。過去にオススメしてくださった方、ありがとうございました!