読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
江戸の街に、伏と呼ばれる人と犬の間の子が暗躍し、人を殺して回っていた。山育ちの猟師の少女・浜路は、祖父の死をきっかけに兄・道節の住む江戸に来た。そこで、幕府から懸賞金をかけられた伏・信乃と出会う。
原作は未読。しかし、原作すげー読みたいなあああ! となる物語でした。というか、これキャラデザも美術も色彩もすごくうまい。脚本も、八犬伝が分かる程度ならなんとなく分かる気がする感じになっていたし、馬琴の作品と桜庭さんという二つの原作があるからこそ、超訳できる話だったのでは……と推測する。
男に間違えられる、言動も見た目もまるきり少女らしくない浜路。そして、美しい優男の信乃。名前からして結びつくであろうことが予測できるわけですが、信乃が、信乃が、男前過ぎて……(苦悩)。優しくてちょっと弱くて悲しい男最高じゃないですか! 黒白さんの美しさだけでもんどりうつ。その上、浜路のヒロイン体質やばい。原作桜庭さんなのにちゃんとファンタジーのヒロインだよとか思ってすみません。お着替えはロマンだと思います!(握り拳)
信乃のちょっとした表情の変化、立ち居振る舞い、言葉遣いがかっこよくて、見惚れました。この切ない男のことを考えると胸が掻き乱される……。
あんまり描かないのかなあと思った周りの登場人物も、いいところでいい感じに活躍してくれました。冥土ちゃんはいいなあ。なんだか、投影してしまう。
クライマックスはいいよね。お城、いいよね……。ラスト、すごくよかった。わたしをあげる、というのは心臓に来るから止めてくれ! 信乃と浜路のいちゃらぶください……。拝む。
その分、原作をきっちり読んだら魂が震えるだろうなという予感がするので、原作を読みたいと思います。
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とある大企業の採用試験の最終に八人の男女が残った。窓が一切ない部屋で、試験監督や警備員に話しかけてはならない、試験用紙を損なってはならない、部屋を出て行った者は理由によらず失格、といった制限の中、試験が開始される。だが、その解答用紙に問題は記されていなかった。問題は存在するのか、解答は何だ。八十分の制限時間で、導き出された答えとは。
父がおすすめだと言うので見てみることに。物語が完全に一つの部屋でしか動かない話で、舞台映えしそうだなあという心理ものでした。面白かった。
なんとかして試験問題を探し出そうとするどきどき感から、人物それぞれの性格が分かってくるはらはら感、後は人物への腹立ち感笑 ホワイト、むかつくわー。人種的な問題の隠喩が隠されてるような気がしてなんだか笑いながらむかむかしました。そしてアジア人はそこでアウトかー。
狭い箱の世界にも関わらず波乱に満ちていて、仕掛けもすごくうまくて、はらはらしましたが、ラストが、ラストが惜しい……。それまで絶妙な心理戦だったのにオチが失速した気がする。面白かったけど! なんかもやもや! 後味は悪くないんだけれど、ちょっと複雑な気分になる、そんな面白い映画でした。
1935年。姉セシーリアと使用人の息子ロビーの愛し合う様を目撃した、十三歳の少女ブライオニー。ロビーから姉へ宛てた手紙や、大人の男女のやり取りに、激しいショックを受ける。彼へ仄かな思いを寄せていたブライオニーは、とある事件が起こった際、様々な状況からロビーを犯人だと証言した。そして四年後。戦争が起こり……。
原作はイアン・マキューアンの『贖罪』。原作は未読です。ベネさんが出ていると聞いて見ることにしましたが、そうか「プライドと偏見」のスタッフやキャストだったのか。おかげで、陰鬱な話なのに映像がとても綺麗で、すごくいい映画だったと思います。
物語を書く、多感で、大人びて、しかし本当のことは何も知らない十三歳の少女が、男女のやり取りにショックを受けたことから始まっていく物語。少女の真摯で傷つきやすい、けれど残酷な言葉が、ある人の運命を狂わせた。誰が間違っているのか、誰が犯人なのか、というのはすぐに見て取れたので、ここからどう「つぐない」をするのだろうと見守りました。第二次世界大戦に突入していく状況で、セシーリアとロビーのやり取りの後、ロビーの行軍、戦場の様子などショッキングなシーンが続くものの、残酷で、雑然として、秩序など何もないのに、不思議と美しい映像が続くので呻きました。これは、美しいだけに酷い。
そして、ブライオニーが思い出す真実の衝撃。詰る言葉は正しく、果たして彼女はつぐなえるのか……と思ったところで、そのラストですよ! それは! うあああああああ!!
その時、BGMの理由に気付いてさらに頭を抱えましたよ! あああああ最初からそうだったのかあああああああああ。
静謐で、薄暗くて、映像が美しくて、そして物語も辛いけれど美しい、すごい映画でした。これは、これは誰かに見てほしいぞ……!
ロンドン、ノッティングヒルで旅行書専門の書店を営むウィリアムは、妻に逃げられ、店の売り上げも赤字。そんな店に、有名な大女優アナ・スコットが訪れる。短く会話をし、本を売り、それで終わると思っていた関係は、ウィリアムが偶然ぶつかったアナの服を汚してしまったことから始まっていく。
ロマンティックな恋愛ものといったらこれじゃないっすか、と見ることにしました。素敵でした。女優と本屋さんの恋ってロマンティック。もうほとんと一目惚れの勢いでくっついたので、めちゃくちゃに恋愛して、はちゃめちゃに別れて、というハードな恋愛を予想していたのに、思っていたよりも穏やかに、優しいロマンスになっていました。ウィリアムの性格のせいかな。
ウィリアムは友人たちから「大学時代のあだ名は『へなちょこ』」と言われてしまう、ちょっと冴えない男。でもそれがこの話のいいところを引っ張っていってくれていて、特に激しい感情をぶつけるアナに対して、怒るんじゃなく、静かに落胆して、という言葉がうまく出てこないところがいいですね! 激しく争うと燃え上がって、燃え尽きてしまう感じがするけれども、ウィリアムのおかげで静かに続いていく予感があって、ラストはとても幸せ。
クライマックスはどこか「ローマの休日」を思わせる場面で、ものすごっくどきどき、きゅんきゅんしました。最後、幸せだったので思わず「あはっ」って笑ってしまった。こういうところがものすっごくおしゃれで素敵だわー。
あと、ホテルマンを信仰してしまいそうです。どうしてホテルの支配人という人たちは、ああいう風にジョークが聞いて、とても親切なんだろう!
ゆったりとした恋愛映画で、楽しみました。
ヨーク公アルバートは、吃音症のため、スピーチを不得意としていた。国王代理として行ったスピーチは失敗し、治療に当たってみるもうまくいかない。夫を応援したい妃エリザベスが訪れたのは、言語療法士ライオネル・ローグだった。
物語はコンパクトなのに小さくなりすぎず大きくならず、だというのにとても面白かったです。見終わった後、不思議な容量がある話だなあと思った。歴史物だからかな。
平民、という身分差別がまだすごく深い時代。序盤で国王の座についているのはジョージ五世。吃音症のアルバートは静かに暮らしていたいと密かに望みながら、大きく揺れ動く状況の中で王位に就かされることになる。その困難な時代を目前に、指標たる王であらねばならないという厳しさが、見ていて辛かった。みんなが信じていられるものでありたいという願いと、自分の小ささを知っているアルバートだったからこそ、あのスピーチには意味があったと思う。ライオネルとの友情もとてもよかった。ライオネル役のジェフリー・ラッシュがすごくお茶目で引っ張っていってくれる感じがあって、とても好き!
それから、エリザベス妃を演じるヘレナ・ボナム=カーターが美人だなあと思って見てました。イギリス女性! って感じの衣装(特に帽子)とか、巻き毛の感じとか、言動。国王妃っていうのはああいう、おしゃれで気品のある、献身的な女性なのだなー。でも、それがハリポタのあの人とか、レミゼのあの人とかに繋がらない。女優って、魔女だ……。
あとそれから、長女エリザベスが、将来を期待させるしっかり者の言動だったので、楽しかったです。
世界史が本当にすっごくものすっごく苦手なので、これから先どんな困難があるのかというのはあんまり知識にないのですが……語りかける人は本当に、大変だ。
実話と少し違っているであろうとはいえ、不思議な大きさの作品だった、本当に。
スコットランドの古い王国、ダンブロッホの王女メリダは、馬を駆り、弓を引く活発な王女。だが、王女らしくあれと教育する王妃である母エリノアとは、成長してからは口うるさいと対立ばかりしていた。しかし年頃だったメリダは、王国のために三人の領主の息子のいずれかを選ばなくてはならないと言われる。怒ったメリダは、弓を携え、母に反抗するが。
めっちゃ好きだこれー!! すごい! いいファンタジーだなあ! ラブロマンスでないところもすごくよかった。
ケルト音楽もそうだし、世界観(タータンとか! ちらっと出て来る侵略者との戦いの話とか!)もすっごくよかった。ヒロインが赤毛だとか、馬とか、お城とか、時代を感じさせる小物がすごくよく描かれていたなあと思いました。ラブロマンスではないので、突然歌うこともないし、かと思うとBGMがバグパイプで歌ありケルト音楽で、もうきゅんきゅんでした。
これを見ながら、最近のでずにーって、父と娘の確執ではなくて、母と娘の確執を描くようになったんだなーと感慨深かったです。時代は変わったのか。父親が抑圧するのではなくて、母親が、娘にちゃんとした人間にという教育を、という世相なのかな。
ラブロマンスでないところが面白かったのですが、しかしもしラブロマンスであってもきゅんきゅんだったろうなあと思っていました。これで熊になったのが母親だけじゃなかったりしたら、熊と戯れる王女実はその熊は隣国の王子だった! みたいな王道展開が期待できるなーとにやにや。古代王国の王様の呪いを解いてハッピーエンドとか! それはそれで面白かったんじゃないか、って、自分書けばいいのか。
あんまりこれを見る気がなかったのは主人公の声を当てているがアイドルだからだという理由だったのですが、全然心配なかったです。むしろ、この人じゃなかったら可愛らしさが出なくてだめだったのではないかなー。ちょっと拙いところはあったけれど声がとっても可愛くて、思いっきり演技もしてて、とってもよかったと思います。メリダかわいい。
敏腕弁護士だった父と同じ弁護士となった宝生エミは、ドジと失敗続きで今度こそ後がないと言われる。そうして任されたのは、ある男が妻を殺した事件。被疑者である男は、事件があったその時、幽霊に金縛りにあわされていたという。エミは無実を証明するために、その落ち武者の幽霊に証言を依頼する。
三谷幸喜作品はすごく好きなので、今回もやっぱり面白かったし、ぐっときました。弁護士の女性と落ち武者の幽霊の絆ってなんじゃそりゃって感じなのですが、幽霊として存在することを証明する手段にははらはらどきどきでしたし、二人の生活がとってもハートフルでした。あっちの世界の事情があったりなどして、ただではいかないところも楽しかった。段田さんかっこよすぎる。ちょっと恐くて、チャーミングで、やっぱり底知れぬ恐さがあって。
一つ一つが伏線になっているので、どういう意味かなと思ってみていたんですが、最後やっぱり! 来たかー!! と分かりながらも感動しました。本当にうまい。面白い。ぐっときた。
ローマ法王死去によって行われたコンクラーベ。有力候補たちを押しのけて選出されたのは、誰も予想だにしていなかったメルヴィルだった。誰もやりたくない法王の座を押し付けられたメルヴィルは、重要な就任演説を放棄してしまう。医者にかかり、精神科医まで呼んで、それでも足りず外の医者にかかったが、そこでメルヴィルは逃亡してしまう。
どこがハートフルだー! 詐欺だー! と叫んでしまったラストでした。「ええー!?」と驚きの声を上げる結末。途中からそういう予感はしないでもなかったんですが、なかなかブラック。もうちょっとエンターテインメントっぽくて明るくきゃっきゃした話かと思っていました。おじいちゃんたちはみんな可愛いのに……。
上記紹介文の内容が全体の三分の一くらいはあってどうも導入(だと思っている部分)が長いので、期待していたタイプの話じゃなさそうだなと思ったら。だというのに過程を省いているところがあって、これはどういう状況でそうなったんだろう、という点が気になってしまった。
しかし、単なる悲しい映画ではなくて、人としてどう受け止めているのか、また、どう受け止めていくのか、メルヴィルが淡々と、じっと自分と向き合っているのが分かる。周囲は全然彼に意識を向けなくて世界は滞りなく回っていて、けれど時折知らされるサン・ピエトロ広場に集まった信者たちの姿が突き刺さるように訴えてくる。エンタメ映画としての起伏はほとんどないのですが、精神的なダメージが見ている人間には結構ありました。決めなければならない、法王として立たなくちゃいけない、でも自分には無理だ、期待されている、みんな待っている、ごまかしは続かない、けれどいつバレるだろう……などなど。傍観者ならではのどきどきがすごくて、だというのに最後はアレかと! 突き落とされたわ!
外から招かれた精神科医(監督ご自身なんですね……)がまた、こいつめんどくさいっていうキャラクターで、この人結局なんだったんだろうなと考えてみたんですが、内と外の隔絶の象徴だったのかなあ。プライドが高くて自分が最高峰だと言う外の精神科医と、自分では無理だ導くことなんてできないと頭を抱える新法王。かたや街のどこにでもいる医者、かたや世界唯一の法王様。そう考えると、医者なんかもうお前法王になっちゃえよっていう傲慢さでのキャラクター配置だったのかもしれない。メルヴィルは謙虚こそ美徳だと思いますが、それが過ぎるとああいう結末になるのかも。
イングランド・ハンプシャーで、牧師の父を持つ貧しい家の娘ジェイン。高等な教育を受けた彼女は、小説を書いて朗読することを趣味としていた。やがてそれで食べていきたいと思いながら、しかしその時代、女の幸福とはお金持ちの家柄のいい相手との結婚だった。裕福なレディ・グリシャムの甥ウィズリーに求婚されながら、ジェインは都会からやってきた鼻持ちならないトム・ルフロイに惹かれて恋をする。裕福で愛のない結婚か、貧しい未来が待っていても愛ある結婚をするか。ジェインが選んだのは……。
「高慢と偏見」を原作も映画二本も見ていたし、主演がアン・ハサウェイだし、この時代らへんの映画見るの好きだしということで何の事前情報もなく見ることにした一本。すっごく好みで面白かったです。服飾とか調度品とか文化がね! ときめくよね! こうして見ていると「高慢と偏見」のエリザベスは、まるきりジェイン・オースティンに重なっているのだなあと思わずにいられませんでした。まあ、この作品も結構フィクションだと思うんですけれども……。
頭のいい女性の言動や、周りの無理解というか風潮、けれどそこにある家族の愛だとかは、「高慢と偏見」の中にあったものだなあと思いました。恋に落ちていくきらめきも、頭のいい女性だからこそ溺れきれなかったことも、悲しく切ないながらもジェインという人の芯が感じられてかっこよかった。愛がいつか蝕まれて崩壊する、というのは、素晴らしい台詞だった。
静かな気持ちで、年月を経たジェインを見ましたが、でも最後にあれは! トム、あれは! 反則だろう! 噴いたわ! でもよかった。ちゃんと愛はあったんだな。
好みの映画でした。面白かった。
孤児となった少女マリアは、叔父に引き取られ、ムーンエーカーの館に移り住むことになる。気難しく怒りっぽい叔父の住む館は、何故か荒れ放題。光る馬や不思議な鏡、天井の絵の星が落ちたり、誰かがドレスを置いていったり。しかも黒いならず者たちに襲われてしまうのだが、そこには、叔父たちメリウェザー家と、黒い一族ド・ノワール家、そして月姫と呼ばれる女性が関わっているらしく……。
可愛いファンタジーでした。すみません、原作は未読です。女性が書くファンタジーっぽいなあと思いました。
可愛い金髪巻き毛の女の子が、気難しやの叔父さまに引き取られる(萌えポイント1)。この叔父さま、かなり感情のアップダウンが激しくてどうも素直じゃないらしい(萌えポイント2)。ロマンチックな内装や小物、風変わりで可愛らしい服飾。しかも美少女がそこを動き回っているだけできゅんきゅんする(萌えポイント3)。とにかく美少女(萌えポイント4)。
ロマンチックで、女の子はどきどきしながら見そうです。私はもういい年なので……色々突っ込んで見るのも楽しかったですけれども、素直にきゅんきゅんできない自分が嫌! 一つの目標に向かって走っている時に別の物に気を取られてそっちに行くというのはちょっとアウトー(この辺がなんだか女性作家っぽいところだと思いました)
原作を読んでみたいと思いました。孤児の少女、不思議な館、叔父さま、敵対している少年の存在とか、要素がたくさんあって素敵なんですよね!